蓄電池容量目安の計算方法と選び方【電気代節約・停電対策に】
電気代対策に選ばれ始めている太陽光+蓄電池
昨今、エネルギーの高騰による電気代の値上がりがメディアでもよく取り上げられています。
これまでも少しずつ電気代は上がってきていましたが、最近では信じられないような請求金額が毎月届いているのではないのでしょうか。それも、前年よりも電気を使いすぎたからではなく、使用量はそんなに変わってないのに請求額だけが増えている…という方がほとんどだと思います。
☞電気料金の値上げは今後も?詳しくはコチラ
そんな中、対策方法として太陽光と蓄電池がより注目されており、近年当社では、その中でもテスラ社の家庭用蓄電池「Powerwall(パワーウォール)」を1軒に複数台数設置するケースが多くなっています。
そこで今回は、パワーウォールを例に“ご自宅に最適な蓄電池容量目安の計算方法”と考え方を、わかりやすく解説させていただきます。検討されている方は、ぜひ参考にご覧ください。
蓄電池選びは「容量」がポイント!
蓄電池を選ぶ際には、「容量」が非常に重要なポイントとなります。
蓄電池の容量の単位「kWh(キロワットアワー)」
蓄電池の容量は「kWh(キロワットアワー)」という単位で表されます。
W(ワット)は家電製品でいうと消費電力を表す単位で、h(アワー)は時間のことです。
したがって、1kWhは1kWの電力を1時間使用した場合の消費電力を示しています。
家庭用蓄電池の最大容量と最小容量
現在市場に出回っている家庭用蓄電池の中では最大容量は16.6kWh、最小容量は3.2kWhの製品があります。容量が大きい蓄電池ほど、一度に蓄えることができる電力量が多くなり、停電などの非常時にも長時間の電力供給が可能です。
さらに容量の小さい3kWh以下の蓄電池は、主にポータブル蓄電池として分類されます。ポータブル蓄電池は家庭用蓄電池よりも小型で持ち運びが可能なため、アウトドアや非常時の携帯電源として便利です。
自宅に合った蓄電池の容量を知る計算方法
自宅に最適な蓄電池の容量を選ぶためには、家庭で使用する電力量を計算することで目安を知ることができます。まず家電ごとの消費電力を調べてみましょう。
各家電製品の消費電力は、製品の仕様書または製品本体に記載されているワット数(W)で確認できます。そうしたら、日常的にどれくらいの時間、その家電製品を使用するかを考えます。
例)冷蔵庫は24時間連続運転、テレビは1日に3時間使用する場合
計算式は「使用する家電の消費電力(W)× 使用時間(h)= 必要な電力量(Wh)」です。
すべての家電についてこの計算を行い、合計します。
<計算例>
冷蔵庫:150W × 24h = 3600Wh
テレビ:100W × 3h = 300Wh
これらの数値をすべての家電で計算し、1日に必要な総電力量を求めます。その合計が1日に必要な総電力量となり、蓄電池選びの参考になります。
自宅に合った蓄電池の容量は?
