家庭用蓄電池の寿命と耐用年数を見極めるポイント!寿命を延ばす秘訣
太陽光発電が普及する中、発電した電力を貯める蓄電池の性能とその寿命は、効率よく太陽光発電をするために非常に重要です。
しかし、多くの方が蓄電池の選び方や寿命を最大限に引き出す方法について知らないのが現状です。
そこで本記事では、家庭用蓄電池の寿命と耐用年数を見極めるためのポイントを詳しく解説し、さらにその寿命を延ばすための具体的な方法をご紹介します。
蓄電池の寿命の目安は?
蓄電池の寿命は、種類やメーカーによって大きく異なりますが、現在一般的に使用されているリチウムイオン電池に関して言えば、寿命はおおよそ10~15年とされています。ただし、この寿命の目安は使用環境やメンテナンスの頻度など、実際の使用状況によって変動することがあります。
多くのメーカーは、蓄電池の寿命を保証期間と合わせて設定していることが多く、そのため保証期間も大体は10〜15年程度に設定されています。
保証の適用期間内であれば、万が一のトラブルが発生した際にもメーカーからの対応が受けられるため、安心して使用することができます。
蓄電池の寿命の目安になる数値
家庭用蓄電池の寿命を判断するためには、次の3つの数値が参考になります。
充放電サイクル回数
まずは、充放電サイクル回数についてです。
蓄電池は使用されるたびに充電と放電を繰り返します。空の状態からフル充電されるまでを1サイクルと数え、この一連のサイクルが何回行われると劣化するかを示しているのが、このサイクル数となります。
一般的なリチウムイオン電池では、約6,000~12,000回の充放電サイクルが可能とされています。このサイクル回数を超えると蓄電池の容量が徐々に減少し、最終的には使用に耐えられなくなります。
使用期間
蓄電池は使用開始からの経過年数に応じて劣化が進行します。
停電対策の非常用電源など、頻繁に充放電を繰り返さない家庭用蓄電池の場合は、充放電サイクル数ではなく使用期間で寿命を考えます。リチウムイオン電池の場合、10〜15年が一般的な使用期間とされていますが、使用期間は環境条件や使用方法にも大きく影響されます。
例えば、高温環境や過度の放電を避けることで、蓄電池の劣化を遅らせることができるので、日常の中での使用方法についても少し意識してみるといいかもしれません。
メーカー保証年数
多くのメーカーは、蓄電池の性能を保証する期間を設定しています。
上述の通り、この保証年数は一般的には10〜15年とされています。保証期間内であれば、蓄電池が劣化した場合や故障した場合にも、修理や交換が保証されます。
また、この保証年数は実際の使用可能期間の目安にもなります。
蓄電池の耐用年数とは?
主に税務上の計算に使用される法定耐用年数とは、実際に使用できる蓄電池の寿命と異なります。
蓄電池の法定耐用年数は6年ですが、これは蓄電池がどの程度の期間、資産として減価償却されるかを決定するための基準です。この法定耐用年数は、実際の蓄電池の寿命や使用可能期間とは直接の関係がありません。
実際の寿命は、充放電サイクル回数や使用期間、使用環境、メンテナンス状況などに大きく影響されます。
蓄電池の種類と寿命
蓄電池は、種類によって特徴や寿命が異なります。
代表的な蓄電池の種類とそれぞれの特徴、寿命について説明します。
リチウムイオン蓄電池
リチウムイオン蓄電池は、現在最も一般的に使用されている蓄電池種類の一つです。
高いエネルギー密度と優れた充放電効率を持ち、スマートフォンやノートパソコンから家庭用蓄電池まで、幅広く利用されています。
そんなリチウムイオン蓄電池の寿命は、おおよそ10~15年と他の蓄電池種類より比較的長いと言えます。ただし、高温環境下での使用や過充電・過放電は劣化を早める要因となるため、適切な管理が必要です。
鉛蓄電池
鉛蓄電池は、歴史が長く信頼性の高い蓄電池で、自動車のバッテリーや非常用電源などに広く使用されています。
充放電サイクル回数は500~3,000サイクルで、寿命は3~15年と、用途や管理状況によって大きく変動します。比較的安価であり、大電流を取り出す能力に優れていますが、エネルギー密度が低く重いため、持ち運びには不向きです。
定期的なメンテナンスが必要であり、過放電や深放電を避けることが長寿命の鍵となります。
NAS蓄電池
NAS(ナトリウム・硫黄)蓄電池は、高温下で動作する蓄電池です。
大規模な工場や商業施設における停電対策のバックアップ電源に適しており、寿命は約4,500サイクル、使用期間は約15年とされています。
NAS蓄電池は、高温での動作が必要なため、家庭用蓄電池には使用されませんが、大容量で安定した電力供給を実現できるため、特定の用途では非常に有効です。
ニッケル水素電池
ニッケル水素電池は、電極にニッケル酸化化合物と水素化合物を用いた蓄電池です。
充放電や過放電に強く、乾電池タイプの蓄電池やハイブリッド車などで利用されています。しかし、自己放電しやすい点から、長期間のエネルギー保存には不向きです。
寿命は約2,000サイクル、使用期間は約5~7年とされています。
蓄電池の寿命が過ぎた後も使うことはできる?
