【農業×太陽光発電】ソーラーシェアリングの成功と失敗(後半)

インタビュー

先週7/28(水)に公開した「【農業×太陽光発電】ソーラーシェアリングの成功と失敗(前半)」に引き続き、今回は後半として、農業に新しい形で取り組むために実践したことについて、馬上先生に伺った内容をご紹介します。

☞前半をまだ読まれていない方は、ぜひ前半もご覧ください。

【農業×太陽光発電】ソーラーシェアリングの成功と失敗(前半)

【ソラシェア事例】太陽光発電をより効率的に活用する

千葉市緑区大木戸町の農地には、大規模ソーラーシェアリング「千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機」以外にも、農作業用のハウスに自家消費型太陽光発電が2kW、太陽光パネル6枚がついています。

蓄電池は6.5kWhのものを設置しており、これらを活用して電気自動車(EV)電動バイク(EVバイク)電動の農機具などを充電しています。

EVだと、車種にもよりますが、小型なものであれば満充電は6時間ぐらいで可能です。
また、そのほかにも停電時に冷蔵庫を何日間稼働することができるかの実験を行ったこともあるそうです。

超小型EVモビリティの「コムス」は、野菜などを積める荷台もついていて、畑間の移動や収穫した野菜を運ぶ際などに役立ちます。

EVバイクは「モペッド」といって、自転車のような見た目をしていますが、オフロード仕様のタイヤなため、畑の中まで入ることができるので見回りなどに便利です。
満充電も2時間ぐらいしかかからないので、自家消費型太陽光発電で充電し、利用されています。

こうしたEV関連のものについては、普及を推進するために国などから補助金が出ているので、上手く利用して農作業の効率を上げることに繋げていけるといいですね。

農作業をおこなう一日のスケジュール例

「働く時間についても、一般的なサラリーマンの、いわゆる9時~17時勤務のような働き方と違い、農業では季節によって働き始める時間も変動します。例えば、夏に入った今の時期では、日が出る4時くらいから始めることもあります。

特に夏は、日中は暑すぎて作業できないことがしばしばです。そのため、9時~10時頃には作業を終え、日中は休んで15時~16時から作業を再開するといったような働き方が普通です」

EVEVバイクなどを導入しているこちらの場合、農作業ができない日中は機器の充電時間に充てられ、効率的ですね。

ちょうどインタビュー中に、この日植える予定という「リーフレタス」の苗が届きました。
苗も、前までは苗屋さんに取りに行っていたそうですが、時間もお金もかかることがわかり、今は宅配便で時間指定をして植える時間の直前に配達してもらっているそうです。

【ソラシェア事例】若い世代の農業従事者雇用が成功のカギ

農業従事者の雇用については、少量多品目生産に移行し、年間を通じて安定雇用ができるようになったため、求人もしやすくなりました。

「現在は3名がほぼ常駐していて、全員が20代です。一番新しく来たスタッフは、今年の6月から入社し、夫婦で東京都内から千葉市内に引っ越してきました。

Wi-Fi環境などもハウス内に整っているので、若い世代の社員を中心に農作業の様子をYouTubeにアップしたり、インターネットでのイベントを企画・集客したりなどもしています」

今は、SNSやフードシェアリングアプリ、インターネットなどを駆使して販売先や認知度を広げる方法が当たり前となっている時代です。
そんな中でネット環境に慣れている若い世代の方が、農作業だけでなく、こういった分野も請け負ってくれることは、大きなメリットに違いありません。

☞ソーラーシェアリング農業での雇用:具体的な取組みについてはコチラ

【ソラシェア事例】ソーラーシェアリングならでは設計とO&M

ソーラーシェアリングの架台の支柱間隔は、4~5m空いており、耕作に欠かせない小型のトラクターが作業しやすくなるよう設計されています。

また、通常の「野立て」と言われる大規模太陽光発電所と異なり、架台の高さはヒトの背丈以上になり、太陽光パネルの表面はそのままでは確認できない高さになります。

ソーラーシェアリングのO&M(点検・メンテナンス)

「ソーラーシェアリング設備のO&M現在外注しています。
架台が高いため、太陽光パネルの表面を目視できないので、ドローンを飛ばして赤外線カメラで大まかにチェックしてもらい、異常が見られた場所を人が確認しに行くといった流れを採用しています。

また、パワーコンディショナやキュービクルなどの、電気的なチェックも合わせて実施してもらっていますが、ここは野立ての太陽光発電所と同じです。
ゆくゆくは、農業をしているスタッフが技術を身につけてO&Mもできるようになればと考えていますが、まだそこまでは教育・訓練を含めて手が回っていない状態です」

次のソーラーシェアリングでは、いちじくの木をポットで育てる準備をしているそうです。
いちじくは加工品としてのニーズが高く、馬上先生の奥さまが経営する牧場のカフェジェラートなどにして販売していきたいとも考えているとのことでした。

「千葉エコ・エネルギーとして、千葉県匝瑳市で2015年からソーラーシェアリングを始めていますが、その時の農業は地元の農業者さんたちに依頼していました。今も、匝瑳市の農業は、私たちも出資しているThree little birds合同会社におこなってもらっています。

そうした経験を経て、大木戸ではやっと自分たちで農業法人を始めることができて、発電事業も農業も全て自分たちでやる体制ができました。
もともと、農業経営を持続させるためのソーラーシェアリングであるので、農業はやりたいと思っていたものの、いざ農業をやってみると難しいことの連続です」

ソーラーシェアリングは日本の未来と信じて

「ただ、自分としては、年間を通じて農業事業として成功させる、そしてソーラーシェアリングを成功させないと日本がなくなる”くらいの気概でやっているので、諦めることはないですが、日々の農作業は365日休みがないので大変です。

それでも、日本が生き残るためには、エネルギーと食料問題を解決しないと存続できないと考えているので、まずはソーラーシェアリングによる農業を拡大させていきたいです」

馬上先生曰く、農業を始めてから3年目で、農地は既に約3.5ヘクタールになっており、そう遠くないうちに10ヘクタールぐらいは管理することになるだろうとのことでした。

今後は、Ag Tech(アグテック)なども積極的に取り入れていき、農業ビジネスを成功させるために日々がんばっていきたいとお話いただきました。


あとがき

今回取材させていただいた大木戸町の農地の近くでは、現在低圧太陽光発電所も建設中で、あと2週間弱で工事は終わるとのことでした。
荒廃農地を再生した場所なので土壌が弱いため、ポットのいちじくはこちらで育てるとのことで、太陽光パネルは1枚455Wの最新型のものを使用するそうです。

最後に馬上先生がお話くださった「Ag Tech(アグテック)」とは、スマート農業と同義です。
そして、スマート農業とは、農林水産省の定義では「ロボット技術やICTなどの先端技術を活用し、超省力化や高品質生産などを可能にする新たな農業」を指します。

今回活用されていた太陽光発電×EVやEVバイクだけでなく、今後はICTやロボット、AIなども活用した次世代型の農業に挑戦していくということですね。

最新技術と農業の新しいかたち、導入が急がれますね。

当社では、ソーラーシェアリングの設計・施工をおこなっております。
ソーラーシェアリングについて、ご質問やご相談などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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太陽光発電の設計・施工で20年以上の実績。最近では再エネ率の高い電気と蓄電池を併せた提案も好評です。環境にいいこと・持続可能な地球・100年後の子供たちのために様々なソリューションで再エネ普及をしています。

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