おいしい!から始めるエシカル×量り売り店「ほっこりや」
先日、別記事でもご紹介した「ゼロウェイスト」や「プラスチックフリー」なライフスタイル。
環境にも生活にもいいとされるこれらの取り組みですが、いきなり暮らしの中で実践するのは少しハードルが高いと感じる方も多いかもしれません。
そこで今回は、楽しくおいしくエシカル商品とゼロウェイストなお買い物を体験できる「ETHICAL LIFE STORE ほっこりや」さまをご紹介します。
2022年10月、神奈川県厚木市にオープンした「ほっこりや」さまが県央初となる量り売りのお店を始められたきっかけや、こだわりの取扱商品など詳しく伺ってきましたので、ぜひご覧ください。
エシカル商品×ゼロウェイストなお買い物を体験!
「ETHICAL LIFE STORE ほっこりや」とは?
コンセプトは“エシカルとゼロウェイスト”。そうお話いただいたのは、お店のオーナーである津森さまです。
「ただ、ゼロウェイストはエシカルに含まれると思うんですが、当店ではあえて分けています。“エシカルな商品”を“ゼロウェイスト”なお買い物の方法で買うお店にしています」
お店では、有機栽培された食材や自然に還る素材でできたものが多く取り扱われています。そういった、人や環境に配慮されたエシカル商品を、プラスチックの個包装なしで必要な分だけ買うことができる、量り売りというスタイルで販売されています。
「なにもなくても幸せ」モノが溢れている今
津森さまがエシカルやゼロウェイストなどに関心を持たれたきっかけを伺ったところ、始まりは学生時代に訪れたカンボジアのスタディツアーにあったそうです。
「決して裕福とは言えない生活をしている現地の村の方々と交流したときに、“今何か必要なものはありますか”と聞いたんです。それに対して、“今の生活で十分幸せだから、何も要らないわ”という答えが返ってきて、とても衝撃を受けました」
“足るを知る”暮らしをしている現地の方たちと接し、「モノやお金=幸せ」とは限らない、幸せの本質について考えさせられたと、津森さまはおっしゃいました。
その後、米オレゴン州での生活で地産地消や地元のものを受け継いでいくという暮らしを体験したのち、子どもを出産した際に、内祝いのカタログギフト「やさしいきもち」と巡り会いました。
このカタログギフトは、オーガニックやフェアトレード、エコなどの環境・受け取り手・作り手にやさしいアイテムを掲載しており、その中にエシカルという言葉を日本に広めた女性の話が載っていたそうです。
津森さまは、ここで初めて自分がしたい暮らし方やモノの選び方が、「エシカル」という言葉に当てはまることを知ったとのことでした。
「ほっこりや」オープンまでの道のりと反響
その後、まずはエシカル輸入雑貨のオンライン販売から開始した津森さまは、新たに食料品の量り売りも導入し、現在のエシカル商品と食料品を取り扱う店舗を立ち上げました。
ここで驚いたのは、取り扱う商品の交渉方法です。お店には国内のみならず海外でつくられた商品も多数置かれているのですが、これらの取扱い交渉はなんと、Instagram(インスタグラム)などのSNS経由で直接生産者の方とつながり、交渉をおこなっているのだそうです。そのため、一部の雑貨類は商社などを通さずに直輸入されているそうです。
「例えば、お椀型の蜜蝋ラップはカナダの製作者さんから、スポンジクロスはスウェーデンのデザイナーさんから。そして、少し経由しますが、アフリカからボゴランという土染めの布なども直で輸入しています」
お互いの熱意や思いも直接伝わるためか、一つひとつの商品について、実になめらかに詳しく紹介される津森さまの姿は、買い手にも確かな安心感と関心を深めてくださいます。
一方、量り売りのためのはかりとレジは、最新式のモノを関東で初めて導入したお店となりました。そのため、一部の食材は商品情報が自動センサーでモニターに表示されるようになっており、簡単に購入手続きができます。
実際に体験させていただきましたが、とても簡単に操作できました。ほしいものを必要な量だけ買う、ということを誰でも楽しく実践できますので、ぜひ試してみてください。
2022年10月初旬にオープンしたばかりの「ほっこりや」さまはまだまだ新しいお店ですが、すでに幅広い年齢層の方が訪れているそうです。特に、一度訪れた方がリピートし、お店のファンになってくださることが多いらしく、早くも地元に愛されるお店へとなりつつあります。
「ほっこりや」こだわりの食料品は自然農と地産地消
ナッツや豆類からグラノーラ、ドライフルーツ。パスタやスパイス、はちみつなど、豊富な食料品を取り扱っている「ほっこりや」さまでは、農薬や化学肥料に頼らずつくられた食材であることを大切にしています。
「有機栽培は身体にいいのはもちろん、育てられる過程でも、その土地の環境や生産者の方の健康にも関わっているので、進んで選ぶようにしています。でも、“有機”と一口に言っても、実は色々なパターンがあるんです」
そのため、津森さまは“たい肥”に注目して考えているとのことでした。たい肥は、基となる動物の飼育環境が重要になります。その動物が農薬使用の野菜や遺伝子組み換えの飼料を食べていたり、ホルモン剤などを使用されていれば、その糞を利用してつくられるたい肥にも影響するからです。
とはいえ、そこまで徹底するのは難しいのも事実です。現在は、なるべく自然農に近い形でつくられる食材かつ地元の神奈川県で育てられているものを少しずつ増やしていこうとされています。
「なので、厚木の農家さんがつくっているハチミツやもち麦なども取り扱っています。特にハチミツの農家さんは、農大生をインターンとして受け入れて一緒に生産されているという所が素敵ですよね」
おすすめの商品は?
