【第一実践者に聞く】ソーラーシェアリング課題と未来

インタビュー

参加者

  • 千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役 馬上 丈司様

    今回は、営農型太陽光発電(以下:ソーラーシェアリング)の第一実践者ともいえる千葉エコ・エネルギーの馬上さんにお話を伺います。

  • 福村 亜矢横浜環境デザイン

    株式会社横浜環境デザイン 総合企画部 所属
    今回はインタビュアーとして、馬上様にお話を伺いました。

ソーラーシェアリングとは、農業と太陽光発電の両方を農地で一体となった事業としておこなうもので、農家の方の高齢化問題に対し太陽光発電収入面を支えたり、食の自給率をあげるために有効活用したりと地域の課題解決のための手段のひとつになると考えられています。

今回は、そんなソーラーシェアリングの実践者である馬上様に、これまで実践してきた中で感じられたソーラーシェアリングの課題点とこれからの発展についてお話を伺いました。

ソーラーシェアリングの歴史と実情とは?

まずは、ソーラーシェアリングの歴史についてお伺いしてもよろしいでしょうか?

ソーラーシェアリングは、2013年3月に農林水産省がガイドラインとなる通知を公表して、全国で展開していくための指針を示しました。早いもので、そのガイドラインができてもう8年になります。

ただ、それ以前にも営農型の太陽光発電は実例がありまして、千葉県を中心にソーラーシェアリングの実践をしていた事例が10ヵ所ほどありました。
2018年度には、年間に許可を受けたソーラーシェアリングの7割が関東地方に集中していて、地域によって導入にばらつきがあります。
とくに私の住む千葉県はソーラーシェアリングの設置が多く、1000件ほどがすでに稼働していると見られる状況です。

ソーラーシェアリングの建設が県によってばらつきがあるのはなぜでしょうか?

普及当初は、ソーラーシェアリングに力を入れている事業者の居る地域を中心に増加しましたが、現在は県や自治体が熱心に取り組んでいるところにソーラーシェアリングの建設が集中しているというのが実情です。
そのため、都道府県によって取組みに温度差があり、事例数にばらつきがあるのが、この事業の課題と言えます。

ソーラーシェアリングの課題と成功の秘訣

ソーラーシェアリングのガイドラインができて8年経ちますが、これまでの課題はなんでしょうか?

私もそうですが、当初は農家さんにソーラーシェアリングの事業をやってもらおうと思っていました。
農家さんの一部には熱心な方もおられ、ソーラーシェアリングで農業と太陽光発電の両方をしたいと関心を持たれますが、実際始めようとすると、資金的な壁が立ちはだかるケースがほとんどでした。
建設コストは、低圧発電所でも1500万円~2000万円の初期費用がかかるほか、金融機関ではソーラーシェアリングの事業性よりもむしろ、農家さんの与信(個人の資産や収入)の部分でしかお金を貸さない場合がほとんどで、一部の高所得者の農家の方しか取り組めませんでした。

現在ではソーラーシェアリングで成功されているモデルケースもあるみたいですが、事業成功の理由はなんでしょうか?

私は2018年に流れが変わってきたと思っています。

それまでは農家さんがソーラーシェアリングの担い手と考えていましたが、そのころから特に太陽光発電の施工会社の方が、地場で農業をしながらソーラーシェアリングの建設もおこなうというケースが増えました。
農業従事者の7割が65歳以上の中、20年間もの太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)中で農業と太陽光発電事業を継続することが困難なケースが多いことから、若い人材も抱えている施工会社さんが農業参入することとの相性も良いのだと思います。

これからソーラーシェアリングがもっと普及するには、どういったモデルがよいと考えますか?

まず、先ほどお話したように、

地元の太陽光発電の施工会社が農業に参入するという形です。
この場合、再生可能エネルギーの普及とともに、お金と人材もあり、事業継続がしやすいです。
そもそも太陽光発電の会社なので、建設やメンテナンスも自らできますから、初期投資も下げられ設備維持もしやすいと考えています。

② 次に、地元以外の大手の電力会社や大手企業が比較的大きなソーラーシェアリングを建設し、再生可能エネルギーの拡大を目的とし、農業に参入するケースも考えられます。
グループ内に大規模な農場を抱えている上場企業も増えていますから、そうした企業の自社農場で取り組むということも必要です。

③ そして、地元に大きな企業がない場合、やはり地方自治体や役所は地域の企業と同じ役割を果たすので、自治体自身による農業法人(公社)の立ち上げやソーラーシェアリングの建設による発電事業者化が考えられます。

特に千葉県ではソーラーシェアリングが1000件以上と数も多いですが、要因はなんでしょうか?

