ドイツ・オーストリアでの住宅用太陽光発電の普及事例

地域

ドイツとオーストリアの再エネ事情

ドイツのババリアン地方から車で3時間のオーストリアは、人口が約880万人
それに比べ、お隣のドイツの人口はオーストリアの人口の10倍近くあり、再生可能エネルギー普及事情も隣国でありながら、オーストリアとは異なります。

ドイツは2020年現在、6基の原子力発電所が稼働していますが、オーストリアは原子力発電所をもともと持たず、水が豊富な地域であるため、アルプスのふもとで水力発電が普及しています。また、オーストリアでは、電力と熱をあわせたエネルギーの約7割を再生可能エネルギーで作り出しています。

オーストリアの太陽光発電について知る

オーストリアで、太陽光発電や蓄電池、ヒートポンプなどの施工を手がけるH2Eのトーマス・フォーファー氏に話を聞きました。

トーマス氏は、ヨーロッパで長く大規模発電所のEPCをしているIBCで、プロジェクトマネージャーをつとめられています。中でも、日本でFIT制度開始直後に産業用太陽光発電所を作るプロジェクトに当初から携わった経験を持つ、太陽光発電のプロフェッショナルです。

オーストリアでは、太陽光発電やヒートポンプなどを設置した場合、政府からの補助金がでるため、現在多くの設置依頼が来ているということです。

太陽光発電については、オーストリアは住宅の屋根が大きく、農家の倉庫上につけることも多いので、5kW以上設置するケースが多いです。
太陽光発電モジュールはIBC製のもので、パワーコンディショナはFronius(フロニアス)製のものを多く取り付けています。Froniusは日本ではあまりなじみがないですが、オーストリアに本社を持ち、従業員数で多くの施工業者が使っているものになります。

Froniusは、25にわたり太陽光発電のパワーコンディショナのメーカーとして、装置側から再生可能エネルギーの普及をしています。自社ビル屋上でも605kWの太陽光発電を設置し、1日3交代制で24時間体制にて生産をおこなっています。

また、スローガンには“24 hours of Sun”を掲げ、蓄電池はもちろんのこと、他にもスケルトンソーラーパネルの販売やEVカーの充電器、太陽光発電のエネルギーだけでは補えないエネルギーを水素発電機で作る仕組みなど、一歩進んでスマートハウスの構築やスマートタウンの構築をしています。

ドイツの再エネ状況はどうなっている?

ドイツでは、メルケル首相のもと、原発を2022年までに全部廃止ということを掲げていますが、車での移動中、ドイツ国内では、水蒸気がもくもくと上がる炉が何基も確認されました。

農地が広がる地域に突然、水蒸気をあげている発電を続けている炉。またこの地域では、住民にヨウ素が配られ、人にも農作物にも放射能の影響がないとはいいきれない状況です。

ハイウエイ沿いは野立ての太陽光発電はほとんどが1MW以上のもので、住宅用に関しては、農家が多く、農家の住宅用の屋根や飼料などの保管庫の屋根などについているのを多く見かけました。

再生可能エネルギーの展望:ポイントは自家消費型モデルの普及

トーマス氏は、多くのお客様が太陽光発電を含め、水力、風力などの再生可能エネルギーを利用していき、さらに多くの人にエネルギーの自家消費型のモデルを普及していきたいと考えているようです。

ドイツやオーストリアは、再生可能エネルギーの普及においては、10年以上先を行く国といわれています。しかし日本は、国土が狭い分、地産地消で分散型の太陽光発電や蓄電池の普及はしやすいのではないかと、今回の取材で感じました。

またエネルギーを束ねるVPP(仮想発電所)事業者も、ドイツでは100以上存在すると言われていますが、日本のネットワークの融通性や住宅用の設置工事費用から、日本のほうがVPPの構築も簡単なのではないかと思いました。

今回の取材で、ドイツやオーストリアの普及より早いペースで自家消費型の太陽光発電が広がる可能性があることに気がつき、驚いたとともに、当社においても太陽光発電の施工会社の立場から日本の再生可能エネルギーの普及に付与できる側面がまだまだ大いにあると決意を新たにしました。(2018年10月取材当時)

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ドイツ・オーストリアでの住宅用太陽光発電の普及事例2

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太陽光発電の設計・施工で20年以上の実績。最近では再エネ率の高い電気と蓄電池を併せた提案も好評です。環境にいいこと・持続可能な地球・100年後の子供たちのために様々なソリューションで再エネ普及をしています。

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