産業用蓄電池の選定方法は2パターン?家庭用との違いや選び方をわかりやすく解説
2019年11月以降、順次FIT制度による買取期間の満了を迎える方がいることや、ゲリラ豪雨・台風などの風水害に起因した防災意識の高まりから、近年は特に蓄電池が注目されています。
実際に、その導入台数は大きく増えてきております。日本電機工業会の発表によると、ここ4~5年の成長が著しく、家庭用蓄電池の2022年度の出荷実績は、なんと2018年度比で約2倍にまで増えています!
当社もご家庭向けの蓄電池を販売させていただいておりますが、近年の需要の高まりは非常に強く感じています。
このように一般に普及し始めたご家庭向けの蓄電池ですが、工場や事務所向けの産業用蓄電池については、皆さまはご存じでしょうか?
今回は企業さま向けに、産業用蓄電池について解説させていただきます。
産業用蓄電池とは?家庭用との違い
電気の種類の違い
家庭用と産業用での大きな違いの一つは、たくさんの電力を必要とする動力設備を稼働させられるかどうかです。
家庭用蓄電池は消費電力の少ない単相の電気を出力しますが、動力設備の多くは、送電効率が高く安定した三相の電気で稼働しています。
そのため、マンションやオフィスなどで使用されている業務用エアコン、工場の機械設備などを稼働させようとする場合、産業用の蓄電池が必要となります。
電池種類の違い
家庭用蓄電池には、小型で設置面積を小さくすることができる「リチウムイオン電池」が主に使用されます。リチウムイオン電池はサイクル性が高く、短時間に何度も充電をすることが可能です。
一方、産業用蓄電池では、リチウムイオン電池に加えて、ナトリウムと硫黄を用いた「NAS電池」)がよく使用されています。NAS電池は大容量の電力貯蔵が可能であり、耐久性も高いため、工場やオフィスなど大量の電力を必要とする場所での利用に向いています。
容量の違い
ご家庭用の蓄電池は6~10kWhがボリュームゾーンですが、産業用蓄電池は数十~数百kWhの規模のものが多いです。
4人家族の1日の電力使用量の平均が「13kWh」と言われておりますので、確かに産業用規模ですと数百kWhは必要に感じますね。
機能の違い
産業用蓄電池は高圧受電の施設に設置されますが、高圧受電の建物はご家庭とは異なったプランの電気契約をしています。
高圧受電の施設の場合、直近12カ月の最大使用電力量(デマンド)によって契約電力が決まってしまうため、産業用蓄電池は最大デマンドを抑えるための機能を持ったものが多いです。
事前に設定した電力使用量の最大値を超えそうになったときに、自動的に蓄電池に貯めていた電力を放電します。
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産業用蓄電池のメリット・デメリット
それでは、産業用蓄電池のメリットとデメリットをまとめてみましょう。
多くのメリットがある産業用蓄電池ですが、費用面が導入に向けてのハードルとなります。産業用蓄電池が対象となる補助金はありますが、それでもまだまだ費用が高いものです。
電気代削減のために蓄電池を導入するのではなく、脱炭素や災害対策を主目的として電気代削減は付加価値としてお考えいただくのが良いかもしれません。
産業用蓄電池:2つの選定方法
導入のご検討をはじめられた皆さまも、どのようにメーカーや機種を選ぶべきか分からない部分も多いと思います。そこで、最後に蓄電池の選定における2つのポイントをご説明します。
太陽光発電の余剰電力からの試算
太陽光発電で日中余った電力を有効活用する場合には、余剰となる電力量を試算する必要があります。
当社では、太陽光発電で発電する電力量と施設側で使用する電力量を、過去の電力使用データをもとに比較して、365日分の試算を行っています。
一日あたり何kWhくらい余ってしまうのかを試算して、その余剰分を貯めておくことができる容量(kWh)の蓄電池を選定しましょう。
災害時に必要となる電力からの試算
二つ目は災害時に必要となる電力量からの試算です。
災害時にバックアップさせたい設備の種類と台数を試算し、その設備を何時間稼働させたいかを検討する必要があります。
「災害時にバックアップさせたい設備」からは蓄電池に必要となる出力(kW)を、「その設備を何時間稼働させたいか」からは必要となる容量(kWh)を決定することが可能です。
産業用蓄電池はZEB実現にも寄与
蓄電池は、電力を蓄えて必要な時に供給することで、日照条件や発電量の変動に左右されることなく、安定したエネルギー供給を可能にします。また、建物のエネルギー自給自足を支え、持続可能な運用を促進することができます。
そのため、産業用蓄電池は「ゼロエネルギービルディング(ZEB)」の実現にも欠かせない存在です。ZEBは建物全体で使用するエネルギーを自ら生成し、消費する一次エネルギーの収支をゼロにすることを目標としています。
矢野経済研究所によると、2030年度のZEB市場規模は、12兆300億円まで拡大すると予測されています。2030年までに新築建築物の平均でZEB実現を目指す政府目標や、近年は計画段階からZEB設計の新規建築プロジェクトが目立つことから、市場は右肩上がりで推移すると考えられます。
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いかがでしたでしょうか?
その他にも選定における基準はいくつかございますので、信頼のできる工事業者にご相談して頂くのが良いかと思います。
当社では導入の検討から設計、工事まで一貫して対応しております。ぜひ一度、シミュレーション、お見積依頼をお待ちしております!
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