【12月1日はエイズデー】SDGs目標3では根絶目標のひとつにも

環境

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」

(出典:国際連合広報センターHP

最近、ニュースで話題に挙がることが多い「SDGs」。

SDGsにはより良い世界を目指すために実現すべき持続可能な17の目標が掲げられていますが、自然環境の維持に関する目標だけでなく、福祉環境の維持に関する目標もあることを知っていますか?

12月1日は「世界エイズデー」

今回はこの「世界エイズデー」にちなんで、福祉環境に関する目標の1つであるSDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を取り上げてご紹介します。実はこの目標、世界的な伝染病「エイズ」との関わりが深いんです。

自然環境だけじゃない、SDGsの多岐に渡る目標設定を知ってみましょう。

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」とエイズの関連性

日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)によると、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」には、この目標を達成するためのターゲットが9つ掲げられています。そのターゲットの3つ目(3-3)には、エイズに関する目標が設定されています。

2030年までに、エイズ、結核、マラリアや、これまで見放されてきた熱帯病などの伝染病をなくす。また、肝炎や、汚れた水が原因で起こる病気などへの対策をすすめる。

なぜSDGsには、エイズを始めとした伝染病を根絶する目標が掲げられているのでしょうか?

それは、現在エイズなどの伝染病は予防や治療できるにも関わらず、世界にはいまだに医療が十分に提供されていない地域があるが故に多くの人が命を失っているからです。

特にサハラ以南のアフリカ地域において、エイズを始めとした伝染病が原因で多くの子供が命を失っています。サハラ以南のアフリカ地域に住む2人に1人の子どもが伝染病を発症しても治療を受けられない現状があるのです。

世界_医療

データで見る世界の医療・福祉環境

その現状を示しているのが、日本ユニセフ協会が公表している統計データ「世界子供白書2019」です。サハラ以南のアフリカ地域における人口10万人当たりのエイズ関連死亡数(2018年時点)を以下のように公表しています。

0~14歳の子ども 10~19歳の青少年 10~19歳の
青少年期の女子
10~19歳の
青少年期の男子
19.69 12.48 12.53 12.45

(日本ユニセフ協会「表5:HIV/エイズ 疫学に関する指標」を元に作表)

また、サハラ以南以外の地域はどうかというと、以下の通りです。

国・地域 0~14歳の
子ども
10~19歳の
青少年
10~19歳の
青少年期の女子
10~19歳の
青少年期の男子
東アジア・
太平洋諸国
0.84 0.27 0.25 0.29
ラテンアメリカ・カリブ海諸国 1.68 0.63 0.63 0.62
中東・北アフリカ 0.23 0.06 0.05 0.06
南アジア 0.54 0.15 0.15 0.15

(日本ユニセフ協会「表5:HIV/エイズ 疫学に関する指標」を元に作表)

0~14歳の子どもの人口10万人当たりのエイズ関連死亡数は、サハラ以南のアフリカ地域はそれ以外の地域の約19倍、10~19歳の青少年に関しては、サハラ以南のアフリカ地域はそれ以外の地域の約12倍であることが分かります。

世界的に医療技術は発達しているものの、サハラ以南のアフリカ地域ように十分な医療が行き届いていない地域もあり、それによって多くの命が失われています。
こうした現状を踏まえ、より良い世界を目指すための国際的な取組みであるSDGsでは、福祉関連の目標が掲げられているのです。

12月1日「エイズデー」について考えよう!エイズとは?

WHO(世界保健機関)は、世界的な医療問題となっているエイズの啓蒙活動を行う日として毎年12月1日を「世界エイズデー」と定めました。

そもそもエイズとはどのような病気なのか?

「HIV(ヒト免疫不全ウイルス)」というウイルスに感染することで発症する病気をいいます。HIVに感染すると免疫力が低下し、自力で抑制できる病気を発症するようになります。
このような病気のうち代表的な23の疾患を発症すると、エイズと診断されます。一般的にHIVに感染=エイズを発症と思われがちですが、この2つは同じではありません。

世界_色々

エイズは、今もなお世界的な医療問題として挙がり続けています。日本ユニセフ協会は、2019年時点の世界の感染者数を以下の通り公表しています。

・HIVと共に生きる人は世界全体で推定3,800万人
・新たにHIVに感染した人は推定170万人
・うち、710 万人は自身が HIV とともに生きていることを知らない

また、2019年11月26日には以下の2018年時点のデータも公表しています。

・毎日子ども320人がエイズ関連の病気で死亡
・HIVと共に生きる0~14歳の子どものうち、体内にあるHIVの複製を抑制する「抗レトロウイルス薬治療」を受けられたのは54%と約半数

しかしエイズは、今は「死の病」ではありません。

現在は治療方法が発展しているため、感染しても適切な治療を受ければ死亡のリスクを減らせる病気です。そして、どのように感染するのかを正しく理解すれば、予防もできる病気でもあります。

このようなエイズに関する正しい知識を広め、エイズによる死亡のリスクを減らしたり、エイズを発症したことによって受ける差別や偏見をなくしたりする活動をおこなうのが、12月1日の「世界エイズデー」です。

世界エイズデー2021のテーマは「不平等を終わらせる」私たちができることは?

手をつなぐ

今年(2021年)の世界エイズデーのテーマを、WHOは不平等を終わらせると掲げています。

では、「不平等を終わらせる」という取組みに対して、私たちができることは何でしょうか?それは、例えば次のような行動といえます。

1. 12月1日の「世界エイズデー」を知る!

1つ目は、12月1日の世界エイズデーにおこなわれる啓蒙活動を知ることです。

毎年12月1日の世界エイズデーには、日本を含め世界中でエイズに関する啓蒙活動の一環としてイベントやキャンペーンが実施されています。
啓蒙活動では何がおこなわれているかを知ることで、エイズについて考えるきっかけを作ることができたり、エイズに関する正しい知識を深めたりすることができるはずです。

日本では、厚生労働省が主催する以下のオンラインイベントが12月1日に実施される予定です。

イベント名
世界エイズデーイベント RED RIBBON LIVE 2021 ~ Think Together Again ~
日時
2021年12月1日(水)20時~22時(予定)
内容
タレントや医療関係者によるHIV/エイズに関するトークセッションやアーティストのライブなど

上記のイベントについては、公式ページ「RED RIBBON LIVE 2021」で詳しく紹介されているのでご覧になってみてください。

2. ユニセフに募金する!

2つ目は、ユニセフに募金することです。募金を通して、公衆衛生問題が改善されていない地域への支援活動を支えられます。

具体的にどのような支援活動を支えられるのかというと、HIV/エイズ簡易診断キットを届けることです。このキットにより、医療支援を十分に受けられない地域の子どもを優先的にHIV感染とエイズの発症を早期発見して適切な治療を受け、母子感染を防げる可能性が高まります。

日本ユニセフ協会が公表している「募金・寄付でできること」によると、HIV/エイズ簡易診断キットは1,284円で10回分届けられるそうです。

ユニセフへの募金は、都合の良いときや継続的におこなうことが可能です。詳しくは、日本ユニセフ協会の公式ページをご覧になってみてください。

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いかがでしたか?

SDGsでは自然環境に関する目標だけでなく、今回取り上げたエイズのような福祉問題に対しても目標が掲げられ、その目標に対する取組みが国際的におこなわれています。

SDGsについては、日本ユニセフ協会「SDGs CLUB」を始めとしたさまざまな公的機関が情報を発信しています。まずはSDGsを知ることから始め、できることを実践していくことが大切です。

SDGs目標3を含めSDGsについて、ぜひ色々調べてみてくださいね。

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