自家消費型太陽光発電の「PPAモデル」とは?オンサイトやオフサイトなど導入方法の違いを簡単に解説
現在、国内の自家消費型太陽光の市場は成長を続けており、富士経済によると2021年度に277億円規模だったものが、2035年度には15.9倍の2,553億円規模まで拡大すると予測されています。
同市場は、固定価格買取制度(FIT)による売電単価と電力系統からの買電との価格差が少なくなった2017年度頃から本格的に市場が形成されました。以降、FITによる投資型から自家消費型へシフトする形で市場拡大は続くと見られています。
そこで今回は、再生可能エネルギー設備(以下、再エネ設備)である自家消費型太陽光発電の導入方法の1つである「PPAモデル」について、全国各地でオンサイト型PPAのサービスを展開されている関西電力株式会社さまに詳しく解説いただきました。
また、同社で提供されているオンサイト型PPAサービスについても、導入事例やシミュレーションを交えご紹介いただきました。ぜひこの機会にご覧ください。
PPAモデルとは?
再エネ設備の2つの導入方法(自社所有型・PPAモデル)
太陽光発電の導入方法は、所有形態の違いによって 「自社所有型」 と 「PPAモデル」 の2種類に分けられます。
「自社所有型」 とは、その名のとおり太陽光発電設備を自社で購入・設置し、運用するモデルです。 設備の運用・管理・保守に手間や費用がかかりますが、設備も発電した電気も自社のものとして自由に使うことができます。
「PPAモデル」 とは、Power Purchase Agreement(電力販売契約)の略で、「第三者所有モデル」 とも呼ばれます。「PPAモデル」 は、PPA事業者が太陽光発電設備を購入し、需要家(電気を使用する企業)の敷地や遊休地に設置して、需要家がPPA事業者から発電した電気を購入するモデルです。PPA事業者は、太陽光発電設備を設置し、運用・管理・保守を行います。需要家は太陽光発電設備で発電された電気を利用し、使用量に応じた料金をPPA事業者へ支払います。
現在、「PPAモデル」 はアメリカを中心に世界各国で普及が進んでいます。日本でも、脱炭素ニーズの高まりに加え、初期投資なしで運用・管理・保守に手間がかからない手軽さから、「PPAモデル」 の導入が加速しています。
PPAモデルのメリット
① 初期投資が不要
PPA事業者が太陽光発電設備を設置するための初期投資が不要です。導入後にかかる費用は、電気の使用量に応じてPPA事業者に支払う料金のみです。PPA事業者に支払う料金の方が電力会社の電気料金より割安であれば、電気料金の削減が可能になります。
② 運用・管理・保守の手間や費用がかからない
設置後の運用・管理・保守をPPA事業者に任せられることもメリットの1つです。設備の遠隔監視や異常時の対応もPPA事業者が行う場合が多く、自社の業務負担を軽減できます。設備が故障した場合は、原則としてPPA事業者が費用を負担したうえで修理するので、通常、需要家が追加費用を支払う必要はありません。
※ 需要家においても、主任技術者による太陽光発電設備の保安・監督が必要な場合があります。
PPAモデルのデメリット
① 契約期間が長い傾向にある
一般的に、PPAの契約は15〜20年と長期に及ぶ場合が多いです。契約期間中は需要家都合での太陽光発電設備の交換や修理・処分を速やかに行うことが難しく、契約内容は事前に十分ご確認いただく必要があります。
② ライフサイクルコストで自社所有型よりも費用が増加する可能性がある
PPA事業者は、太陽光発電設備の一括調達等で安価に設備を導入できる一方で、機器の故障や修理対応のために発生するリスクを予めサービス料金に見込んでいます。そのため、自社所有型で耐用年数まで故障せずに十分に発電できた場合は、PPAの方が需要家の支払う金額は多くなる可能性があります。
PPAモデルで太陽光発電を導入する方法(違いとメリット・デメリット)
PPAモデルの全体像
オンサイト型とオフサイト型の違い
「オンサイト型」のPPAは、PPA事業者が需要家の敷地内に設置した再エネ発電設備からの再エネ電気を、需要家が購入するモデルです。
一方で、「オフサイト型」のPPAは、PPA事業者が需要家の敷地外に設置した再エネ発電設備からの再エネを、需要家が購入するモデルです。
オンサイト型のメリット・デメリット
ここではオンサイト型に焦点を当てて、オフサイト型と比較した場合のメリット・デメリットを説明します。
【メリット①】オフサイト型に比べ安価なPPA単価となる傾向がある
オンサイト型は、一般送配電事業者の系統を経由せずに需要家に電気を供給できるため、託送料金や再エネ賦課金が不要です。そのため、一般送配電事業者の系統を経由して電気を供給するオフサイト型に比べて安価になる傾向にあります。
【メリット②】長期的に安定したコストでエネルギーを調達できる
オンサイト型の場合、PPA事業者に支払う料金単価は固定です。燃料の高騰や為替の変動などのさまざまな外的要因によって電力会社の電気料金は変動しますが、料金単価が固定であるため電気料金の変動リスクを回避し、長期にわたって安定した価格でエネルギーを調達できます。(オフサイト型でも「フィジカルPPA」であれば固定価格での調達は可能です。)
【メリット③】非常用電源としての活用が可能
自立運転型パワーコンディショナーを導入する等の設計変更で、停電が発生した際も太陽光発電設備から需要家の負荷設備に電気を供給することが可能です。また、蓄電池などと組み合わせることで、BCP対策の幅を広げることが可能です。
