「フェアトレード」とは?何がいいの?仕組みから見る必要な理由

環境

フェアトレード_農家

近年は特に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでも日常的に「フェアトレード」と記載された商品や認証ラベルの付いた商品を目にする機会も増えました。

ただ、フェアトレード商品は何となく良いものだろうとは思っているものの、詳しいことはよくわかっていないという方が多いのではないでしょうか?

フェアトレード商品を購入すると、だれにとってどんな良い影響があるのか。なぜ他と比べると少し価格が高いのか。今回は、そんな商品のその先を深掘りしてみましょう。

この記事では、フェアトレードの概要と仕組み、フェアトレードとSDGsの関係性を詳しく紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。

「フェアトレード」とは?意味と概要

バナナペーパー_マスキングテープ

特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(以下「フェアトレード ジャパン」)によると、フェアトレードとは「公平・公正な貿易」という意味です。

ザックリ説明すると、次のような仕組みでおこなわれる貿易を指します。

<買い手>
・開発途上国で作られた原料や製品を適正な価格で継続的に買う

<売り手>
・開発途上国の自然環境を守りながら、生産者や労働者が原料や製品を生産する
→開発途上国の生産者や労働者の生活環境を改善したり、自立を促したりする

フェアトレードの目的は、開発途上国で貿易に関わる全ての人に公平かつ公正に対応し、貧困のない社会を目指していくことです。

フェアトレードの仕組み【なぜ必要?誰にとって必要?】

とはいえ、では開発途上国ってどこなのか?どんな人にとって公平公正な取引になるのか?
今のままではいまいちイメージが膨らまないと思います。

そこで次は、フェアトレードの具体的な仕組みをフェアトレードでの取引が進んでいる「コーヒー」と「カカオ」の2商品を例に挙げて、詳しく紹介していきます。

以下は、大半が開発途上国で作られている「コーヒー」と「カカオ」におけるフェアトレードの仕組みです。

フェアトレード_図

それでは、上記についてもっと詳しく見ていきましょう。

フェアトレード商品の仕組み①コーヒー豆

フェアトレード_コーヒー

コーヒー豆はその種類にもよりますが、ブラジルやベトナム、エチオピアなどの開発途上国でその多くがつくられています。フェアトレードは、こうしたコーヒー豆農家にとって必要です。

<フェアトレード前のコーヒー豆農家>

開発途上国のコーヒー豆農家が生産したコーヒー豆の買い取り価格は、ニューヨークとロンドンの国際市場で決まります。

しかし、開発途上国のコーヒー豆農家の多くは市場動向の情報を得たり、市場へ直接販売したりする手段を持っておらず、中間業者に頼っている状況です。そのため、国際市場の買い取り価格など関係なく、農家にとって不利な価格で取引されることもあります。

こうした不利な取引が続く現状にあることで、開発途上国のコーヒー豆農家は生活できる十分な収入を得られず、経済的に不安定な生活を余儀なくされているのです。

<コーヒー豆でフェアトレード>

フェアトレードでは、買い手は以下のようにコーヒー豆を取引しています。

・「フェアトレード最低価格以上」の買取価格を生産者組合(個々の農家が協働で作る組合)に保証

たとえば:
アラビカコーヒーのフェアトレード最低価格は、1ポンド(約454g)あたり140USセント(約153円)が保証されている。

・「プレミアム(奨励金)」と呼ばれる、品物の代金とは別に支払われる支援金を保証する

たとえば:
コーヒー豆1ポンドあたり20USセント(約20円)を生産者組合に保証しているので、レギュラーコーヒー200g製品であれば、約11セント(約12円)のプレミアムが保証される。

コーヒー豆はトン単位で取引されるため、これらのような条件下で売買することができれば、生産者組合は数十万~数百万円のプレミアムを手にすることができるようになります。