結論から言うと、寿命が過ぎても蓄電池は使い続けることができますが、その性能にはいくつかの変化が生じます。
ただし、最大容量が減っていく
蓄電池の寿命とは、一般的にはメーカーが定めた充放電サイクル回数や使用期間を指します。
この期間やサイクル回数を超えると、蓄電池の最大容量が徐々に減少していきます。つまり、初期状態に比べて、同じ量のエネルギーを貯蔵できなくなるのです。このように容量が減少した状態でも、蓄電池は完全に機能を失うわけではありません。
依然としてエネルギーを貯蔵し供給する能力はありますが、一回の充電で使用できる電力量が少なくなるため、頻繁に充放電を行う必要が出てきます。したがって、寿命が過ぎた後も蓄電池を使い続ける場合は、その点を考慮に入れて使用することが重要です。
メーカーの容量保証を利用できる可能性も
多くのメーカーは、一定の容量保証を提供しています。例えば、保証期間内に最大容量が一定の割合(一般的には50〜70%)を下回った場合、無償で修理や交換を行うことを約束しています。
この保証を利用することで、蓄電池の性能をある程度回復させ、再び高い効率で使用することが可能になります。
蓄電池の寿命を長くする選び方と使い方
蓄電池の寿命を最大限延ばすには、適切な使用方法と定期的なメンテナンスが欠かせません。
ここでは、蓄電池の寿命を長く保つための具体的な方法について詳しく説明します。
適切な容量の蓄電池を選ぶ
蓄電池の容量選びも、寿命に大きく影響します。適切な容量の蓄電池を選ぶことで、過度の充放電サイクルを避けることができます。
例えば、家庭での電力使用量に対して小さすぎる蓄電池を選ぶと、頻繁に充放電を繰り返すことになり、劣化が早まります。逆に、大きすぎる蓄電池を選ぶと、購入価格が高くなってしまいます。
したがって、自宅の電力使用パターンに合った適切な容量の蓄電池を選ぶことが重要です。
直射日光や高温・低温を避ける
蓄電池の設置場所は非常に重要です。直射日光が当たる場所や高温・低温の環境は、蓄電池の性能を著しく低下させる原因となります。
特にリチウムイオン蓄電池は温度に敏感で、高温環境下では内部の化学反応が促進され、劣化が早まります。逆に、低温環境では充放電効率が低下し、バッテリーの寿命が縮む可能性があります。
したがって、蓄電池は常温で、直射日光を避ける場所に設置することが推奨されます。
過放電・過充電を避ける
蓄電池の寿命を延ばすためには、過放電や過充電を避けることが不可欠です。
過放電とは、蓄電池の残量が極端に少なくなることを指し、過充電は満充電を超えてさらに充電し続けることを意味します。これらは蓄電池の内部構造にダメージを与え、劣化を促進します。
まとめ
いかがでしたでしょうか?家庭用蓄電池の寿命と耐用年数を最大化するためには、適切な蓄電池選びと使用環境の選定が重要です。
本記事で紹介したポイントと寿命を延ばすための使い方を実践することで、蓄電池のパフォーマンスを最適化し、長期間にわたり安定したエネルギー供給を維持することができるでしょう。
また、定期的なメンテナンスを怠らないことで、予期せぬトラブルを未然に防ぐことも可能です。導入後の点検サービスなどもぜひご検討ください。
当社では、住宅用から産業用までさまざまな太陽光発電設備や蓄電池を取り扱っており、テスラ社の家庭用蓄電池「Powerwall」については認定販売施工店と認められております。
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