【ESG投資を深掘り】知っておきたいグリーンボンドとは
今回は、前回記事の最後にご紹介したSDGs債下記3種の中から、環境問題に特化した「グリーンボンド」にスポットを当てて詳しく解説していきます。
<SDGs債3種類>
・グリーンボンド
・ソーシャルボンド
・サステナビリティボンド
☞前回記事“ESG投資の重要指標となるSDGsとの関係”はコチラ
SDGs債の一つ:グリーンボンドとは何か?
環境省の資料によると、「グリーンボンド」とは、企業や自治体等がグリーンプロジェクト (再生可能エネルギー事業、省エネ建築物の建設・改修、環境汚染の 防止・管理など)に要する資金を調達するために発行する債券のことを指します。
<国内のグリーンボンドに関するこれまでの取組>
2017年3月 | ICMAのグリーンボンド原則を元に、国内実務指針としてグリーンボンドガイドラインを策定 |
2017年~ 2019年 |
グリーンボンドのモデル事例創出支援を実施(計6事例) |
2018年 | グリーンボンド発行に要する追加的費用に関する補助事業を開始 |
2020年 | 補助の対象を、グリーン性を有するサステナビリティボンドまで拡大 |
2020年3月 | 国際動向及びICMAグリーンボンド原則の改定を踏まえて、グリー ンボンドガイドラインを改定 |
グリーンボンドの主な特徴
・調達資金の使途がグリーンプロジェクトに限定される
・調達資金が確実に追跡管理される
→それらについて発行後のレポーティングを通じ透明性が確保される
<主な発行主体>
・自らが実施するグリーンプロジェクトの原資を調達する一般事業者
(専らグリーンプロジェクトのみをおこなうSPCを含む)
・グリーンプロジェクトに対する投資・融資の原資を調達する金融機関
・グリーンプロジェクトに係る原資を調達する地方自治体
<主な投資家>
・ESG投資をおこなうことを表明している年金基金、保険会社などの機関投資家
・ESG投資の運用を受託する運用機関
・資金の使途に関心を持って投資をしたいと考える個人投資家
(参考:環境省 グリーンファイナンスポータル)
国内企業によるグリーンボンドの発行実績は2017年頃から年々増加しており、2020年には年間発行総額が1兆円に至りました。
日本が2050年カーボンニュートラルを実現させるためにも、こうしたグリーンボンドなどを通じて、今後もより多くの民間資金をグリーンプロジェクトへ誘導していくことが求められていくと考えられます。
ESG投資とグリーンボンド:メリット/デメリット
ESG投資とは、世界的に広がりを見せている投資手法で、「環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)」に配慮した企業を重視して投資します。
今回の「グリーンボンド」はその投資手段の1つです。
ESG投資におけるグリーンボンド投資のメリット
<発行側のメリット>
・社会的な支持を得られる
→環境問題に積極的に取り組んでいることをアピールでき社会的な支持の獲得を期待できる
・投資家層の拡大
→ESG投資に関心の高い投資家からの指示が上がる
<投資家のメリット>
・社会的な支持を得られる
→環境に配慮した投資をしているということで、社会的な支持を期待できる
・リスク分散
→株式や伝統的資産との連動性が少ないとされている、オルタナティブ投資の面を持ち分散投資によるリスクヘッジが期待できる
ESG投資におけるグリーンボンド投資のデメリット
<発行側のデメリット>
・集めた資金はグリーンボンドにしか利用できない
→透明性が高く、資金の使いみちなどがしっかり管理されるため報告に労力が発生する
・グリーンボンド発行に手数料がかかる
→外部から評価されるという特殊な債権のため外部を通すときに手数料が発生する
<投資家のデメリット>
・投資家自身の判断が重要となる
→グリーンウォッシュ債券という偽物に投資してしまう可能性がある
※「グリーンウォッシュ債券」とは?
グリーンボンドガイドによると、実際は環境改善効果がない、または調達資金が適正に環境事業に充当されていないにもかかわらずグリーンボンドと称する債券のことを指します。
グリーンボンドはグリーンボンド原則(GBP)というガイドラインがあるものの、法律などでしっかり定義されていないため、環境改善効果がないにもかかわらずグリーンボンドと称した債券に投資してしまう可能性も。しっかり見極めてから投資しましょう。
環境問題に対してのESG投資:グリーンボンドの今後
脱炭素化やカーボンニュートラル実現、SDGs目標達成の観点から、グリーンボンドは今後も注目を集めることが予想されます。それに比例して、発行額も着実に伸びていくと推測されています。
11月に開催されたCOP26でも、世界各国は既存の温室効果ガス削減目標から、さらに高い目標へ再設定を余儀なくされました。
環境問題と経済活動は、今や密接に絡みあっています。ぜひ今後も意識して情報を追っていきましょう。
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