蓄電池導入による電気代削減効果を計算!【気になる経済メリットは?】
年々需要が高まる家庭用蓄電池。
日本における家庭用蓄電池の役割は、主に次の2つです。
①防災/停電対策
災害の多い日本では、停電への対策が重要です。2019年の台風19号では、関東の多くの地域で停電を引き起こし、場所によっては2週間以上停電が続いた地域もありました。
家庭用蓄電池を導入することで、台風や地震などの自然災害時に電気を確保できるため、近年は特に防災や停電対策目的での購入は増えています。
②余った電気をためて有効活用できる
太陽光発電設備を設置しているお客さまは、発電した電気を建物で消費して、それでもまだ余った電気を蓄電池にためておき、太陽光で発電できない夜間などの時間帯に有効活用することができます。
太陽光で発電した電気を残さず使うことができるので、特に卒FITのお客さまに選ばれています。
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さて今回は、「②余った電気をためて有効活用できる」に注目して、余った電気を自宅の電気代として消費したときに、どのくらい電気代の削減効果が得られる可能性があるのか試算してみました。
家庭用蓄電池の導入を検討されている方は、参考にぜひご覧ください。
【蓄電池で電気代削減】そもそも電気代(電気料金)とは?
日本人にとって、今や電気は欠かせないものです。
ITが進んだことで、電気を使わずに1日を過ごせる日本人は、ほぼいないと言えるでしょう。
ところが、電気料金の仕組みについては、知らない人が多いのではないでしょうか?
そこでまずは、わかりやすく電気料金の仕組みを説明していきます。
簡単解説:電気料金の仕組み
電気料金の明細は、項目がいくつかに分かれています。
下図の検針票(明細書)例を参考に、基本的な項目と内容を説明します。
・基本料金
契約アンペアや使用電力によって、決められる項目です。
東京電力と契約している戸建て住宅の場合、10Aごとに286円が請求されています。
毎月固定額で支払っている項目です。
・電力量料金(従量料金)
1カ月に使った電気使用量に応じて請求される項目です。
電力量料金の算出方法には、大きく分けて2パターンあります。
① 従量料金制:使用量に応じて単価が高くなる
② 季節別・時間帯別料金制:指定の時間帯や期間によって単価が設定される
・再エネ賦課金
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、固定価格買取制度によって売電収入を得られますが、その資金源はこの項目名で電気使用者から徴収されています。
国内の再生可能エネルギーによる発電が増えるほど、この単価は高くなります。
・燃料調整費
日本の電力構成のうち、80%は火力発電が担っています。その火力発電の燃料(原油・LNG・石炭)は海外から輸入しており、その価格変動を電気料金に反映させるために毎月単価が調整されています。
その他にも、オール電気による割引やキャンペーンによる割引などを実施している電力会社もありますが、基本的にこの4つの項目が電気料金として含まれています。
電気料金の請求書(明細)を見てみると、より詳しく理解できます。ぜひお手持ちの明細を確認してみてくださいね。
【蓄電池で電気代削減】電気代はなぜ値上がりするのか?
電気代が上がる原因は、複数あります。
例えば、先ほど紹介した再エネ賦課金もその一つです。
また、日本はエネルギー資源を海外に依存しているため、燃料費の影響を受けやすいのも原因の一つです。
現在、ロシアのウクライナ侵攻により、ヨーロッパへのLNGの供給が懸念視されています。
日本は、オーストラリアや中東からLNGを仕入れていますが、ヨーロッパ諸国も日本と同じ国々からLNGを供給するようになった場合、日本への供給量は減ってしまい、電気代高騰へつながると予測されます。
それ以外にも、増税などさまざまな理由で電気代は上がり続けており、実際に東日本大震災以降、家庭用電気である低圧電力は、30%ほど値上がりしています。
一方で、2050年カーボンニュートラルにむけて日本でもCO2削減目標立てられ、脱炭素化が求められている今、再エネ普及への道は間違いなく進んでいきます。
そのため、現在では火力発電よりも太陽光発電の方が発電コストは安い、とも言われています。
生涯支払いが続く電気代に対する対策は、生活の負担を減らすためにも必要不可欠となりそうです。
そのための方法として、太陽光発電や蓄電池を導入することは検討すべき要素かもしれません。
太陽光発電や蓄電池で電気代は削減できるのか?
