12/16「紙の日」×再利用してリサイクル!SDGsな取り組み事例
ご存じでしたか?12月16日は「紙の日」です。
これは、明治8年(1875年)の同日に、王子製紙株式会社の前身となった抄紙会社の営業が開始されたことをきっかけに制定されました。
紙は、私たちの生活に欠かせないものです。
しかし、不要となって捨てられた場合は破棄するために燃やされ、結果としてCO2が排出されることから、地球環境に悪影響をもたらすものにもなり得ます。そのため、地球温暖化が進んでいる現在において、紙は「破棄せずリサイクルして再利用すること」が重要視されています。
そこで今回は「紙の日」の概要と、日本における紙のリサイクル事情や個人・企業で実践できる紙の再利用方法についてもご紹介していきます!
「紙の日」とは? 記念日の由来
12月16日の「紙の日」は、明治8年(1875年)に東京都北区の王子にあった抄紙会社が制定した日です。この抄紙会社は、2024年に刷新される新5千円札の顔に決定した実業家・渋沢栄一氏の提唱によって設立されました。
明治初期のヨーロッパでは、機械による製紙技術が発展していました。これにより、ヨーロッパでは洋紙が多く生産されるようになります。やがて、その製紙技術が日本に導入されると、日本においても洋紙が多く作られるようになりました。
渋沢栄一氏が抄紙会社の設立を提唱した目的は、こうした西洋水準に対抗しようと本を日本に普及させたり、出版業界を活性化させたりするためだったといわれています。
こうした目的を持った抄紙会社が12月16日に開業したため、この日を「紙の日」と制定したようです。
日本の紙リサイクル率はすごい?世界と比較
紙は私たちの生活に欠かせないものですが、地球温暖化が進んでいる現在においては、CO2を排出させる紙は極力捨てずに再利用することが求められています。
日本製紙連合会の公表によると、実は現在の日本における古紙の回収率や再利用率は、世界的にも高水準です。実際に、2019年時点における古紙の回収率は80.3%、再利用率は64.6%に及びます。
古紙の回収率や再利用率が高いのは、日本の製紙業界における「古紙再生処理技術」が磨かれ続けたからです。この古紙再生処理技術というのは、具体的には以下4つの技術を指します。
① 古紙をほぐして繊維に戻す(離解)
② 古紙に含まれる異物やゴミを取り除く(除塵)
③ インキを除去する(脱インキ)
④ 漂白する
(引用元:製紙産業からみた次期古紙利用率目標について|2020年12月15日 日本製紙連合会)
ただし、すべてを再利用とはいかないため、製品の製造時などにCO2を排出してしまっている事実もあります。2019年度時点での日本におけるCO2排出量のうち、産業部門のCO2排出量は35%なのですが、その産業部門のCO2排出量のうち製紙業界からの排出は6%を占めているのです。
☞詳しくは:紙パルプ・セメント産業の現状と課題|令和4年3月14日 経済産業省
現在、産業部門では商材の原料の脱プラスチック化が進み、それに伴って原料を「紙素材へ移行する」という発想が多く生まれています。しかし、物によっては紙素材へ移行したとしても“使い捨て”という形での利用となれば、結果的にCO2排出量を多くさせる要因になる可能性があることを忘れてはなりません。
地球温暖化を食い止めるためには、紙素材においても「使い捨て」を止めて、「再利用」するための工夫をしたり、しくみを作ったりすることが重要と言えるでしょう。
アイディアいろいろ!個人・企業の取り組み事例
紙素材の使い捨てによるCO2排出量を減らすために必要なことは、個人でも企業でも紙素材を再利用する取り組みを実施していくことが必要です。
そこで最後に、紙素材に対して個人や企業が取り組んでいる事例を紹介します。ここで紹介する取り組みは、持続可能な社会を目指すための目標「SDGs」の達成にもつながりますので、ぜひご覧になってみてください。
個人でできる紙×SDGsな取り組み事例
事例①卓上ゴミ箱として利用する
チラシなどの紙は、リビングのテーブルや仕事で使う机などの卓上ゴミ箱として再利用できます。
