【農業×太陽光発電】ソーラーシェアリングの成功と失敗(前半)

インタビュー

今回は、千葉エコ・エネルギー株式会社が運用されているソーラーシェアリング「千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機」を事例としてご紹介させていただきます。

当社(横浜環境デザイン)と千葉エコ・エネルギー株式会社の代表である馬上さんとは、9年近くのお付き合いになります。馬上さんが、千葉大学の講師をしている頃からなので、いまだに「馬上先生」とお呼びしています。

そのころは、FIT制度が始まったばかりで、低圧発電所建設に関わる収支セミナーのYouTube動画などを馬上先生と撮影したり、まだソーラーシェアリングが普及する前の2014年には、当社の本社でソーラーシェアリング普及セミナーを開催したりしていました。

あの頃は、馬上先生がソーラーシェアリング実践の第一人者になられると思っていなかったのですが、今やテレビ取材も多く、環境大臣である小泉進次郎氏の再エネ普及のヒアリング(国・地方脱炭素実現会議)にも呼ばれておられます。

そんな馬上先生に、今までソーラーシェアリングをやってきて成功したこと、失敗したことなどについて詳しくお伺いしました。ご興味のある方は、ぜひご参考ください。

<今回事例として取り扱う発電施設について>

千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機

所在地:千葉市緑区大木戸町
発電事業者:千葉エコ・エネルギー株式会社
完工年月日:2018/3/27
発電出力:625kW
遮光率:48%
PCS:SMA社製SUNNY TRIPOWER25000TL-JP 25台
パネル角度:10度
支柱間隔:4.5m
下部農業面積:約10,000㎡
営農者:千葉エコ・エネルギー株式会社/株式会社つなぐファーム

【ソラシェア事例】年間を通じて雇用ができなった課題・失敗

3年前のスタート時には、まずニンニクの栽培を始めたとのことでした。
生産は工夫を重ねながら比較的順調だったのですが、ニンニクの場合は、秋に植えて翌年の夏前ぐらいに収穫することになります。

そのため、作業の忙しい時期にばらつきが大きく、農業で年間を通じて雇用ができないことに問題がありました。また、1年に1回しか農産物ができないため、販売店や飲食店との付き合いも難しいという課題を抱えていました。

そこで、2020年からは少量多品目の野菜栽培に切り替えていき、年間を通じて農業従事者を雇用できるような生産体制に切り替えられました。

また、ここはメディアの取材や見学者も多く来られる実験的な農場のため、年間を通じて作物が育っている様子を見ることができる環境を整えたいという思いもあったそうです。

現在の収穫状況については、以下のようにお話いただきました。

「今は時期的にナスの出荷が最盛期です。ほかにも葉物では、キャベツ、リーフレタスを植えています。ナスに関しては、7月に入ってよく取れるようになり、1日100kgほど収穫することができます。6月中旬から収穫を始め、9月までには3~4トン以上収穫できると思います。

ナスの作付面積は約1300㎡で、これは低圧太陽光発電所1基分の場所になります。そこに、1,000本の苗が植わっています」

このソーラーシェアリングの下で収穫された野菜は、スーパーやショッピングモールの産直野菜売り場に卸しているほか、地元の店舗でも取り扱われています。

大規模・大量生産型の野菜の場合は、契約出荷ができ、決まった時期に決まった量の出荷を約束することができます。

しかし、今回の「千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機」の畑は、少量多品目を育てる畑なので、コンスタントにスーパーに卸すことは難しいです。その代わり、産直野菜として地元の方に食べていただいているとのことでした。

先日、お中元として馬上先生から当社へお送りいただいた、生で食べられるジャガイモ「はるか」も、このソーラーシェアリングの畑で収穫されたものです。
現在も、研究のためにさまざまな野菜を育てられています。

「私たちは、千葉県の匝瑳市にもソーラーシェアリングを持っていて、そこでの遮光率は35%程度、一方ここ(千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機)では48%畑に届く日射の量がより少ないです。

架台の高さはモジュールまで4mぐらいと高く、モジュールの配置も工夫したことで日射が少ないとは思わないのですが、これくらい高い遮光環境にしたことで、育つ野菜と育たない野菜がはっきりと分かれてきました」

【ソラシェア事例】遮光率と作物の生育課題

遮光率が48%と高い大木戸町のソーラーシェアリングでは、特に次の3種類の野菜が上手く成長しませんでした。

・じゃがいも
・枝豆
・落花生

これらの作物は遮光率が35%の匝瑳市のソーラーシェアリングに比べて、明らかに育ちが悪い(収穫量が少ない)です。しかし、それに対して葉物野菜は、48%の遮光率でも問題なく生育することなどもわかってきました。

このように、ソーラーシェアリングをおこなうには、太陽光パネルの高さや遮光率に合わせて、条件に適した作物を選ぶ必要があります。

経済産業省が7月21日公表した新しいエネルギー基本計画の原案では、2030年度の総発電量のうち再エネの比率を36~38%(現行目標は22~24%)にすると、大幅に目標が引き上げられました。

しかしながら、建設候補地となる土地はどんどん減っていることを鑑みると、耕作放棄地や所有者不明地の活用促進をおこない、ソーラーシェアリングのさらなる普及が急ぎ求められてくるでしょう。

先ほど述べたように、今後、遮光率と生育に適した作物の関係性が明確になればなるほど、現在農業をおこなっている方にも、耕作放棄地の活用を検討されている方にも、「ソーラーシェアリング」という選択肢はより身近になるかもしれませんね。

当社では、ソーラーシェアリングの設計・施工もおこなっております。

まだまだ色んな可能性を秘めているソーラーシェアリングについて、ご興味やご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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【農業×太陽光発電】ソーラーシェアリングの成功と失敗(後半)

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太陽光発電の設計・施工で20年以上の実績。最近では再エネ率の高い電気と蓄電池を併せた提案も好評です。環境にいいこと・持続可能な地球・100年後の子供たちのために様々なソリューションで再エネ普及をしています。

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