自宅に合った蓄電池の選び方は、家庭のライフスタイルやエネルギーの使用状況によって大きく異なります。特に、太陽光発電設備がある家、オール電化の家、エネファームを導入している家、電気自動車を持っている家など、それぞれの状況に応じた蓄電池の選び方が求められます。
それぞれの家庭タイプに合わせた蓄電池の容量の目安と利用方法を紹介します。
太陽光発電設備を設置している家
太陽光発電設備を設置している家庭では、日中に発電される電力を効率よく利用するために蓄電池が非常に有効です。
平均的な家庭の消費電力量で考えた場合、少なくとも6kWh以上の蓄電池があれば、発電した電力を貯めて夜間などの発電ができない時間帯に使用することが可能です。
充分な容量の蓄電池を設置することにより、自家消費率を高め、電力の購入量を減らすことができます。
オール電化の家
オール電化の家庭では、電力消費量が多いため、大容量の蓄電池おすすめです。
特に、電気暖房器具やエアコン、電気調理器具などを頻繁に使用する家庭では、最大容量の家庭用蓄電池でも1日分の電力を賄いきれないことがあります。
そこで、特定負荷型の蓄電池と併せて、太陽光発電設備の設置が効果的です。これにより、消費電力のピークカットや緊急時のバックアップ電源としての利用が可能になります。
エネファームがある家
エネファームを導入している家庭では、発電に必要なガス代が発生しますが、蓄電池との組み合わせにより、電気代だけでなくガス代の節約にもつながります。
発電した電力を効率的に利用し、余剰電力は蓄電池に貯めておくことで、光熱費の全体的な削減が期待できます。
電気自動車(EV)がある家
電気自動車(EV)を持つ家庭では、V2H(Vehicle to Home)機器を利用して、車のバッテリーと家庭用蓄電池を連携させることができます。
深夜電力を蓄電池に充電し、蓄電池が満タンになったらその電力をEVに充電します。電気料金の高い昼間は蓄電池に貯めた電力を利用し、それを使い切った後はEVに貯めた電力を使用します。
これにより、電力のピークシフトやコスト削減が図れます。
複数台ってどうなる?実際の設置すがた事例
まずは、当社で実際に設置した事例を見てみましょう!
写真を見ていただくとわかるように、複数台設置は2台だけというわけではありません。メーカーや機種にもよりますが、3台や4台の導入をご希望されても設置することは可能です。
特に、パワーウォールは「Gateway」という機器1台に対して、最大で10台まで蓄電池本体を設置することができます。(「Gateway」とは、各電力状況の計測などをおこなうTESLA製の機器です。)
また、設置方法もさまざまです。複数台設置の場合、横に並べての設置もしくは、縦に重ねての設置という2パターンのどちらかで設置することができます。例えばパワーウォールなら、縦に重ねる場合は最大3台まで連結することができます。
実際に設置される場所のスペースや見た目を考慮し、どちらにするか検討・提案させていただき、最適な形を決めていきます。
①横に並べる
②縦に重ねる
蓄電池容量の目安を計算してみよう[複数台設置が最適な場合も]
蓄電池の導入を検討していく中で重要になるのが、太陽光発電による発電量とご自宅の電気使用量です。加えて、太陽光発電による発電量が多く、ご自宅の電気使用量も多い方には複数台設置がおすすめできます。
上記のようなご家庭が太陽光発電設備とパワーウォールを設置した場合、発電した電気は基本ご自宅で使っていただき(自家消費)、余った電力は蓄電池にためるという設定がおすすめです。
そして、その蓄電した電力は、発電よりも自宅消費が高くなった瞬間に放電をします。つまり、ご自宅の消費電力を追従し放電をおこなうイメージです。
蓄電=発電量-発電している時間の自宅電気使用量
放電=発電<自宅電気使用量
パワーウォールの蓄電量は、13.5kwh/1台です。
2台なら:27kwh
3台なら:40.5Kwh
(1日に蓄電して放電できる量)
それでは、上記のことを踏まえて、ご自宅は複数台設置が適しているかどうかを判断するため、次の2点をチェックしてみてください。
容量目安の計算①「太陽光の余剰電力量を1日単位で見てみる」
太陽光発電設備がご自宅についている方は、毎月1ヶ月分の売電明細を確認することができます。
