エコロジカル・フットプリントとは?日本の分布図と削減への取り組み

環境

エコロジカル・フットプリントとは

「エコロジカル・フットプリント」とは、人間活動が地球環境に与える影響を示す指標の1つです。

環境省『環境・循環型社会・生物多様性白書』によると、具体的には私たち人間が消費する資源を生産したり、社会経済活動から発生するCO2を吸収したりするのに必要な生態系サービスの需要量を地球の面積で表した指標になります。

また、世界のエコロジカル・フットプリントは年々増加傾向にあります。

エコロジカル・フットプリントで問題を可視化

例えば、あるエコロジカル・フットプリントは以下を合計した値として計算されます。

①化石燃料の消費によって排出される二酸化炭素を吸収するために必要な森林面積
②道路、建築物等に使われる土地面積
③食糧の生産に必要な土地面積
④紙、木材等の生産に必要な土地面積

この場合、アメリカで人間1人が必要とする生産可能な土地面積は5.1ha、カナダでは4.3ha、日本2.3ha、インド0.4ha、世界平均1.8haとなります。このことから、先進国の資源の過剰消費の実態を読み取ることができますね。

(参照:環境省『「持続可能な未来をつくるエコロジカル・フットプリント」〜マティース・ワケナゲル氏来日講演会(全3部)〜について』)

徐々に早まっていく「アースオーバーシュートデー」

1970年代前半には、地球が生産・吸収できる生態系サービスの供給量を超えており、2023年時点で世界全体のエコロジカル・フットプリントは地球1.75個分に相当します。これはつまり、私たちが未来の世代の資源(資産)を食いつぶして生活していることを表しています。

このように人間の資源に対する需要が1年間に地球が供給できる量を超過することを「オーバーシュート」といいます。

国際環境シンクタンクのグローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)では、毎年地球が供給する量を人間が消費し尽くす日を「アースオーバーシュートデー」と称し、アナウンスしています。

アースオーバーシュートデーは、日付が1年の終わりである12月31日に近ければ近いほど超過するタイミングが遅く、持続可能性が高いと言えます。逆に1年の始めである1月1日に近いほど超過するタイミングが早いことを示します。

算定し公表されるアースオーバーシュートデーは、徐々にその日付が早まっており、地球の自然環境への負荷が深刻化していることがわかります。

2023年は「8月2日」となりました。来年以降、この日付はどうなるのか?ぜひチェックしてみてください。

日本のエコロジカル・フットプリント

GFNによると、日本のエコロジカル・フットプリントは世界で38番目に大きく、米国の0.6倍、中国の1.4倍です。

2023年のエコロジカル・フットプリントで見ると、世界平均の約1.75倍、世界の人々が日本人と同じ生活をしたとき、地球が2.9個必要になるという試算が出ています。

日本のエコロジカル・フットプリントの分布

エコロジカル・フットプリントは「人口×1人あたりの消費×生産・廃棄効率」で表されますが、「面積×生物生産効率」で表される指標はバイオキャパシティと呼ばれます。

例えば、太陽エネルギーが水と二酸化炭素と反応し光合成をおこなうことや、それにより植物は成長し二酸化炭素の吸収に役立つこと、それだけでなく食料・衣服・居住などの生活必需品を与えてくれることなど。このような生態系サービスの供給量を「バイオキャパシティ」と呼びます。

日本で、エコロジカル・フットプリントがバイオキャパシティの範囲内に収まっている地域は約6割です。その地域は持続可能であると言えますが、一方で残りの約4割の地域はおいては、エコロジカル・フットプリントがバイオキャパシティを超過しています。

これはつまり、超過地域では消費する食料・エネルギー等の資源の生産や排出したCO2の吸収を国内の他地域や海外に依存していると言えます。

また、エコロジカル・フットプリントがバイオキャパシティの100倍を越える区域は全体の約4%を占め、その内6割が東京、大阪、神奈川の3都府県に集中しているそうです。

エコロジカル・フットプリントを削減する取り組み

WWFでは、エコロジカル・フットプリントを減らす3つの矢として以下が挙げられています。

①FSCやMSCなど環境負荷の少ない認証製品を選ぶ
②生産時に投入する資源の量や、廃棄物の量を減らす
③効率よく資源を利用するための技術革新を進める、または支援する

それでは、1つずつどういった内容なのか見てみましょう。

①FSCやMSCなど環境負荷の少ない認証製品を選ぶ

水産資源と環境に配慮し、持続可能な漁業によって獲られた天然の水産物のみに付いているラベルであるMSC認証商品を選んで、水産資源と環境に配慮をした魚を選びましょう。

②生産時に投入する資源の量や、廃棄物の量を減らす

日本の食品ロスは年間600万トンにのぼり、これは東京ドーム5杯分とほぼ同じ量。日本人1人当たり、お茶碗1杯分のごはんの量が毎日捨てられている計算になります。
62%の食料を輸入に頼っている日本にとって、食品ロスを減らすことは、輸送にかかる資源の量や海外で生産時の資源の量を減らすことができます。

③効率よく資源を利用するための技術革新を進める、または支援する

例えば、4kWの太陽光発電によるCO2削減量は、スギ林 2,000平方メートル分(約200本分)の吸収量に相当します。こうした再生可能エネルギーの活用は企業・個人ともに求められています。

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いかがでしたでしょうか?

今、すでに地球1.7個分の資源を使っている私たちは、一人ひとり毎日できることに取り組むことが求められています。まずは現状を知ることから。ぜひ詳しく調べて見たり、GFNの公式サイトをご覧になってみてくださいね。

☞グローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)公式サイトはこちら

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