太陽光発電の廃棄費用は積立が義務化|2022年7月からの新制度と費用感を解説

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太陽光発電の廃棄費用積立義務化をご存じですか?

2022年4月1日から施行された「改正再エネ特措法」に基づき、2022年7月から太陽光発電設備の廃棄費⽤積⽴制度がスタートしました。

資源エネルギー庁のガイドラインによると、対象となるのは“FIT・FIP制度を導入している10kW以上の太陽光発電設備すべて”です。また、廃棄費用の積立制度自体は、すべての発電所で一斉に開始ではなく積立開始時期は「調達期間が終わる日の10年前から」となります。

例1)2013年7月1日にFITを導入した場合、2023年7月1日から積立開始
例2)2012年6月30日までにFIT制度を利用して運転開始した発電所は、2023年7月1日の制度開始と同時に廃棄費用の積立開始

廃棄費用の積立制度は、もともと任意でおこなわれていました。しかし、2019年に国が調査したところ、実際に廃棄費用を積み立てていた発電事業者は16%しかいないことがわかりました。
これを受けて、不法投棄などを防ぎ、発電設備が正しく廃棄されることを目指しこの制度が義務化されました。また、積立費用は売電収入から廃棄費用が差し引かれ、推進機関という積立金の管理をおこなう団体に収められます。

<廃棄費用積立制度:図解>

廃棄費用積立制度_図解

どれくらいかかる?廃棄費用の目安

積立金は「積立基準額」×「売電量」で求めることができます。ただし、積立基準額は「FIT認定年度」や「入札区分」「容量」によって変動するので注意が必要です。

<積立金基準額一覧>

廃棄費用積立制度_基準額一覧

参考例)
2013年度に運転開始した場合の積立金総額
・売電価格:36円/kWh
・積立基準額1.40円/kWh
50kWでは700,000円(年間:70,000円)
300kWでは4,200,000円(年間:420,000円)

いつFIT認定を受けたかによりますが、売電収入の約4〜6%程度が廃棄費用として天引きされる計算になります。

条件次第で発電事業者自身での積立も可能?

今回の制度では、条件を満たせば発電事業者自身で積立をおこなう「内部積立」も選択が可能となります。この内部積立では、改めて事業計画を作成、公表したうえで、次の5つの条件をクリアすることが必須です。

<内部積立に必要な条件>
① 50kW以上の高圧発電設備であること
② 事業計画に記載される事業者が発電事業者本人であること
③ 積立基準額よりも高い金額の積立をおこない、それを公表すること
④ 積立金額を定期的に公表すること
⑤ 金融機関や会計士などのチェックを定期的に受けること

また、以下は経済産業省資源エネルギー庁によりおこなわれた調査結果となります。こちらも参考までに、簡単にご紹介します。

<太陽光発電設備の廃棄費用の額及び調査結果>
アンケートの結果から、標準的な太陽光発電設備に係る廃棄費用中央値は以下のようになった。
・コンクリート基礎の場合:約1.4万円/kWh
・スクリュー基礎の場合:約1.1万円/kWh
→うち、PVパネル+架台(基礎除外)に係る廃棄費用の中央値:0.59万円/kWh

積立金の払い戻しに関する注意点

積立金の払い戻しをおこなう場合には、複数の書類を作成し、推進機関に提出する必要があります。

<必要なもの>
・申請書
・印鑑証明書
・認定事業者であることを証明する書面(認定事業者が申し込む場合) or 認定事業を承継したことが証明できる書面(承継人が申し込む場合)

積立金を払い戻すには、解体前と解体後で提出書類が異なるので注意してください。

<解体前に申請する場合>
解体・撤去業者との契約書の写しなど「解体をおこなうことが証明でき、その費用がわかる書類」が必要
<解体後に申請する場合>
解体・撤去業者との契約書の写しや、産業廃棄物管理表、現場の写真、領収書など、「解体したことが証明でき、その費用がわかる書類」が必要

積立制度と発電設備の購入・設置時のポイント

ここまでいかがでしたか?
最後に、積立制度を踏まえ、発電設備購入・設置の際に注意すべき主なポイントは次のとおりです。

・廃棄費用を含めた適切な収支計画
・太陽光パネルのデータシート(※)
→廃棄処分時に必要となることがあるので、購入時または設置時に入手が必要
・積立金が「いつから」「いくらくらい」引かれるのかを予め計算しておく

※「データシート」とは?
太陽電池モジュールにどのような物質が含まれているかが記載されている資料。パネルメーカーが発行するもので、設備を施工した業者経由などにより入手ができます。

ポイントを押さえて、きちんと対応していきましょう。

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