「ひと」と「地球」の未来を描くInnovation Design-食を通じて社会問題を解決!共感を生むhaishop cafeの取組み

インタビュー

今回は、アパホテル横浜ベイタワー1Fで「haishop cafe」を運営する株式会社Innovation Design表さまにお話を伺いました。

事業のコンセプトやhaishop cafeでの取組み、そして、日本で初めてサステナブル・レストラン協会のFood Made Goodにて3つ星の称号を3店舗同時に獲得された経緯など。
地域とコミュニケーションを取りながら、人と地球と、よりよい関係を目指していくInnovation Designの展開について、ぜひご覧ください。


<目次>
1.Innovation Designの事業と企業ビジョン
2.RCE横浜学生連盟とコラボ!ヴィーガンラーメン
3.日本初!3店舗同時の「Food Made Good 」3つ星獲得
4.Innovation Designがhaishopで目指している今後の展開

Innovation Designの事業と企業ビジョン

Innovation Designの事業について簡単にお話いただいてよろしいでしょうか?

もともと、「“ひと”と“企業”の未来を描く」というビジョンのもと、事業再生のお手伝いを多くさせていただいておりました。

例えば、長崎県佐世保市のハウステンボス事業再生やチームラボさんと福岡城跡地で冬のデジタルアートイベント開催の企画立案、海外ではスリランカのホテル開業プロジェクトなど、企業や地域を元気にするコンサルティングのお仕事をさせていただいておりました。

そんな中、当初のビジョン「“ひと”と“企業”の未来を描く」から、去年の1月に「“ひと”と“地球”の未来を描く」というコンセプトに変更いたしました。

InovationDesign様_企業ビジョン

企業ビジョンの変更につながる社会的課題に目を向けたきっかけは、当社が運営するhaishopでのひとりの農家さんとの出会いでした。

その方は市場で余ってしまい行き場を失ったフルーツをドライフルーツにして地元のマルシェで販売されていました。
皆さん、ドライフルーツは海外のものを食べる機会が多いと思うのですが、実は砂糖やシロップ、農薬なども使われていることが多い商品です。けれどその農家さんは、環境配慮の意識を持って、添加物を使わずにフルーツそのものを活かすかたちで、ドライ加工していました。

その活動に感動し、私たちも、自身が扱うものはなるべく地元のものを選び、低農薬や無農薬の環境にやさしいものを売りたいと考え、そのドライフルーツをhaishopで取り扱わせていただくことにしました。

野菜やフルーツにはそれぞれ規格があります。そのため、野菜の味自体に遜色がなくても、例えば「この箱に入らないから」とか「ちょっと形が悪い」というような形や大きさ、見た目が規格に合わないだけで流通できないということがあります。

その農家さんと話す中で、食品ロスは社会的にも大きな問題だと気がつきました。私たちは、そこで初めてSDGsという言葉も知りました。また、食品ロスを学んでいく中で、問題の根本には食品ロス単独の問題だけではなく、さまざまな社会的課題が複雑に絡みあっていると学ぶことができました。

今では、食品ロス削減に限らず、地球の未来につながるかどうかを基準として包括的な取組みをおこなっております。

InovationDesign様_企業ビジョン②

地球環境やSDGsの観点で事業展開されるようになって、実際のお客様の反応はいかがでしたでしょうか?

InovationDesign様_インタビュー

(左:表様インタビュー時の様子|右:haishop cafe外観)

haishop cafeでは、ヴィーガンメニューやフェアトレード商品が買えるだけでなく、土日になると地域コミュニティへの貢献・地産地消の推進を目的として、マーケットを開催し地域の野菜なども販売しています。

この取組みによって、ただカフェとして飲食を提供するだけではなく、有機野菜や低農薬野菜を提供する場をつくることで地域との連携を深め、農家さんや近隣住民の方とのコミュニケーションができる場にもなりました。

一般的なレストランだと客単価や客数ばかりに目がいくかもしれませんが、haishop cafeでは、“食”にまつわる環境問題、社会的課題の背景についてお客様との“対話”を大切にしています。
そのお客様との“対話”から“共感”が生まれ、お客様とスタッフの関係ではなく、地球の未来を一緒に考えていける新しい仲間が増えるような感じがして、とても嬉しく思っています。

今までの口コミサイトの点数や、コストパフォーマンスの価値観だけでなく、“共感”がレストランの新たな価値を創造すると考えています。

RCE横浜学生連盟とコラボ!ヴィーガンラーメン

ヴィーガンラーメンプロジェクトを応援し、お店で提供するようになったきっかけを教えてください。

最初は、ハーチ株式会社の方から、「ヴィーガンラーメンを作りたいと言っているRCE横浜学生連盟の学生さんがいるから一度話を聞いてほしい」と相談をいただいたことがきっかけです。

実際にお話を聞いて、お互いの想いに共感できたので、即決でラーメン開発・提供に協力させていただきました。

haishop cafeのシェフも彼らの想いを実現しようと、学生と共に地元農家さんの畑や、昆布加工場に足を運んで食材探しをしてくれました。動物性の食材を一切使用しない出汁作りには苦労しましたが、肉の代わりには大豆ミートを用いたりと何度も試作を繰り返し、妥協せず美味しいヴィーガン担々麺を作ってくれました。

InovationDesign様_haishopcafe_ヴィーガンラーメン

(実際のヴィーガンラーメン)

ハーチ株式会社とは

インターネットやコンテンツの力を活かして社会がもっとよくなる仕組みが作りたいとの想いを持つ仲間によって創立され、さまざまなパートナー企業と協力しながら、ソーシャルグッド・シェアリングエコノミー・教育など幅広い分野でウェブメディアを企画・運営している企業さま

日本初!3店舗同時の「Food Made Good 」3つ星獲得

「Food Made Good 」とは?3店舗同時3つ星獲得に至るまでに、どんな取組みをしてきたのですか?

