【発電原理から送配電を解説!第2弾】2つの送電方式とメリット・デメリット
さて今回は、電気の届け方(送電方式)についての解説第2弾です。
第1弾では発電方法種類や送配電の仕組みについて解説しました。そして今回は、もう少し深く掘り下げて「送電方式」の種類や仕組み、メリット・デメリットについて解説していきたいと思います。
普段何気なく目にする電線について、詳しく知っていきましょう!
☞第1弾記事はコチラ
2つの送電方式とメリット・デメリット
まず、送電方式には2種類あります。
1つ目は、よく車を運転する方は見かける機会が多い「架空送電」です。
そして2つ目は、殆どの方が見ることのない「地中送電」という方式です。
次に、それぞれの方式のメリット・デメリットを簡単にまとめました。
【架空送電】
〈メリット〉
・工事費用が安く済む
・災害などによる断線後からの復旧が早い
〈デメリット〉
・経年劣化で細くなった電線が垂れ下がることで、漏電や感電のリスクがある
・台風や雪害など災害の影響を受けやすい
【地中送電】
〈メリット〉
・自然災害の影響を受けにくくなるため、災害に強い街づくりにつながる
・感電などのリスクが小さくなる
・街の景観が維持できる
〈デメリット〉
・既存の水道管などとの兼ね合いから、工事費が高い
・断線後の復旧に時間がかかる
令和3年には無電柱化推進計画が策定されるなど、現在日本では地中送電を推進していますが、各送電方式のメリットとデメリットを見ていくと、地中送電がなかなかに普及しない要因もわかりますね。
日本で地中送電が進まない大きな理由はコストの問題と言われていますが、そのほか利害関係者の調整などにも難しさがあるようです。
個人的には、双方の方式に関するメリットやデメリットについてしっかりと議論を行った上で、国の方針が確定していくと良いなと考えています。
それでは次に、架空送電について詳しく解説していきます!
架空送電の仕組み
架空送電と聞いて、皆さまが思いつくのは電柱だと思います。
都心部では、あまり見なくなってしまいましたが、住宅街を歩いていると道路脇に等間隔で並んでいるコンクリート柱に、鳥が止まっている光景をよく見かけるかと思います。
住宅街で見かけるコンクリート柱には一般的に、上から「架空地線」「高圧配電線」「低圧配電線」と3段階で電線が張られており、各電線の役割は以下の通りです。
・架空地線:雷などの影響から守る避雷導線の役割
・高圧配電線:横並びに3本通っており、6,600Vの電気を送電
・低圧配電線:縦並びに3本通っており、100V-200Vの電気を送電
そのほか、柱から地面に向かって通っている線があれば、それは「支線」と呼ばれるものです。各電線に柱が引っ張られる力によって柱が倒れないように掛かる力と逆方向に支持を取っています。
電線の弛度(たるみ)や支線強度など、緻密な計算を基に工事が行われているということですね。
また、郊外でたまに見かける鉄塔では、154,000Vから66,000Vの電気が電線を通っており、高い位置にある電線ほど高電圧になります。高電圧の電線は、触れずとも感電してしまうので、凧揚げやドローンを飛ばす際などは十分注意しましょう。
最後に、地中送電について解説していきます!
地中送電の仕組み
架空配線の際には電線を使用していましたが、地中送電の場合には電線を油や架橋ポリエチレンなどで絶縁した電力ケーブルを使用します。電力ケーブルは、電線と比べて強度があるため、太陽光発電の現場などでも電力ケーブルを使用することが多いです。
配線距離が短い場合には、樹脂管などで保護した管材を複数本胴締めしたものに電力ケーブルを通す「管路引込式」と呼ばれる方法が採用されています。
逆に配線距離が長い場合は、中に人が入れる程度の小さな洞道(トンネル)内にケーブルラックなどを敷設し、ケーブルを通していく「暗きょ(洞道)式」という方法が採用されています。
今後実現?海底送電方式
日本では、2017年に東京電力が作った最大電圧500,000V、距離40㎞の地中送電線が当時世界一としてニュースに取り上げられたのを覚えています!
今後は、2022年に国が発表した長距離海底送電方式により、北海道~東京間を海底送電でつなぎ電気を届ける事業なども検討されています。海底送電が実現すると、2,000,000kWもの電気を送ることができるようになるそうです。
☞参考:日本経済新聞「北海道の再エネを東京に 海底送電、200万キロワット」
今後、カーボンニュートラルの動きがますます加速化することによって、電力業界もさらなる進化が期待されますね。
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ここまで2回に分けて発電や送電について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
海底送電だけでなく、これから先なにか新しい情報が入ってきた際には、第3弾として皆さまにご紹介できる日を楽しみにしております!
当社では、今後も再エネ電力の普及に向けた事業を展開していきます。太陽光発電といった再エネ電力の導入やSDGs活動に興味のある方は、お気軽に当社へご相談ください。
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