多種多様な食料品が置いてある「ほっこりや」さまで、現在人気の高い商品について伺ったところ、一番人気はプレッツェルのお菓子と、その場でつくられる挽きたてのナッツバターでした。そのほか、「マルチポップコーン」という見た目が華やかなポップコーン種や、男性にはクコの実がたくさん入ったフルーツミックスなども人気だそうです。
先ほど紹介されたハチミツやスパイスなど、量り売りで販売されているのが珍しいものも多くあるので、ぜひゆっくり店内をご覧になってください。
また、買い物方法もゼロウェイストになっています。例えば、紙袋は蝋引きされているので繰り返し利用することができますし、土に還るフードバッグやビン容器も用意されています。ご家庭からなにか容器を持ってきて利用いただくことも可能ですし、お店でこうしたものを合わせて購入して、次回それを使うことで簡単にゼロウェイストを始められます。
きっかけづくりになるお店に「ほっこりや」の目標
「“買い物を通して商品の背景に気づいてもらい、考えるきっかけになれたらと思います」
お店のさまざまな商品と出会い、どんな場所でどのようにつくられたのかを知ることで、普段の暮らしの中でもゴミを減らしたり、人や環境や社会にやさしいものを選ぶことの意味を知ることができます。そうした持続可能な選択は、“作り手よし、売り手よし、買い手よし、世間よし、未来よし”の五方よしな「エシカル」に自然とつながっていきます。
目的はきっかけづくり。「ほっこりや」さまでは、“知って行動する”ことのハードルを下げて、全てつながっているということをまだ知らない方に、1つの選択や行動がどんな風に影響するかをしっかり考える機会や習慣になるお店を目指しています。
「エシカルやゼロウェイストな暮らしに対して、“完璧じゃなきゃダメなのかな”とか“1人が頑張っても“と考える方も多いようですが、私自身も完璧ではありません。それでも、やらなかった自分より、やった自分の方が好きになれると思うんです」
生活者側から意思を持って変えていくことで、次の世代や子どもたちの中でそうした考え方が“当たり前”になっていく。そんな足元からの変革を少しずつ広げていくことが、ETHICAL LIFE STORE ほっこりやの目指す未来です。
■ETHICAL LIFE STORE ほっこりや
住所:〒243-0003 神奈川県厚木市寿町1丁目3-13
営業日:不定期
営業時間:基本11:00~17:00
☞詳しくはInstagramへ:hoccoriya_atg
あとがき
「特に、Z世代と呼ばれる若い世代や子育て世代の方々の目を育てていく一助になりたい」と語る津森さまのお話に、だからこそ量り売りのお店なんだと思い至りました。
いきなり生活をガラッと変えることは難しいですが、生活に必需品な“食べもの”から、必要な分だけを選ぶことや生産地に意識を向けることができるお店づくりがなされています。
目にも楽しい量り売りは、一度体験してみたらきっと何かが変わると思います。ぜひ訪れてみてください。
そのほか、津森さまは実生活の中でもエシカルやゼロウェイストを実践されているそうで、どんなことに取り組んでいるのかを一部教えていただきました。
・ラップの使用をやめる
・コンポストを活用する
・固形シャンプーを使う
・有機野菜をえらぶ
・古着から服を購入する
・ECOSIA(エコシア)という検索エンジンを利用する
ラップはまず1週間やめてみることから始め、現在では使わなくなって3年が経つそうです。コンポストでは生ごみが出なくなるし、固形シャンプーではプラスチックボトルが不要になります。
詳しくお話を伺うと、なんだか自分にもできるんじゃないかとワクワクしました!こうした暮らしの中での取り組みについても、気になった方はぜひ津森さまに伺ってみてください。
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