太陽光発電所の発電量/効率低下の原因を簡単チェック!「PR値」とは
太陽光発電所を所有して10年近く経ってくると、次のような話をよく聞きます。
「なんだか今年は発電量が少ない気がする」
「今年は天気があまりよくないから、発電実績が予想より低い」
もちろん、太陽光発電の発電は天候に左右され、台風が多く雨が多い年は発電量が下がります。ただ発電量低下の原因はその年の天候のせいだけではないかもしれません。
そこで今回は、太陽光発電設所の発電量や発電効率のパフォーマンス低下に対して、原因を解明する方法の一つである「システム出力係数(PR値)」について解説していきます。
太陽光発電所を保有している方は、ぜひご覧ください。
太陽光発電の「発電量指数」と安定した売電量確保
発電量評価の指標「システム出力係数(PR値)」の計算方法
太陽光発電設備の発電量評価のもっとも一般的な指標は、システム出力係数(performance ratio)を見るものです。“performance ratio”の頭文字をとって「PR値」ともいわれます。
PR値は、太陽電池の公称最大出力値(Pmax)に対して,実際にどの程度の発電量が得られたのかを示す値です。この数値は、以下の式で求めることができます。
<PR値の求め方(計算式)>
【参考例】A発電所(980kW)の2000年10月のPR値を見てみましょう!
実際の発電所の情報やデータを、先ほどご紹介したPR値の計算式に当てはめてみました。
そうすると、A発電所の2000年10月のPR値は、86.8%という結果となりました。
手元のデータで計算が可能な方は、ぜひ一度確認してみてくださいね。
「PR値」を活用して長期的に安定した売電収入を得るには
太陽光発電所では、計画段階からPR値をシミュレーションで算出し、それを基に点検やメンテナンスなどのO&Mを実施します。
このように、指標となる数値を算出し、上記のような対応を定期的におこない、発電量を定期的・長期的に管理していくことが安定した売電収入につながります。
また、この指標を活用することで、遮光や汚れによる損失、あるいはケーブルやパワーコンディショナの不具合など、さまざまな損失要素を加味した指数で発電量をみることができます。
【事例紹介】PR値を算出して発電量の低下原因が判明する?
それでは次に、発電量の低下があったため、太陽光発電設備の不具合調査を実施したとある太陽光発電所の事例を簡単にご紹介します。
原因は機器の不具合?それとも遮光物?
当該太陽光発電所で不具合調査をおこなうにあたり、調査方法の一つとして、先ほど説明をした「PR値(システム出力係数)」を活用しました。
PR値の年間データを算出してみると、1月と12月のPR値が極端に悪いことがわかりました。
1月と12月を除いた他の月は、PR値はほぼ80%前後だったことから、パワーコンディショナやモジュールの故障や不具合ではないと推測できました。
それ以外となると、木などの影や遮光を含む“現地の環境”に原因があるのではないかと考え、現地にある木や建物などを含めた当該太陽光発電所周辺の年間を通した影の動きを推測するシミュレーションを実施しました。
最終的に、当該太陽光発電所の発電量低下の原因は、やはり周辺樹木や電柱による遮光が原因であると判明しました。
PR値を定期的に確認するメリット:売電量確保・販売価格の維持にも
山が多く緑が豊富な日本では、発電所に対しての遮光物も多く、年間の影のかかり方をシミュレーションするには難しいケースも多いです。
しかし、今回ご紹介した事例のようにPR値のデータを年間や経年分算出することにより、発電量が下がっている原因が、パワーコンディショナやモジュールの不具合よるものなのか?季節や時期的なものなのか?など、原因を特定するために役立てることが可能となります。
現状では、当初の発電量シミュレーションと実際の発電量に乖離があるケースや、売電開始時と比べて発電量が大幅に低下してしまっているケースなど、問題のある太陽光発電所が低圧に限らず多くあります。
いざ太陽光発電所を売ろうとした際に、こういった問題が判明してしまうと大変ですよね。
そのため、大きな問題を抱える前に、定期的な点検・メンテナンスを実施し、毎月または毎年のPR値の推移を比較しておくことをおすすめします。
その上で、適宜必要なチェックや、不具合の早急な是正をおこなうことが、20年間の安定した売電量確保につながります。また、太陽光発電所を売りたいという場合にも、適正価格にて販売することができます。
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いかがでしたでしょうか?
「年間の太陽光発電量がシミュレーションより大幅に低下しているな」と心配がある方や、今後のために点検・メンテナンスのO&Mを検討したい方は、ぜひ一度ご相談くださいね。