雨も曇りも関係ない?!宇宙から太陽光発電の電力を送るプロジェクト
今回は少し趣向を凝らして、大人も子どもも気持ちがワクワクするようなテーマをお届けしたいと思います。
題して、“宇宙太陽光発電はできるのか?”です。
果たして、宇宙でどのように発電するのか?発電した電気はどうやって地上に届けるのか?そもそもできるのか?気になる内容を早速見てみましょう!
【宇宙太陽光発電】どんな仕組みで電気を届けるの?
「宇宙太陽光発電」というアイディア自体は、1968年初めて提唱されました。
英語で「Space-based Solar Power(略:SBSP)」と呼ばれるこの考えは、「宇宙空間の衛星軌道上で太陽光発電を行い、その電力をワイヤレス方式で地球に送る」というコンセプトからなります。
そして、この考えによるシステムを「Space Solar Power System(略:SSPS)」呼びます。
その構造イメージはイラストにすると下図のような形になります。
また、地上に届くまでの流れを簡単に説明すると次のようになります。
①太陽光を衛星軌道上に乗せた太陽光パネルを搭載した衛星に当て、電気を発電する
②発電した電気をマイクロ波かレーザー光に変換して地上の受信局に送る
③受信局で受け取ったエネルギーをまた電力に変換し直して地上で利用する
どうでしょう?なんとなくイメージは沸きましたか?
途轍もなく壮大な計画だってことは伝わってきますね。
では、宇宙で太陽光発電をするメリットはなんでしょう?
【宇宙太陽光発電】想定されるメリットとデメリット
「宇宙に浮かぶ発電所」を想像すると心が躍る計画ですが、いざ実現した場合に考えられるメリットとデメリットを見てみましょう。
宇宙太陽光発電のメリット
・地上が夜間でも安定的して電力の供給ができる(ベース電源化)
・枯渇しないエネルギー源のため、無尽蔵に24時間365日利用できる
・天候や大気に影響を受けず、また環境汚染も引き起こさないですむ
確かに、地上で行う太陽光発電は天候や大気中の粒子などに影響を受けてしまうので、設置場所や時間に発電量が大きく左右されてしまいます。
この不安定さがなくなるのは、大きな発電効率アップになりますね。
では逆にデメリットはなんでしょう?
宇宙太陽光発電のデメリット
・初期費用が非常に高額
・大規模な太陽光パネルに対し、宇宙塵やスペースデブリへの対処がむずかしい
・宇宙太陽光発電設備が故障した際の修理がむずかしい
「スペースデブリ」とは?
軌道上にある不要な人工物体のことを指します。
具体的には、壊れた人工衛星や打ち上げロケットの部品、破片など。
修理方法については、修理用のロボットを活用する方向で開発も進められているようです。
あとは、宇宙で発電した電力を地上へ送る時のマイクロ波やレーザー光を、環境や人体に影響しないレベルの高い透過率にする必要もあるそうです。
ではこの計画、実際のところどうなのかというと、理論上“不可能ではない”と言われています。
計画自体は、1970年代からNASAなどでも精力的に研究が進められていました。ただし、実現にかかる莫大な費用などが要因となり、計画は一時凍結されました。
しかし現在、この計画は日本を始めアメリカや中国などでもまた研究が進められています。経済産業省やJAXA(宇宙航空研究開発機構)は、2045~50年ごろの実用化を目標にしているという話もあるようです。
そう遠くない未来、宇宙から届く電力で生活する日常がくるかもしれませんね!
地上と宇宙の太陽光発電 コスト面を詳しく比較
宇宙太陽光発電は、初期投資として設備を打ち上げるためのロケット代がかかる点で、地上での太陽光発電と比べてコストが高くなります。
しかし、宇宙では地上に比べて太陽の光を遮るものがなく、昼夜や天候に影響されずに連続して発電できるため、設備の稼動率は地上の約14〜15%に対して90%以上と非常に高くなります。この高い稼動率により、発電量が増加し、長期的には高いコストパフォーマンスを実現することが可能です。
試算によれば、宇宙太陽光発電の売電価格を8〜9円/kWhとし、30年間運用することで、ビジネスとして成立する見込みがあります。
したがって、初期投資の大きさにもかかわらず、長期的な運用を考えると宇宙太陽光発電は経済的に合理的な選択となる可能性があります。
今後の宇宙太陽光発電の動向
宇宙太陽光発電の分野では、アメリカと中国が研究を進めています。
アメリカでは、空軍研究所とカリフォルニア工科大学がそれぞれ約100億円ともいわれる予算を得て、宇宙太陽光発電技術の開発に本腰を入れています。この取組みは、持続可能なエネルギー源としての宇宙太陽光発電の可能性を探るもので、将来のエネルギー供給方法として大きな期待が寄せられています。
一方、日本では宇宙基本計画の中で宇宙太陽光発電の商用化目標が2050年に設定されており、2022年度から宇宙空間での太陽光パネル展開実証実験を開始しています。これに加えて、2025年度には別の衛星を用いてマイクロ波送電の実証実験にも取り組む計画があります。
2030年代には、30メートルほどの太陽光パネルを宇宙空間に設置する大規模な実証試験を行うことも予定されています。
【宇宙太陽光発電】日本で検討されているさまざまな構造案
最後に、日本で検討・提案されているコンセプト案を2つピックアップして簡単にご紹介したいと思います。
どちらもとても面白い計画なので、気になった方はぜひ各HPより詳細も見てみてくださいね。
JAXA:2枚の反射鏡と太陽電池及びマイクロ波送電装置による計画
宇宙といったら、日本ではJAXAですよね。
JAXAでは、太陽光パネルを設置した発電衛星の両側を挟むような形で反射鏡を置き、太陽光の日射を集約する構造が2000年代、コンセプトとして検討されました。
また、地上への送電方法にマイクロ波が選択されています。このマイクロ波、最適な周波数を選択することで雲や雨の影響を殆ど受けず、天候に左右されない点が長所として挙げられます。
実現したら、とても効率よく電力を利用できそうですね。
☞JAXAの計画の詳細はこちらから
清水建設:月太陽光発電「ルナリング」
もう一つ、面白い提案が清水建設による「ルナリング」計画です。
どういったものかを簡単にいいますと、これまで紹介してきたように太陽光パネルを設置した人工衛星を衛星軌道上に乗せて発電するのではなく、月面に太陽光パネルをぐるっと敷き詰め、発電するのです。
つまり、上図のように月に太陽光パネルの輪っか、リングができることになります。
地上から望遠鏡などで覗いた時、リングが見えるようになるのでしょうか?気になりますね。
☞清水建設「ルナリング」計画の詳細はこちらから
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以上、「宇宙太陽光発電」いかがでしたか?
太陽光発電にはこんな可能性もあるんだなと思うと、とてもワクワクしませんか?
もっと詳しい内容が気になる方は、ぜひ調べてみてくださいね!
当社では、宇宙はむずかしいですが…地上での住宅用太陽光発電や、大きな土地でおこなう大型太陽光発電所、家庭用/産業用蓄電池なども取り扱っています。
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