【デメリット】導入できる規模に制限がある
オンサイト型は、再エネ発電所を需要家の敷地内に設置しなければならず、「敷地が狭く設置スペースが無い」「建物の老朽化等で屋根上にパネルを設置できない」という可能性や、塩害・台風の対策によるコストアップの可能性も考慮する必要があります。一方でオフサイト型はそのような敷地の制約が少なく、大規模な需要にも対応しやすいスキームです。
バーチャルPPAとフィジカルPPAの違い
オフサイト型PPAは、「バーチャルPPA」と「フィジカルPPA」に分類されます。
「バーチャルPPA」は、発電事業者が発電した再エネ電気から、「電気」と「環境価値」を切り離して需要家に提供するモデルです。需要家は環境価値を証書として発電事業者から提供される一方で、電気は通常通り小売電気事業者から購入することとなります。発電事業者と需要家は、PPA契約価格と市場価格の差金を相互に補填しあうように金銭授受を行います。
一方で「フィジカルPPA」は、発電事業者が需要家に「電気」と「環境価値」をセットで固定価格にて供給します。(小売電気事業者が取引の間に介在することもあります。)
関西電力が提供する「太陽光発電オンサイトサービス」
「太陽光発電オンサイトサービス」とは
関西電力の太陽光発電オンサイトサービスは、お客さまの建物の屋根等に、関西電力グループが太陽光発電設備を設置・所有し、お客さまは、毎月の発電量に応じたサービス料金をお支払いいただく「オンサイト型PPA」のサービスです。「初期投資不要」「設計~運用後のメンテナンスフリー」である点、大変ご好評いただいております。
辻・本郷 スマートアセットさま・関西電力グループで協力し、設計から20年のサービス期間内の運用・メンテナンスに至るまで、お客さまをサポートさせていただきます。
関西電力ならではの強み
【強み①】関西にとどまらない、全国各地での多数のご採用実績
「関西電力」という名前の会社ではありますが、おかげさまで関西に限らず全国各地のお客さまにご採用いただいております。
全国各地の工場から商業施設まで多様な業種のお客さまのお声を反映した結果、以下でご説明するその他の「強み」のように様々なニーズにお応えすることができるようになりました。
【強み②】蓄電池をはじめとした、豊富なソリューションとの組み合わせ
関西電力では、自社開発のエネルギーマネジメントシステム「SenaSon」を中核として様々な機器を連携させることができます。
例えば蓄電池を導入いただく場合、太陽光発電・建物需要の予測に基づく最適制御により、コスト削減効果を拡大することが可能です。もちろん、蓄電池を非常用のBCP対策として接続することも可能です。
さらには、カーポート型の太陽光発電システムもお取り扱いしており、屋根に設置スペースがないお客さまにもオンサイト型PPAをご提案できます。
【強み③】工期フリープランのご活用で、太陽光をもっとお得に
もっとお得にPPAを導入したいお客さまのために、関西電力では通常のサービスよりも約5%の割引ができる「工期フリープラン」をご用意しております。
本プランのお申込み条件として、「お申込後1年半以内での工事完工を前提に工事期間を決めさせていただける」ことをお願いしております。詳しくは、ページ下部のお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
サービス導入事例のご紹介
これまで本サービスは、工場・スーパー・病院などさまざまな業種のお客さまにご採用いただいております。あるスーパーマーケットのお客さまには、環境性のPRのためにご採用いただき、好評いただいております。
また、ある自動車関連の工場のお客さまには、サプライチェーンからの脱炭素要請に対応するために、ご採用いただきました。 太陽光では賄いきれない時間帯の再エネ化は、将来的に再エネ証書と組み合わせることを計画されております。
もっと具体的なお客さまの声は、関西電力の「法人向けソリューション紹介サイト」をご覧ください。
シミュレーション事例のご紹介
ここまでサービスについてご説明いたしましたが、実際にコストや二酸化炭素はどれくらい削減できるのでしょうか。
こちらのお客さまは関東にある工場でのご提案事例で、500kWの大規模の太陽光発電の導入を計画されています。これは、屋根面積でいうと約5千平米の折板屋根があれば設置できる大きさです。
工期に関しての制約が少なかったため「工期フリープラン」にて検討を進めていただき、コストメリットに関しては、太陽光発電オンサイト導入だけで年間約870万円のメリットと試算されました。
加えて、太陽光発電の導入により最大の契約電力が削減できれば、さらに数百万円のコスト削減が期待できます。CO2の削減量についても、年間約3百トンもの削減効果が見込まれます。
最後に
いかがでしたでしょうか?
関西電力の「太陽光発電オンサイトサービス」にご興味をお持ちいただいた方は、下記お問い合わせフォームよりご連絡のほどよろしくお願いいたします。皆さまのご連絡を心よりお待ちしております。
関西電力・太陽光発電オンサイトサービスお問合せフォーム
https://sol.kepco.jp/taiyoko/contact/
※お問い合わせフォームに「サステナブルスイッチで見た」旨をご記入ください。
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