【最新太陽電池 ペロブスカイト型もご紹介】太陽光パネルの種類と特徴
電気代の高騰や脱炭素化の推進を背景に個人・法人問わず太陽光発電設備導入のお問合せをいただく機会が増えてきております。今ご覧いただいている皆さまの中にも太陽光発電設備導入のご検討を進められている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、太陽光発電設備の導入に向けた太陽光パネルの選定に役立つ情報をご紹介させていただきます!
皆さまは太陽光発電設備の選定に際し、どのような基準で検討されていますでしょうか?生産地や保証年数、発電効率など判断材料は多岐に渡ります。
今回は、中でも太陽光パネルにスポットを当てて解説しますので、機器の選定にお役立てください。
【太陽光パネルの素材とは?】3つの系統
太陽光パネルは、大きく分けて「シリコン系」「化合物系」「有機物系」の3種類しかありません。それぞれの特徴は以下の通りです。
① シリコン系
シリコン系太陽光パネルは、その名の通りシリコン(別名ケイ素)を原材料とした太陽光パネルです。シリコンは半導体の性質を持っており、国内で使用されている太陽光パネルの95%がシリコン系と言われております。
② 化合物系(CIS)
化合物半導体太陽光パネルは、銅(Cu)・インソジウム(In)・セレン(Se)の3つを主な原料としております。現在主流のシリコン系太陽光パネルと比べて晴天時の発電効率は劣りますが、曇天時などの日射が少ない状況での発電効率が相対的に高く、影のある場所でも発電が可能です。
③ 有機系 New!
電気を流す半導体は無機物で作られることが原則ですが、有機系太陽光パネルはシリコンなどの無機物とは異なる有機物から作られます。有機系太陽光パネルは、薄くて軽く曲げが効くことから、フレキシブルパネルなどとも呼ばれております。
あとに取り上げているペロブスカイト型太陽電池は、「有機/無機ハイブリッド型」と呼ばれております。
Tips:そもそも有機物と無機物の違いとは?
・有機物:生物の体内で何らかの反応を起こして生まれる物質。もしくは炭素を含み、燃焼効果により二酸化炭素や水が発生する物質。
・無機物:水や空気、鉱物などから得られる物資。
【太陽光パネルの仕組み】発電原理を解説
太陽光発電は、光エネルギーから直接電気を作る太陽電池を利用した発電方式です。
シリコン系太陽光パネルを前提にお話しします。下図のように太陽光パネル面に光を当てることが、発電の前提条件です。
パネル面に太陽光が当たると、電子(-)と正孔(+)が発生します。電子はN型半導体に、正孔はP型半導体に引き寄せられます。その結果、電子の移動が活発になり電気の流れが生じます。
【注目の太陽電池】ペロブスカイト型とは
この10年で急速に注目を集めているのがペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を用いた新しいタイプの太陽電池です。2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が発明しました。
開発当初は約3%台の変換効率でしたが、2024年現在ではモジュールで20%近い変換効率まで達成したという成果も出てきています。
☞参考;日経クロステック「ペロブスカイト太陽電池、高効率化と低コスト化で躍進」
ペロブスカイト型太陽電池の特徴と強み
① 材料を塗布や印刷でつくることができる
太陽エネルギーの吸収率が非常に高く、また塗布や印刷によって製造が可能なため、実用化が出来れば安価で高効率な太陽光パネルを実現できると言われています。1日に製造できる量も多いことから、低コスト化が期待できます。
② ゆがみに強く、軽量化できる
ペロブスカイト型の場合、小さな結晶の集合体が膜になっているため、折り曲げやゆがみに強くなっています。また、重量もシリコン型の10分の1程度まで軽量化が可能と言われているため、これまで設置が不可能だった建物への設置や建物壁面への設置が可能となるというメリットもあります。
③ 製造コストを抑えることができる
ペロブスカイト型では高価な貴金属などを使用せず、手に入りやすい材料で製造できるため、シリコン型などに比べ製造にかかるコストを抑えられることも強みの1つと言えます。
そして、エネルギー変換効率についても、上述の通り年々その性能は向上してきています。
ペロブスカイト型太陽電池の実証実験 事例
事例① 森ヶ崎水再生センター
森ヶ崎水再生センターにて東京都&積水化学工業の共同研究が開始されています。
水処理施設の反応槽覆蓋上部へ約1kW(9㎡)のフィルム型ペロブスカイト型太陽電池を設置し、発電効率の測定や耐腐食性能等を検証しています。
2023年5月24日より検証が開始されており、2025年12月1日までを予定しています。
事例② 積水化学工業開発研究所など
積水化学工業とNTTデータは2023年4月からペロブスカイト型太陽電池の建物外壁への設置に向けて2023年4月から実証を開始しています。これは、既存建物への設置方法の確立や、外壁面(垂直面)での発電効率などの検証です。
その他にもトヨタ自動車とエネコートテクノロジ-ズは、2023年6月27日にペロブスカイト型太陽電池の共同開発を行うことを発表しています。
2030年までに電気自動車(EV)の屋根などへフィルム型ペロブスカイト太陽光パネルの搭載を目指しています。
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いかがでしたでしょうか?
ペロブスカイト型太陽電池はまだ実証段階になりますが、私たちの日常にとても近いところでエネルギー革命を起こしてくれるかもしれません。
電気代高騰への対策や脱炭素化に向けて一層の期待が高まりますね!
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