Innovation Designでは「haishop cafe」「KIGI」「KITCHEN MANE」と飲食店を3店舗運営しているのですが、一般社団法人 日本サステイナブル・レストラン協会が認定する飲食店のサステナビリティ格付けプログラム「FOOD MADE GOOD」で、日本で初めて3店舗同時に3つ星レストランの認定を受けました。

日本ではまだまだ“サステナブルレストラン”という考えは定着していませんが、今後サステナブルなレストラン経営はますます必要になってくると思います。

InovationDesign様_大賞3店舗

日本サステイナブル・レストラン協会の公式サイトでは、「環境」「調達」「社会」の面において、自分たちのレストランはどれくらいサステナブルな取組みができているのかを自己評価できるツールがあります。協会に加入した当初、当社の店舗は42点ほどでした。

評価項目の中には、例えば以下のような問いがあります。

・店舗のある地域の農家・漁師・生産者から食材を調達しているか?
・人権搾取につながる商品を使っていないか?
・農薬を多く使った食材を使っていないか?
・食べ残しはどのように処理しているか?

その他にも、実にさまざまな項目が詳細にあり驚きました。ですが、この評価項目のおかげで、飲食店がサステナブルに取り組むにはどうすれば良いのかが明確になり、ビジネスとサステナビリティの両立への道が見えました。

そこで、キッチンスタッフからホールスタッフやブライダルスタッフなど、役職のありなし関係なく全社員で、サステナブルなレストランになるために学ぶ機会を設けました。

どういうことかというと、評価項目の問いから「なぜその問いが“サステナブル”に必要なのか?」を各自に1問ずつ宿題として出すことで、その問の裏にある環境問題や社会的課題、また、その課題解決に向けて世界で行われている活動、そして自分たちができるアクションを各々が調べる機会をつくったのです。

そして最終的には、各自調べた内容を自身でまとめて、全員の前でプレゼンしてもらいました。

海外の大規模農園で栽培されているパーム椰子がどのように環境破壊につながるのか?人権搾取になる食品は何なのか?サプライチェーン上でどのようにCO2が排出されているのか?削減方法は?など、皆真剣に調べて発表してくれました。

InovationDesign様_社内プレゼンの様子

(社内プレゼンの様子)

こういった教育やプレゼンを通して、全員が同じ知識を共有することができたので、当社のスタッフは「なぜヴィーガンメニューやフェアトレードの商品を扱っているか」や「それはどういった商品なのか」について、誰もがお客さまに説明することができます。

また、当社の社員は全員が“サステナブルデザイナー”という肩書きをもち、部門や職種を問わず、社員全員で社会的課題に向き合っています。こうした、社員一丸となっての勉強やプレゼンの成果もあり、3店舗ともスコアは80点以上を取ることができ3星の獲得に繋がりました。

InovationDesign様_サステナブルデザイナー

InovationDesign様_インタビュー②

(フェアトレード商品などについて話すサステナブルデザイナーの平林さん)

Innovation Designがhaishopで目指している今後の展開

今後も“食”、“おみやげ”などを通じて、社会問題を少しでも解決できればと思います。

ただし、自分たちだけで取り組むのではなく、学生や地域の方々、お取引先パートナーと一緒にコミュニケーションをとりながら、飲食店や小売店として新たな価値を生み出すことで社会問題を解決していきたいと思います。

例えば先日も、地域コミュニティに貢献するために「おにぎりから考える地球温暖化問題」というワークショップも開催いたしました。

InovationDesign様_子ども向けワークショップ

このワークショップでは、“私たちの選択と決断が地球の未来につながっている”ということを、子どもたちにも理解してもらえるような形でお話させていただきました。
子どもたちは本当に吸収が早くて、ワークショップが終わった後には、「あしたからごはんをのこしません」とアンケートに回答してくれた子もいました。

このような子どもたちへの取組みも、地球の未来つながる活動になると思いますので、今後も積極的におこなっていきます。

haishop cafeは、ともに考え、ともにチャレンジできる場にしていきたいですね。


haishop cafe

場所:神奈川県横浜市中区海岸通5-25-3 1F
営業時間:8:00-17:00 定休日:月曜・火曜
連絡先:045-323-9874

InovationDesign様_haishop cafe

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☞個人でも取り組める食品ロス問題「フードシェアリング」とは?

「フードシェアリング」とは?食品ロス問題においしく取り組む方法

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大妻女子大学|吉井ゼミ生×国内縫製メーカーでサステナブルブランド「m_r tokyo(マール トウキョウ)」

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