【2023年最新】自家消費型太陽光発電が対象となる補助金は?税制活用や注意点などもまとめて解説
近年、電気代の大幅な高騰が企業・家庭問わず大きな課題となっています。また、2020年10月に宣言された「2050年カーボンニュートラル宣言」以降、脱炭素の取り組みを急速に進める企業が増えています。
そんな中、電気代の削減や脱炭素経営の対策として注目されているのが、自家消費型太陽光発電設備の導入です。太陽光で発電した電気をそのまま使用することにより、電力会社から購入する電気が削減できるほか、CO2排出量を削減することなどにもつながります。
しかし一方で、数千万円単位にのぼる高額な初期費用が設備導入の障害になっている、という方も少なくはないでしょう。
そこで今回は、企業さま向けに自家消費型太陽光発電設備の導入で活用できる補助金についてご紹介します。また、活用できる税制や注意点についてもまとめますので、ぜひ一度ご覧ください。
※今回ご紹介する補助金には、既に公募が終了しているものもございます。
ただし、来年度以降も同様の補助金が出る可能性がありますので、参考情報としてご覧ください。
地方自治体による自家消費太陽光の補助金制度
【東京都】地産地消型再エネ増強プロジェクト
東京都の「地産地消型再エネ増強プロジェクト」は、3つのパターンが対象となります。
①都内設置/都内消費・蓄電のパターン
補助対象 | 太陽光発電設備ほか再生可能エネルギー発電設備、再生可能エネルギー熱利用設備、蓄電池(再エネ発電設備と同時導入に限る) |
要件 | ・年間想定発電量が、設置場所の年間消費電力量以下であること |
補助率 | 発電設備、熱利用設備:中小企業および区市町村は対象経費の2/3以内、その他は対象経費の1/2以内 蓄電池:中小企業は対象経費の3/4以内、区市町村は対象経費の2/3以内、その他は対象経費の1/2以内 (中小企業および区市町村は上限1億円、その他は上限7,500万円) |
対象事業者 | 法人、都内区市町村 |
②都内設置/都内蓄電のパターン
補助対象 | 蓄電池 |
要件 | ・FIT/FIP制度の認定を受けている設備に併設するものでないこと ・蓄電池設置施設での増設事業ではないこと ・定置用であること |
補助率 | 中小企業は対象経費の3/4以内(上限450万円)、その他は対象経費の1/2以内(上限300万円) |
対象事業者 | 法人 |
③都外設置/都外消費・蓄電のパターン
補助対象 | 太陽光発電設備ほか再生可能エネルギー発電設備全般、蓄電池(再エネ発電設備と同時導入に限る) |
要件 | ・年間想定発電量が、設置場所の年間消費電力量以下であること ・都内に事業所等を有していること ・補助率に応じて再エネ発電設備から得られた環境価値を証書化し、都内事業所で自ら利用すること ・FIT/FIPの認定を受けない設備であること |
補助率 | 発電設備:中小企業および区市町村は対象経費の2/3以内、その他は対象経費の1/2以内 蓄電池:中小企業は対象経費の3/4以内、区市町村は対象経費の2/3以内、その他は対象経費の1/2以内 (中小企業および区市町村は上限1億円、その他は上限7,500万円) |
対象事業者 | 法人、都内区市町村 |
【神奈川県】自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金
補助対象 | 太陽光発電設備ほか再生可能エネルギー発電設備全般、蓄電池(蓄電池単体の申請は不可) |
要件 | ・国や県の補助金と併用しないこと |
補助率 | 再生可能エネルギー発電設備:6万円/kW(大企業の場合は上限1,000万円、中小企業は上限なし) 蓄電池:15万円/台 |
対象事業者 | 法人、個人事業主 |
【茨城県】いばらきエネルギーシフト促進事業補助金<公募終了>
補助対象 | 太陽光発電設備、蓄電池(蓄電池単体で申請する場合、既設の自家消費型太陽光発電設備と一体で使用するもの) |
要件 | ・年間想定発電量が、設置場所の年間消費電力量以下であること ・蓄電池は、停電時や電力需給ピーク時にも活用できること |
補助率 | 太陽光発電設備:12万円/kWまたは対象経費に1/2を乗じた額のいずれか低い方(上限1億2,000万円) 蓄電池:9万円/kWhまたは対象経費に1/2を乗じた額のいずれか低い方 |
対象事業者 | 法人(公共法人を除く)、個人事業主 |
国による自家消費太陽光の補助金制度
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業(ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業))<公募終了>
補助対象 | 太陽光発電設備、蓄電池 |
要件 | ・10kW以上の自家消費型太陽光発電設備を導入する事業であること ・蓄電池を導入する事業であること ・発電した電気を系統に逆潮流しないこと ・停電時にも必要な電力を供給できる機能を有する設備であること |
補助率 | 太陽光発電設備:4万円/kWまたは5万円/kW 産業用定置用蓄電池:5.3万円/kWh 家庭用定置用蓄電池:4.7万円/kWh (上限2,500万円) |
対象事業者 | 法人、個人事業主 |
新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業(再生可能エネルギー事業者支援事業費(ソーラーカーポート))<公募終了>
補助対象 | 太陽光発電一体型/搭載型カーポート、蓄電池、蓄電池(車載型)の充放電設備または充電設備 |
要件 | ・駐車場を活用したソーラーカーポートや蓄電池を導入する事業であること ・発電した電気の50%以上を導入場所敷地内で自家消費すること ・導入費用が基準額を下回るものであること |
補助率 | 3分の1(上限1億円) ※ただし、車載型蓄電池・充放電設備・充電設備は補助率が異なる |
対象事業者 | 法人 |
中小企業経営強化税制の活用も可能
中小企業であれば「中小企業経営強化税制」の活用も可能となります。
自家消費型の太陽光発電設備は、中小企業経営強化税制のA類型・B類型の“機械装置”に該当します。即時償却または10%(※)の税額控除を選択することができます。
※資本金が3,000万円以上1億円以下の場合は7%
中小企業経営強化税制の適用期限は、2025年3月末まで延長されました。ただし、この期限までに必要な書類を揃えて申請・認定を受けなければなりません。
書類を揃える期間・申請から認定までの期間を十分に考慮する必要がありますので、ご注意ください。
補助金を活用する際の注意点
補助金を活用する際、特に気をつけなければいけないことは「工期」と「設置後の設備の取扱い」です。その理由と注意点を簡単に解説します。
工期の確認
補助金の多くは、【申請】→【採択】→【施工業者との契約】→【工事】→【引渡・支払】の流れで進みます。申請後、採択されるまでは契約をしてはなりません。
どの補助金も【引渡・支払】の期日が定められているため、申請の時期によっては期間内に工事を終えることが難しい場合があります。
補助金の活用を前提に設備導入を検討する場合、資材の手配が間に合うのか、期間内に工事が収まるのか、早い段階での確認が必要となります。
設置後の設備の取扱い
補助金を活用して導入した発電設備は、自社の財産であることは関係なく、補助金交付団体に無断で撤去・移設をすることができません。
(場合によっては、補助金の返還を求められることも!)
設置後数年間は発電状況の報告をすることや、管理状況の調査が入るケースもありますので、設備設置後のこともイメージしておくことが重要です。
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いかがでしたでしょうか?
今回ご紹介した補助金は、国と一部都県の補助金となります。
独自に補助金の公募をおこなっている市町村もありますので、自家消費型太陽光発電設備の導入を検討されている方はぜひ調べてみてください。
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