千葉県は東京に近く、歴史的にも人の移動が多かったので、他県や他からやってきた人に対して寛大なところがあります。

特に私が最初に自社のソーラーシェアリング事業に取り組んだ匝瑳市では、他所から来た我々を受け入れていただき、地元の方にも熱心に取り組んでいただいて設置事例が多くなっています。
私も、グループ企業内で千葉市内を中心に3ヘクタールの農地を借りてソーラーシェアリングの事業もおこなっていますが、ここ2、3年で10ヘクタールぐらいに拡大していく予定です。

先ほどもお話したように農家の高齢化は深刻で、農業を継続できない方から、自分の農地を借りて貰えないかという申し出が多くあります。
また、以前は求人を出しても農業に興味がないという方も多かったですが、最近では人材も増え、20代半ばのスタッフを中心に農業に取り組んでいます。

いまは時期的にじゃがいもを植えており、レタスやキャベツ、葉ニンニクなども収穫・出荷しています。
他にも、当社では実験的な作物の栽培をおこなったり、その様子をInstagramやTwitterアップするといったこともやっていて、みんな楽しんで仕事に取り組んでいます。

ソーラーシェアリングの今後について

今後ソーラーシェアリングをもっと全国的に増やすにはどうしたらいいでしょうか?

地域のカラーもありますし、例えば農村景観を重視する地域の考えを曲げてまで、ソーラーシェアリングを導入するのか?という議論はあります。
ただ、その中でもまずは導入に理解のある地域に集中して建設し、成功事例を積み上げていくことが必要だと思います。スポット的でも、やはり目に見えるかたちで結果を出すことが重要です。

今は、地域のソーラーシェアリングの取組みに属人的なところがあり、この人がいるから、この地域だから普及しやすいといったような環境があります。
熱心な人がいて、その人の手の届く範囲では普及しているといった形ですね。

次の段階として、やはりソーラーシェアリングの認知度をあげていき、千葉でできているモデルケースを地方に広げていくとか、政府や自治体も先導を取ってキャンペーンをしていく必要があると思います。
この前小泉大臣も国会の中でソーラーシェアリングについてお話されていましたが、もっと皆さんに取り組み自体を知ってもらう必要があります。

そのうえで、小泉大臣もおっしゃっておられるように、ドミノ的に地域の再エネの普及をここ5年でおこなう一つの手段としてソーラーシェアリングがあるならば、
例えば、自治体が移住者向けに用意している住宅+農地には自動的にソーラーシェアリングがついてくるといったような仕組みづくりも考えられます。
ソーラーシェアリングを選択するのではなく、移住を決めたら、家を買って農地を借りたら自動的にソーラーシェリングがついてくるといった仕組みを提供することなどで、ドミノ的に広がると思います。

今でも栃木県や静岡県のJAさんがやっているのですが、住宅用や野立ての太陽光発電の広告と並んでソーラーシェアリングがPRされている地域もあります。
ここは、トップダウンでやっていくべきだと思います。

ソーラーシェアリングは、食料の自給率アップや地方での若者の雇用、再生エネルギーを需要地近くで作ることで、地産地消のエネルギー(食と電気)を生むといった点で最適なものだと思っていますので、今後もソーラーシェアリングの普及事業をおこなっていきたいと思っています。

長くソーラーシェアリング事業に携わっているからこそのお話を伺うことができました。

今後、ソーラーシェアリング事業をますます普及していく取組みの一例として、馬上さんがおっしゃっていた“移住者向けに用意している住宅+農地に+「ソーラーシェアリング」のような仕組み”に近い取組みを、実際に実践している例もあります。

気になる方は、詳しくは下記関連記事よりご覧ください。

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太陽光発電の設計・施工で20年以上の実績。最近では再エネ率の高い電気と蓄電池を併せた提案も好評です。環境にいいこと・持続可能な地球・100年後の子供たちのために様々なソリューションで再エネ普及をしています。

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