いざ、金沢区!?「鎌倉殿の13人」ゆかりの地を巡ろう[源家編]
2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。
「新選組!」や「真田丸」でお馴染みの三谷幸喜氏が脚本を手掛けるこのドラマは、小栗旬さんが演じる主人公の北条義時が、鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝の死後、有力な家臣団13人を集めて発足された合議制の中で壮絶なパワーゲームを繰り広げ、その頂点に上り詰めるまでの生涯を描く物語です。
タイトルが示す通り、物語の主要な舞台は神奈川県の鎌倉市であり、ドラマの紀行でもそちらが多く取り上げられています。しかし、横浜市金沢区もまた、鎌倉時代には幕府隣接の港町・六浦湊として栄えており、当時の武将たちにゆかりある地が点在しています。
今回は前編として、金沢区にある「鎌倉殿の13人」源家のゆかりの地をご紹介します。
<目次>
金沢区で巡る!源頼朝ゆかりの地
金沢区で巡る!北条政子ゆかりの地
金沢区で巡る!源範頼ゆかりの地
☞後編の「家臣編」はコチラ!
金沢区で巡る!源頼朝ゆかりの地
日本史において、鎌倉幕府の初代将軍として有名な源頼朝。
今回の大河ドラマでは大泉洋さんが演じており、戦場や政治の場で苦労する場面がコミカルに描かれる一方、残酷な決断を下すシリアスなシーンも多数描かれています。
そんな頼朝ゆかりの地が、金沢区には3カ所ほどあります。
源頼朝ゆかりの地①瀬戸神社
元来、金沢区の地は入海の瀬戸(狭い海峡)で、干満時には急流となるため海上交通の難所でした。そのため、5~6世紀(400~500年)頃から海神を祀っていたとされています。
この霊地に、頼朝が挙兵の際に戦勝を祈願した伊豆三島明神を勧請したのが、瀬戸神社の始まりとされています。
ここには、鎌倉時代から伝わる多数の文化財が保存されています。
中でも、源実朝が実際に使用し、母の北条政子が奉納したといわれる「舞楽面二面(抜頭面と陵王面)」は、2000年に国の重要文化財として指定されたことでも有名です。
また、境内には「あじさいぼんぼり」というヤマアジサイの花枝を支柱で支え、両手を合わせたような祈りの形を表現したアジサイが植えられています。
あじさいぼんぼりは、東日本大震災の翌月、天の御霊様に捧げる“祈りの花”として植え込みを開始されたということです。現在は境内において111株、111種類を仕立てており、11は大震災の月命日であり、1は始まりを意味しています。
この「あじさいぼんぼり」は、瀬戸神社だけの独特の形です。
アクセス:
京急線・シーサイドライン「金沢八景」駅から徒歩2分
源頼朝ゆかりの地②富岡八幡宮
富岡八幡宮は、建久2年(1191年)に源頼朝により、鎌倉幕府の守護神として祀られた神社です。
鎌倉の鬼門にあたる富岡に鬼門除けとして造営し、摂津西宮神社の蛭子尊の分霊を勧請したのが始まりとされています。鎌倉の鶴岡八幡宮と同じころの創立の古社です。
この由緒にちなみ、富岡八幡宮では「鬼門之祓」というお守りを授与しています。こちらを訪れた際には、家庭や職場の玄関など気になる方向へ祀るのに、お求めになられてはいかがでしょうか?
アクセス:
京急線「京急富岡」駅から徒歩8分
シーサイドライン「並木北」駅から徒歩10分
バス「宮の前」下車徒歩3分
源頼朝ゆかりの地③龍華寺(りゅうげじ)
龍華寺(りゅうげじ)はもともと、源頼朝が瀬戸神社を建立した後、文覚上人(もんがくしょうにん)とともに瀬戸神社の別当寺として六浦山中に立てた「蔵福寺(のちに浄願寺と改名)」が始まりといわれています。
その後、戦乱や火災で浄願寺の伽藍が荒廃したため、明応8年(1499年)に融弁上人が兼務していた光徳寺と併合し、現在の地に移り、龍華寺となりました。
「伽藍(がらん)」とは?
