【投資家の方へ】太陽光業者がお伝えしたい:失敗しない野立て発電所の買い方
今回は、さまざまな規模の太陽光発電所を手がけてきた今までの経験から、投資向けの太陽光発電所を購入する際の「リスク」ポイントをご紹介します。
初回は、低圧太陽光発電所のケースでお話したいと思います。
さて、皆さんは“誰から・何処から”太陽光発電所を購入しようと思いますか?
普通は「会社」からでしょうが、個人間で売買する場合もあるかもしれません。
取引相手や売買対象の太陽光発電所の見極めはとても重要です。
できれば、当社のような専門の会社を間に入れて取引をするべきだと思います。
また、太陽光発電所の収益は「天候」に大きく影響を受けます。
当然ですが、「天候」は人間の力でどうなるものでもありません。
それでも、少しでもリスクを回避する方法はさまざま存在しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
太陽光発電所を購入する上で気になるポイント
中古発電所のご購入を検討されておられる方に、何に気をつけて購入すれば失敗しないか、ポイントについてお話させていただきます。
太陽光発電所ってどこで買えばいいの?
確かに、そこここに販売店があるわけではありませんよね。
不動産のように業法に則った店舗も、業者間で物件情報を共有する流通機構もありません。
なぜなら、販売経路が確立していないからです。
ほとんどの業者は、個人や法人からの販売委託を受け、独自にネット上や展示会などで宣伝・集客しています。その中から信用に値する会社(相手)を見極めるのはなかなか困難です。
まずは相手とコンタクトしてみて、誠実に対応をしてくれるかどうか見てみましょう。
予定通りの売電収入が得られるの?
最も大事な要素ですね。
新設・中古を問わず、その「製品」が収入に見合う適正な値付けがされているかを判断するのは、専門的な知識が必要です。
新設なら発電予測シミュレーション、中古なら発電履歴が目安になります。
その他にも天候や立地条件、設計、電気的な要素などといった要因が長期間の売電収入に影響しますので、総合的な評価をしなければなりません。
太陽光発電所を買ったあとの管理が心配…
すでに稼働開始している太陽光発電所であれば、どのような維持管理をしているのかを必ず確認しましょう。
一般的には、O&M(オペレーション&メインテナンス)業者に有償で委託し、遠隔で発電量をモニタリングし、トラブルがあればメールで通報されるシステムを導入しています。
また遠隔だけではなく、定期的な見回り、場内の除草、トラブル時の駆け付け対応なども必要になります。
長い間には壊れたりしないの?
太陽光発電所の構造は至ってシンプルです。
電気的に故障の可能性のある箇所は限られており、稼働部分も少ないので、建設時に適切な工事がなされていればとても長持ちします。
ですが、機械的・電気的に必ず寿命が来る製品を使用していますので、延長保証や修理、交換に備えて積立金も必要です。
また、天候や外的要因で物理的に壊れてしまうことや不慮の事故に備えて、必ず保険に加入していなければなりません。
太陽光発電所への投資とリスク対策のポイント
太陽光発電所への投資にはさまざまなリスクが潜んでいます。
しっかりと対策をするために次のような点に注意して検討しましょう。
【表面利回り】とは?
よくネット上で見かける投資型太陽光発電所の広告で、「表面利回り12%~」などの謳い文句を見かけますが、この数字に飛びついてはいけません。
冷静に、必ず実質利回り(諸経費を引いた実収入での利回り)で判断してください。
そのためには諸経費データが必要です。概ね実質利回り7%~9%程度が基準です。
稼働済の発電所なら、当初の収支計算シミュレーションに加えて、売電履歴記録も入手し比較してください。
また、売電開始から経過している発電所の場合、電力買い取りの残り期間にも注意してください。
諸データを快く開示してくれない相手先とは取引しないほうが良いでしょう。
また、「利回り」は「天候」に必ず影響されることを覚えておいてください!
【立地条件】はなぜ大事?
太陽光発電所の所在地はとても重要です。なぜなら、発電効率に大きく影響するからです。
基本的には日照の良い地域、周囲に影になる障害物が少ない立地、湿気が少ない、なるべくなら平坦地がベター。雨の多い地域や積雪地域は、特段の理由がない限り避けた方が賢明です。
必ず購入前にご自分の目で、できれば専門知識のある方と一緒に現地と周囲環境を確認した方が良いでしょう。そのため、ご自身の居住地と極端に離れていない方が良いと言えます。
遠隔地の場合は、維持管理のリスクマネージメントが必要です。
【諸経費】も念頭に置きましょう
太陽光発電所を所有・維持管理するには必ず諸経費がかかり、利回りに影響します。
その内容も必ず確認してください。
固定資産税、各種保険料、通信費、計測監視を含む維持管理委託料(融資で購入する場合は返済額)などなど。
【維持管理体制】を確認しましょう
ご自身で常時太陽光発電所を管理するわけにはいきませんので、有料で専門業者への委託をする方法が一般的です。
ですが、ポイントとして遠隔の計測監視やリモートカメラ、点検、アラート通知、発電レポート、事故対応、事故報告、補修対応、場内草刈りなどの維持管理体制がしっかりしているか、またその体制が取れているかを確認してください。
長く稼働させる太陽光発電所では、運用開始後の維持管理こそが重要となってきます。
特に大事な確認ポイントをまとめておさらい
さて、ここまで色々と説明してきましたが、改めて大事なポイントを簡潔にまとめてみました。
実際に検討する際には、こういった内容をチェックシートにするといいかもしれません。
●一見良さげな表面利回りに惑わされてはいけません、実質利回りで判断しましょう。
●物件の諸データを快く提示してくれる取引相手を選びましょう。
●天候リスクは絶対に存在します。
→発電量が計画より下振れしても許容できる利回りで検討しましょう。
●なるべく日射量の多い地域がベター!遠隔地や積雪がある地域はなるべく避けましょう。
●実際に立地条件を確認しましょう。
→影になる障害物など周辺環境が発電量に大きく影響します。
(樹木、樹液、枯葉、雑草、工場のばい煙、鉄道敷の鉄粉、農地の土ぼこりなど。)
●パワーコンディショナー(PCS)は電気製品なので、いつか必ず寿命は来ます。
→延長保証で交換となっても工賃は自己負担です。有事に備えて必ず積立金をしましょう。
●発電所の維持管理、計測監視体制を確認しましょう。
→プラス:停電、不慮の事故、故障に対応する体制があるかどうかも確認しましょう。
●無理な過積載の発電所はなるべく避けましょう。
→電気系機材の寿命を縮める場合があります。せいぜい1.2~1.5倍程度が上限と考えましょう。
→過積載とは:PCSの容量に対して太陽電池パネルの容量を多く搭載する方法
(注:過積載対応PCSもありますので、一概には言えません。よく確認しましょう。)
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以上、いかがでしたでしょうか?
太陽光発電所の投資を検討する上で、参考になれば幸いです。
やはり、推奨方法としては、当社のような専門の会社にご相談いただき購入していただくことです。
決して安い買い物ではありませんので、慎重に検討する事をおすすめします。
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