こうした紙の卓上ゴミ箱は、食事のときに出たティッシュのゴミや爪楊枝などをその場で捨てるのに便利なのはもちろん、ゴミ箱がいっぱいになったらゴミだけを捨てれば再度使えるというメリットがあります。
捨てるゴミを増やさずに済む好例です。
事例②小物の収納箱として利用する
前述した卓上ゴミ箱は、小物の収納箱としても使えます。チェストの引き出しに入れて靴下やハンカチ、マスクなどの小さい生活雑貨を入れる収納箱にするのです。
小さい生活雑貨は引き出しの中でバラバラになりがちなので、こうした収納箱に入れれば引き出しの中もすっきりしますし、ゴミを減らすこともできます。
事例③ブックカバーとして利用する
ショッピングバッグなどおしゃれな紙素材は、ブックカバーとして再利用できます。カバーをつければお気に入りの本や借りた本を汚さずに済みますし、紙素材のゴミを増やすことも防げます。
おしゃれな紙素材は捨てるともったいなく思うものですが、ブックカバーとして再利用すれば「もったいない」と思う気持ちも減るのではないでしょうか。
本のサイズに紙素材を切ってカバーするだけでできる、とても簡単な環境対策です。
企業の面白い紙×SDGsな取り組み事例
事例①不用コピー用紙のアップサイクルサービスの提供|山陽製紙株式会社
山陽製紙株式会社が提供しているのは、不用コピー用紙のアップサイクルサービス「PELP!」です。
オフィスで使わなくなったコピー用紙を集めて、そのコピー用紙から名刺や封筒などのビジネスツールを製造しています。自社で使わなくなったコピー用紙を使って、自社のビジネスツールを注文できるサービスも展開。
オフィスで大量消費・大量破棄されるコピー用紙をビジネスツールの原料として再利用すれば、CO2排出量削減にも大きく貢献できそうですね。
☞山陽製紙株式会社公式サイト『PELP! | 再生紙づくりを専門とする製紙会社』
事例②バナナペーパーを使った文房具・雑貨を展開|ミヤザワ株式会社
ミヤザワ株式会社では「バナナペーパー」を使った文房具や雑貨を展開しています。
バナナペーパーというのは、通常捨てられるバナナの茎の繊維と古紙を合わせた紙のこと。使われているバナナの茎の繊維は、途上国・ザンビアで育ったオーガニックバナナから取れるものです。
古紙を再利用してCO2排出量削減へ貢献しているだけでなく、途上国の雇用創出にもつなげているエシカルな取り組みの好例といえます。
☞ミヤザワ株式会社公式サイト『BANANA PEPAR』
事例③フードロスペーパーを使ったオリジナル紙素材の提供|株式会社ペーパル
株式会社ペーパルでは「フードロスペーパー」を使ったオリジナル紙素材の提供をしています。
フードロスペーパーとは、廃棄された食材を原料とした紙のこと。ペーパルでは、和紙など様々な再生素材と組み合わせて、クライアントのニーズにあったオリジナル紙素材を造っています。
例えば、食べられなくなってしまったお米や非食用米をアップサイクルして「kome-kami」という紙素材を製造しています。ペーパルは、企業活動で使われるノベルティグッズやパンフレットなどの紙製品をこのkome-kamiで作る提案をしています。
古紙を再利用してCO2排出量削減へ貢献しているだけでなく、現在大きな問題になっているフードロスの解消にもつながっている事例です。
☞株式会社ペーパル公式サイト『Food Loss Paper』
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今回は12月16日「紙の日」の概要と、日本における紙のリサイクル事情と個人・企業の紙素材の再生利用事例をご紹介しました。
普段の生活で無意識に捨ててしまっている紙素材は、地球温暖化の一因になっているものです。使わなくなったときは、捨てる前に「もう一度使える方法はないかな?」と立ち止まることが、私たちが今すぐ実践できるCO2の排出量削減対策の1つでしょう。
これを気に紙素材の使い捨てを見直し、できる再利用方法から実践してみてはいかがでしょうか?
☞フードロスへのアイディアもいろいろ
☞ゼロウェイストを体験してみよう!量り売り専門店