とはいえ、雨の日なども考慮すると1か月間毎日発電することはあまりないので、「25日間晴れた日がある」と仮定し、以下の計算をおこないましょう。
1か月の売電量÷25日=その月の1日で余った太陽光の電力量
パワーウォールを導入した場合は、この数値が蓄電池にためられる電力量となります。この数値が20kwhに近い方は、パワーウォールの2台設置がおすすめできます。
容量目安の計算②「ご自宅の電気使用量を1日単位で見てみる」
売電と同様に、1ヶ月分の買った電力(買電)の明細も毎月確認することができます。
太陽光発電設備がある方は、太陽光の自家消費分は引かれた電力量となりますのでご留意ください。
1か月の電気使用量÷その月の日数=その月の1日で使った電力量
また、太陽光発電設備がない状態で蓄電池のみの設置を検討している方は、ご自宅の電力消費量のうち、昼間の電力が全体の何割程度利用しているかをおおよそで検討し、昼間の利用分を引いた電力量で計算をおこないましょう。
イメージがつかない方は、全体の消費の2割から3割程度で計算をしてみるのが良いかと思います。
この数値が蓄電した電力を放電する電力となりますので、売電と同様にこの数値が20kwhに近い方は複数台設置がおすすめです。
容量以外にも重要な蓄電池の選び方
蓄電池を選ぶ際、単に容量だけでなく、その他の重要な要素も考慮することが大切です。
容量以外に見るべきポイントを紹介します。
電気使用量に応じて容量を決める
先述しましたが、まずは日常の電気使用量を正確に把握し、必要な容量を見積もることが重要です。
家庭で使用する電化製品の消費電力と使用時間を計算し、全体でどれだけの電力が日々必要かを算出します。これにより、必要な蓄電池の容量を適切に決定することができます。
設置できる大きさのものを選ぶ
物理的なスペースも蓄電池選びの重要な要素です。
設置場所の大きさや条件に合わせて、蓄電池のサイズを選ぶ必要があります。適切なサイズを選ばないと、設置が困難になる場合があります。
長時間利用する場合は充放電回数の多いものを選ぶ
蓄電池の寿命は、充放電の回数に関係します。
長時間の使用を前提とする場合、充放電サイクルが多く、長持ちするタイプの蓄電池を選択することが望ましいです。
停電時でも普段通り過ごしたい場合は全負荷型で200V対応の蓄電池を選ぶ
全負荷型の蓄電池は家全体をカバーでき、200V対応のものを選べば、エアコンや大型家電も停電時に使用可能です。
停電時でも日常生活に大きな支障を来たすことなく過ごしたい場合は、全負荷型で200V対応の蓄電池を選ぶといいでしょう。
環境に合った蓄電池を選ぶ
蓄電池の性能は設置環境によっても変わるため、寒い地域にお住まいの方は寒冷地仕様、海の近い家にお住まいの方は塩害仕様など、地域の環境条件に適した製品を選ぶことが重要です。
保証内容や保証期間を確認する
蓄電池の購入時には保証内容と保証期間を確認することが重要です。
長い保証期間と充実したサポートがついているものを選んだ方が、将来的なトラブルや不具合が発生した際に安心です。
パワーウォールの複数台設置を検討するなら
いかがでしたでしょうか?
上記①②とも「約20kWh」に該当した方は、この機会にぜひ複数台設置を検討してみましょう!
また、該当していない場合でも、パワーウォールは電力会社から買った電気で蓄電することが可能です。昨今の電気代値上げ状況を考慮すると、ご家庭によっては複数台設置がおすすめできる場合もございます。
2023年6月、大手電力会社でも値上げが実施された今、その他多くの電力会社でもさらなる値上げがおこなわれる可能性は決して低くありません。
太陽光発電設備と蓄電池の導入は、どなたにも検討をする価値が確実にあります。今後も電気代が上がっていくことは確実となっている中、早めに対策をしておくことが将来の家計を助ける行動となります。
複数台設置が適しているのかどうかはもちろん、太陽光発電設備とパワーウォールなどの蓄電池の導入を検討されている方は、ご自宅の電気の状況を確認させていただきながら最適な形をご提案させていただきますので、ぜひ一度当社までお問い合わせください。
☞オール電化でも!太陽光+パワーウォール1台で電気代節約