元々は「修行僧が集まって仏道を修する閑寂な場所」を意味していましたが、現在では「寺院の建造物」を意味する語として扱われています。
サンスクリット語の「サンガーラーマ」の音写語である「僧伽藍摩(そうぎゃらんま/そうがらんま)」の略。
(参考:日本大百科全書)
境内には四季折々の草花が植えられている華の寺としても知られています。特に4月中旬頃に咲く牡丹が評判となっているので、気になる方はぜひこの時期に足を運んでみてください。
アクセス:
京急線・シーサイドライン「金沢八景」から徒歩8分
金沢区で巡る!北条政子ゆかりの地
源頼朝の妻であり、頼朝の死後は弟の北条義時とともに鎌倉幕府を支えたことから、「尼将軍」の名で知られるようになった北条政子。
今回の大河ドラマでは小池栄子さんが演じており、頼朝同様にコミカルで家族思いな姿が描かれています。しかし一方で、史実の通り、頼朝の浮気相手の屋敷を焼き討ちにしたり、娘である大姫の許嫁を頼朝の命令で打ち首にした御家人を斬首にしたりと、頼朝に「恐ろし過ぎる……」と言わしめる一面もある女性です。
クライマックスの承久の乱が最大の見せ場と噂されており、主人公の義時と並んで今後の活躍に期待大です。そんな政子ゆかりの地は、夫である頼朝のゆかりの地である瀬戸神社の隣にあります。
北条政子ゆかりの地:琵琶島神社
治承4年(1180年)、源頼朝が三島明神を勧請して瀬戸神社を創建した時に、妻の北条政子が夫にならい、日頃信仰する琵琶湖の竹生島弁財天を勧請して、瀬戸神社近くの海中に島を築いて創建したと伝えられています。
ちなみに、琵琶島では平潟湾のアマモ場再生の試みがおこなわれており、生長したアマモは瀬戸神社の天王祭で神事に供されています。
アクセス:
京急線・シーサイドライン「金沢八景」駅から徒歩3分
金沢区で巡る!源範頼ゆかりの地
三河守・源範頼(のりより)は、源頼朝の異母弟であり、源義経の異母兄として知られる源氏の武将です。
今回の大河ドラマでは迫田孝也さんが演じています。坂東武士団とともに汗を流す、生真面目な努力家の武将として描かれており、劇中では頼朝と家臣団の仲を取り持つために奔走しているシーンが印象的です。
そんな範頼ですが、ある発言がきっかけで頼朝への謀反の疑いをかけられ、追い詰められた果てに自刃したとされています。金沢区には、そんな範頼を弔うゆかりの地があります。
源範頼ゆかりの地①薬王寺
源範頼の別邸の地、瀬ケ崎に範頼の霊を弔うために建立された真言宗の寺です。
当初は「薬師寺」と称されました。その後一度衰えましたが、再興され、現在の「三療山薬王寺」となりました。本尊の薬師如来は、範頼の念持仏(ねんじぶつ)といわれています。
「念持仏(ねんじぶつ)」とは?
個人が尊崇して日常的に礼拝するために身に付けたり、近くに安置している仏や菩薩などの像のことを指します。戦乱時には、陣中で護持したところから陣仏(じんぼとけ)などとも。
(参考:日本大百科全書)
鎌倉時代末期の聖観音菩薩像、金剛界・胎蔵界曼荼羅などの、昔からの法具が伝わっています。範頼の位牌を祀り、毎年、命日の8月24日には「三河忌」として追善供養がおこなわれています。
アクセス:
シーサイドライン「海の公園南口」駅から徒歩5分
京急線「金沢八景」駅から徒歩15分
源範頼ゆかりの地②太寧寺(たいねいじ)
範頼の最期は、伊豆修善寺に幽閉され、梶原景時らの討手を受け、自刃したとされています。
しかし、太寧寺(たいねいじ)の自伝によれば、鉈切まで逃れて、海に向いて建つ太寧寺へ入って自害したと記されているのです。
太寧寺の前身は、源範頼により瀬ケ崎に創建された真言宗の薬師寺といわれています。この薬師寺は寺前に移転し、現在の「薬王寺」となります。当初の薬師寺があった場所には、範頼の菩提のため鎌倉時代に範頼の戒名にちなみ、太寧寺が開かれました。
その後、昭和18年(1943年)に追浜飛行場拡張工事のため、現在の地へ移転されました。
アクセス:
京急線「金沢文庫」駅から徒歩15分
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いかがでしたか?
今回はあえて鎌倉市ではなく、横浜市金沢区にある「源家」ゆかりの地をピックアップしてみました。
金沢区にも、今回の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にまつわる歴史的なスポットや建造物がたくさんあることがわかっていただけたかと思います。
この機に今HOTな金沢区を訪れて、鎌倉時代の歴史に触れてみてはいかがでしょうか?
☞家臣たちや重要人物のゆかりの地は後編で!
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