脱炭素社会と循環型社会の実現に向けた活動をする:リコー環境事業開発センター見学レポート

年間4000人が見学に訪れる、御殿場にある株式会社リコーの環境事業開発センターの工場見学に行ってきました。リコーで取り組むリユースについて、一つ一つの工程やその作業方法などを見学したり、なぜリコーが RE100 を宣言したのか?などについて、SDGs の目標とともにセンターの方に解説をしていただき、大変勉強になりました。
創業から 83 年目を迎えるリコーは、創業者の時代から「環境対応」に力をいれ、1995 年以降は「環境保全」、その後は、環境と持続的なビジネスの両立を目指す「環境経営」に力を入れてこられました。
1FのシアターR では、なぜリコーが環境経営を掲げ、環境と持続的なビジネスの両立を目指すのか?RE100 に参加をして、具体的にどのようなことをしているのかなどについてお話いただきました。
小学生などの学習教育でもよく利用されている施設ですので、リアルタイムの雲の動きを実際の地球儀上で見たり、地球温暖化が進むと地球にどんな変化がおこるのか、など実際に体験することができました。また、御殿場は富士山が象徴的な町ですので、富士山の横にある太陽光が照らすと再生可能エネルギーによる電気の供給で町が稼動する様子や、再生可能エネルギーを利用することで温暖化を防ぎ、町に鳥や動物たちが飛び交う様子などがプロジェクションマッピングを用いた技術の融合で、背面デザインとプロジェクトマッピングの画像を掛け合わせて映しだされました。

空気を循環させる装置により、年間 20%電気代を削減

リコーの廃コピー機を利用し、短焦点のカメラを使用した会社名が記載された WELCOMEボード
コピー機の中に使用している使わなくなった配線で作った WELCOME ベアー

廃材を利用しデコレートされた壁

リユース・リサイクルセンター
リコーのコピー機は、お客様の使用状況により状態がいいものから青色、黄色、赤色に区分けされリサイクルに回されます。工場自体もCO2とコストを削減するため、LEDを導入し、年間 200 万円の電気代を削減されたそうです。
状態のいいものは、パーツなどを少し変えて出荷。黄色のものは、使えるパーツを取り出して、組み替えて出荷。コンディションが悪いものはパーツごとに分けられ、メンテナンス時に使用する機材として再利用されています。
きつい、汚い、危険のいわゆる「3K」の仕事は基本的にロボットがおこないます。
それぞれコピー機のコンディションにより区分(青色、黄色、赤色)されたものを上部のカメラで自動判定し、ロボットがそれぞれの作業場にコピー機を運びます。以前は、青色、黄色、赤色と別々にコピー機を保管していたため、4 倍以上スペースが必要だったそうですが、現在は省スペースでの管理を実現し、ロボットによる効率化も図れています。
コピー機の組み立て工程では、黄色のボックスはリユース製品が入ったもので、一部リユース製品を組み込みながら、1 台のコピーを作ります。また、リユース製品を使いどのくらいの CO2 を削減できたか?などについて「見える化」しています。

リユースマークがついたコピー機

運搬用のボックスも回収可能なもので、150 トンの CO2 を削減しています。
開発にも力を入れており、フレキシブルな有機薄太陽電池や、JAXAと共同開発し宇宙船で使用されたペブロスカイト太陽電池などの展示がされています。
リコーのRE100達成へのステップとして、知る→減らす→作る→選ぶという段階を経て、RE100の達成をおこなっている様子について、順を追って解説していただきました。
エネルギーの見える化では、200箇所に設置されている分電盤にCTをつけてデータを取得し、計測した結果、ムダな電気が使用されていることがわかり、改善がおこなわれました。電力にして、4700kW の削減、CO2 も2.6t/年の削減が見える化により実現されたそうです。
太陽光や人の位置を感知してLEDの色を明るくしたり、リラックスや帰宅を促すオレンジ色に自動に感知するしくみの開発や、様々な省エネ機器を開発しコストの削減と CO2 削減の提案をされているとのことです。
すでにこの工場では、ムダを省いてリサイクルをしたり、再生可能エネルギーの創出やグリーン電力の購入により、RE100 を実現しています。
「創る」では、再生可能エネルギーの提案や工事、メンテナンスまでワンストップでおこない、お客様の再生可能エネルギーの導入をお手伝いしています。
また、バイオマス発電所を自社の中に設置し、熱利用によるお湯をつくって施設内で使用しています。これにより、年間 240 トンの CO2 削減と、480 万円の電気代削減につながっているとのことです。
新築中のバイオマス発電所は、省スペース化などにより都会でも導入できないか、実証実験を行う予定です。
RE100 や SDGs 達成目標を掲げるには、工場を見える化し、実際の作業一つ一つの工程で発生するムダな電気やCO2の量を削減し数値に落とし込むことが必要となります。
リコーでは、まさに RE100を目指しこれらの取り組みを日々実践しており、こうして改善していくことが最終的に人の意識も施設全体も変え、 RE100 を達成することができたのだと実感しました。