<フェアトレード後のコーヒー豆農家の状況>

コーヒー豆がフェアトレードで取引されれば、開発途上国のコーヒー豆農家は以下を実現できます。

・生産能力を高める仕組みを作れる
・生産技術の向上や機材を購入できる
・市場と直接つながって交渉力が身に付く
・地域の教育や医療など社会発展に貢献できる

☞参考:fairtrade japan公式サイト『なぜフェアトレード?|フェアトレードとは?』

フェアトレード商品の仕組み②カカオ

フェアトレード_カカオ②

チョコレートの原料であるカカオも開発途上国で作られていることが多く、その7割はガーナと言われています。フェアトレードは、こうしたカカオ農家にとっても必要です。

<フェアトレード前のカカオ農家の状況>

開発途上国のカカオ農家は、児童労働(子どもによる労働)問題を抱えています。カカオ農家は経済的な貧困であるため、児童労働が起こっているのです。

<カカオでフェアトレード>

フェアトレードでは、買い手は以下のようにカカオを取引しています。

児童労働を禁止し、労働者の安定した生活を保証する取引をする
・カカオ農家の持続可能なカカオの生産と安定した生活に繋がるフェアトレード価格で購入する
・プレミアム(奨励金)を生産者に保証する

<フェアトレード後のカカオ農家の状況>

カカオがフェアトレードで取引されれば、開発途上国のカカオ農家は以下を実現できます。

・経済的な貧困が減り、子どもに労働をさせなくて済む
・地域の教育や医療など社会発展に貢献できる

☞参考:fairtrade japan公式サイト『なぜフェアトレード?|フェアトレードとは?』

フェアトレードとSDGs

SDGs

私たち消費者はフェアトレードに直接関わることはありませんが、フェアトレード商品を買うことで開発途上国の生産者や労働者を安定した生活につなげることは可能となります。

さらに、今世界的に取り組みが進んでいるSDGsの達成にも貢献できます。以下は、フェアトレード商品を買うことで貢献できるSDGs目標の一例です。

SDGs目標1. 貧困をなくそう
2030年までに世界で極度に貧しく暮らしている人をなくしたり、各国の基準で貧しいとされている人を少なくとも半分に減らしたりする目標が掲げられています。
フェアトレードが進めば、社会的・経済的に立場の弱い開発途上国の生産者と労働者の権利と生活が保障されます。

SDGs目標2. 飢餓をゼロに
2030年までに小規模の食料生産者の生産性と収入を倍にしたり、持続可能な食料生産の仕組みを作ったりする目標が掲げられています。
フェアトレードがおこなわれれば、開発途上国の生産者と労働者が安定した生活が送れるような条件で原料や製品の取引が進み、経済的に自立した生活が保証されます。

SDGs目標8. 働きがいも経済成長も
各国の状況に応じてそこに暮らす人々が経済的に豊かになっていけるようにしたり、児童労働をなくしたりする目標が掲げられています。
フェアトレードが進めば、開発途上国の農家が適切な労働条件のもとで原料や製品を生産したり、児童労働をなくしたりすることが保証されます。

☞参考:日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)『SDGs17の目標』
☞参考:一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム『フェアトレードとSDGs』

国内フェアトレード市場の規模も拡大中

2023年4月25日、フェアトレード ジャパンより次のことが発表されました。

2022年の国内フェアトレード市場の推計規模は195.6億円に成長。
2021年と比較すると24%増という過去10年で最大の伸び率となった。

市場規模が急拡大した背景には、国内でのSDGsに対する認知度が拡大したことで消費者にとって「フェアトレード」がより身近になったことが挙げられています。そしてもう一つ、企業がサステナビリティ戦略に力を入れだしたことが大きな要因と考えられます。

これまでは“自然”に関する環境問題にスポットが当たりがちでしたが、近年は“人権”に関する環境にも注目が集まるようになりました。フェアトレードは、国際的な人権課題に取り組むためのツールとして積極的に選ばれ始めています。

とはいえ、諸外国と比較すると日本の市場規模はまだまだ小さく、その差はなんと約17倍だそうです。今後ますますの日本市場躍進が期待されますね。

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いかがでしたでしょうか?
今回は、「フェアトレード」について紹介しました。

フェアトレード商品は、同じ商品と比べると価格が高い傾向にあります。

しかし、前述したようにフェアトレード商品を購入することで開発途上国の生産者と労働者を援助し、持続可能な社会作りに貢献することができます。

私たち人間がこの先もずっと地球で暮らしていけるようにするためにも、フェアトレード商品を積極的に買うことはとても重要で大切です。

これを機にスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで買い物するときはフェアトレード商品を探してみて、積極的に購入してみてはいかがでしょうか。

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