自家消費型太陽光発電で耳にする【逆潮流】とは?仕組みと対策方法を解説

自家消費_逆潮流の仕組みと対策

今回は、自家消費型太陽光発電の設備導入を検討するには欠かせない【逆潮流】の仕組みと対策方法について解説していきます。

逆潮流の説明に入る前に

太陽光発電設備を系統連系(電力会社から受電する電力と接続させる技術)させる種類があることを理解しておきましょう。

1.逆潮流あり
発電した電力を供給するとともに、余った電力を電力会社に逆潮流させます。
発電量が足りない場合には、電力会社から電力の供給を受けます。

2.逆潮流なし
発電した電力より、自家消費する電力が多い場合に用いられます。
余る電力分が発生する場合は、電力会社に逆潮流させないように、保護継電器を設置する必要があります。

3.自立切替型
主に防災用として設定されるシステムです。
停電などが起きた場合に、系統から切り離して発電した電力を特定の消費電力のために供給します。
蓄電池や他の電源と組み合わせて使用することで、安定した電力の供給が可能となります。

上記3種類の中で、今回は自家消費型太陽光発電の逆潮流によって起こる問題や対策方法について解説します。自家消費型太陽光発電設備の導入をご検討されている方は、ぜひご覧ください!

自家消費_逆潮流_電線

逆潮流とは?順潮流と逆潮流の違い

電力会社の電線(系統)側から電気を使いたい建物の設備へ電気が流れることを【順潮流】と呼びます。皆さんがお住まいのご自宅や勤め先の事業所に電気が流れているのも、この順潮流です。
この順潮流とは反対に、電気が逆方向=太陽光発電設備から電線(系統)側へと電気が流れることを【逆潮流】と呼びます。

では、逆潮流の詳しい説明に入る前に、太陽光発電を取り巻く状況の変化を見てみましょう。

以前までは、太陽光発電と言えば、逆潮流を利用した全量売電(発電した電気を、固定価格買取制度(FIT)により電力会社に売ること)が主流でした。
しかし最近では、売電価格の低下や脱炭素に向けた取組みの活発化により、発電した電気を自ら消費する「自家消費型太陽光発電」が増えてきています。

自家消費型太陽光発電では、太陽光で発電した電力を、太陽光設備を設置した建物内で使用することを前提としています。そのため、発電した電気を系統側へ流すこと(=逆潮流)は、原則不可とされています。

もし、自家消費型太陽光発電設備で発電した電気が逆潮流してしまった場合、どのような問題が考えられるでしょうか?

逆潮流と余剰電力の違い

逆潮流は、太陽光発電や風力発電などの分散型電源から発生した電力が、一般的な電力の流れとは逆方向に電力網へと流れる現象を指します。

家庭や事業所などの小規模な再生可能エネルギー発電設備から生じた電力が、自身の消費を超えて電力網へと送られる電力の量を「逆潮流電力量」といいます。

一方、余剰電力は、消費者が再生可能エネルギー源を用いて発電した電力のうち、自身の消費電力を超えた部分の電力を指します。

この余剰電力は、逆潮流を通じて電力会社に売り戻されることが多く、売電収入を得ることができます。

簡単に言えば、逆潮流電力量は電力が電力網へ流れる「動き」そのものを指し、余剰電力はその「動き」によって電力網に供給される「電力量」を指します。

逆潮流の発生によって起こる電力問題

自家消費型太陽光発電設備では、発電した電気を全て自家消費することが前提とされています。

ですが例えば、祝日や休日に電気をほとんど使用しない施設や、お昼休憩時に電気の使用量が減るような施設を想像してみてください。その時間帯に太陽が出ていて発電してしまうと、施設内で使い切れない電気は系統側へ流れ込もうとします。

この現象が、あちこちで同時に発生すると「バンク逆潮流」が起こります。
バンク逆潮流とは、電力会社の送電網にたくさんの電気が流れ、変電所の受電能力を超えてしまう現象のことを意味します。これによって、送配電線の電圧品質の低下や電気の安定供給に問題が生じる恐れがあるのです。

また、太陽光で発電する電気の特性として、【天気の状況次第で発電電力量が変わる】というものがあります。
そのような不安定な電気が系統側のいたるところで流れてしまうと、周波数の変動に耐え切れずに、系統側で停電が起こってしまいます。

自家消費_逆潮流_問題

太陽光発電でできる逆潮流の対策となる制御方法

逆潮流の発生は、次の2つの機器を設置することで防ぐことが可能です。

①RPRの設置

RPR(送電力継電器)とは、逆潮流が発生しそうになると動作し、太陽光による発電を一時的に停止させる装置です。これは、構内電気設備の上位(受電部分)に設置します。
ただし、RPRが動作してしまうと、その間の発電機会の損失に繋がってしまうため、RPRが動作する前に太陽光による発電を制御する制御装置も必要です。

➁制御装置

太陽光発電システムの一部として、制御装置を設置することが一般的です。
消費電力量=電力会社から電気を購入している量を計測し、太陽光発電設備の機器の出力を調整することによって、逆潮流を防ぎます。この制御を、負荷追従制御と呼びます。

予期せず瞬間的に消費電力量が減少する場合にも、RPRが動作しパワーコンディショナーを停止します。

自家消費_逆潮流_制御盤

逆潮流対策をして効率的に太陽光発電電力を自家消費させよう

いかがでしたか?

自家消費型太陽光発電設備の導入を検討する際には、今回ご説明した逆潮流について考慮することが必須です。その考え方については、こちらで詳しくご紹介しておりますので、合わせてぜひご一読ください。

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