一般住宅に太陽光発電を設置するコストは250,000円/kWほどと言われています。
6kWの発電設備だと約1,500,000円です。
では、発電コストはいくらになるかを考えてみましょう。
発電コストを算出する方法
まずは、年間予測発電量を確認しましょう。
6kWの太陽光発電設備の各月の発電予測は下記の通りとなります。
年間合計で、7,625kWhです。
年次点検費用を30,000円/kWhとして、1年間のみで発電コストを計算すると次のようになります。
1,530,000円 ÷ 7,625kWh = 200.65
つまり、1年間で約200円/kWhであることがわかると思います。
では、仮に10年間で考えてみるといかがでしょうか?
1年ごとに30,000円の点検を実施したとして、10年間で、300,000円の点検費がかかります。
そのため設置コストは、次のようになります。
(1,500,000+300,000) = 1,800,000 円
10年間の発電量は、前年比で0.5%の発電劣化を含めて考えると74,557kWhです。
10年間での発電コストを計算すると、次のようになります。
1,800,000円 ÷ 74,557kWh = 24.14円/kWh
算出した発電コストと電気料金単価を比較してみる
では、普段私たちが支払っている電気代と比較するとどうなるでしょうか?
今回は、東京電力の「従量電灯B」という電気料金プランと比較してみましょう。
東京電力「従量電灯B」と比較計算
東京電力エナジーパートナー(従量電灯B)の場合 | ||
電力量料金 | 単位 | 料金(税込) |
最初の120kWhまで (第1段階料金) |
1kWh | 19円88銭 |
120をこえ300kWhまで (第2段階料金) |
〃 | 26円48銭 |
上記超過(第3段階料金) | 〃 | 30円57銭 |
「従量電灯B」の料金単価と比較すると、上図の10年目の発電コストは第2段階料金、第3段階料金より安くなります。また、15年目の発電コストは、どの料金単価よりも安くなりますね。
その他、再エネ賦課金や燃料調整費のことも考えると、太陽光発電で発電した電気を使ったほうがお得であるということがわかると思います。
余った電気を蓄電して電気代を削減できるか計算してみる
さあ、ここからが本題です。
今までの計算は、発電電力を自宅で消費しきった場合で考えています。
しかし、太陽光発電は日が沈んだ時間以降は発電できないので、購入電力に頼る必要があります。
※昼間発電した電気のうち、家で消費しきれなかった電気は売電できます。
(2022年度、売電の権利を取得した場合は、17円/kWh)
そのため、発電電力を建物で消費し切るには、“蓄電池”が必要です。
蓄電池があれば、発電電力をためておき、発電しない時間帯にためた電気を建物へ供給することができるようになります。
太陽光発電+蓄電池の発電コストと比較計算
次に試算するのは、6kWの太陽光発電設備に13.5kWhの容量がある蓄電池を同時に設置した場合の発電コストです。13.5kWhの蓄電池が、1,500,000円と仮定して考えます。
上図は、設備はナシで電力会社からの購入電力のみを使用した場合。
下図は、太陽光発電+蓄電池を導入した場合の発電コストになります。
2つを比較してみましょう。
上図の緑色部分と数の赤色部分を見比べてみてください。
今後、電気代が前年比1%上昇すると仮定した時、11年目には購入コストよりも発電コストの方が安くなります。
とはいえ、蓄電池を含む設置費用はまだまだ高いことがわかりますね。
それでも、長期的に見た時、いずれは購入コストより発電コストの方が安くなることが良くわかると思います。
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いかがでしたでしょうか?
太陽光発電と蓄電池を導入することで、電気代が削減できる可能性があることがイメージできましたでしょうか。
もちろん、ご家庭やオフィスなどの大きさや使用電力量によっても試算は変わってきますし、太陽光発電設備・蓄電池の設置容量によってもシミュレーションは変わってきます。
防災対策として導入したいけど電気代削減もできるならしたいという方は、本当にメリットは出るのかどうか、ぜひ一度ご相談ください!