[電気代はいつから?どのくらい上がる?]電力会社の料金値上げ・軽減策の激変緩和措置とは

電力会社_値上げ情報

毎月、電気料金明細を確認しては「電気代高すぎる…」とため息の出る現状が続いていますね。

そこに追い打ちをかけるように東京電力エナジーパートナー株式会社(東電EP)などの一般的に大手電力会社と呼ばれる小売電気事業者7社が、相次いで規制料金(従来の電気料金プラン)の値上げを2023年6月1日に実施しました。しかし一方で、電気代の軽減策になる「激変緩和措置」の再延長が2023年12月13日には公表されました。

大手電力会社の値上げ状況から「激変緩和措置」とは何か、今後の電気代の行方はどうなるのかなどまとめてみました。ぜひご覧ください。

<目次>

1.大手電力7社の家庭向け電気料金値上げは6月1日から
2.「激変緩和措置」の期間が再延長!2024年5月使用分まで New!
3.託送料金はすでに値上げ申請認可済み
4.電気代を節約するには?方法と対策

大手電力7社の家庭向け電気料金値上げは6月1日から

電力会社値上げ_状況

※2023/5/16
値上げ幅について、関係閣僚会議にて以下の査定結果が了承されました。
※2023/5/19
変更値上げ申請が認可されました。
(6月1日より値上げが実施可能に)

上記の流れを経て、2023年6月1日に申請を上げていた大手電力会社7社で値上げが実施されました。最新情報は経済産業省のニュースリリースより確認することができます。

今回、各社の値上げ対象は基本「規制料金」部門となります。これは、電力自由化前からある従来の「従量電灯」などの電気料金プランが対象です。具体的な対象プランなどの詳細は、各社の申請概要資料をご覧ください。

2023年6月1日に値上げを実施した大手電力7社の詳細 ※託送料金の値上げ除く

申請会社 規制料金部門の
平均引き上げ率
(5/19最終)
実施日 詳細リンク
東北電力株式会社 25.47% 2023/6/1 電気料金の見直しについて(低圧)
中国電力株式会社 26.11% 2023/6/1 05/16補正版:電気料金表
四国電力株式会社 28.74% 2023/6/1 【2023年6月実施】規制料金の値上げ認可について
沖縄電力株式会社 36.6%
※自由化部門も37.91%
2023/6/1 電気料金の改定について
北陸電力株式会社 39.70% 2023/6/1 電気料金の改定について
東京電力エナジーパートナー株式会社 15.90%
※自由化部門も5.28%前後
2023/6/1 低圧の料金メニューの見直しについて
北海道電力株式会社 20.64%
※自由化部門も
追って値上げ
2023/6/1 電気料金の見直しに関するお願いについて

上記の通り、一部の大手電力会社は、規制料金部門だけでなく自由化部門も値上げを実施するようです。

また、大手電力会社の残り3社(関西電力株式会社/中部電力株式会社/九州電力株式会社)からは、値上げに関する申請等は提出されていません。これは、原子力発電所の再稼働などもあり、電源にまだ余裕があることが理由の1つと考えられています。

(参考:日本経済新聞「東京電力、家庭料金3割輪上げ申請 燃料高で大手6社目」

実際にどれくらい値上げされたのか?東電EPの場合

申請当初、各社28~45%の値上げ幅で改定申請が提出されましたが、関係閣僚会議による慎重な査定の結果、各社平均は15~39%の値上げ幅となりました。

現在、経済産業省のニュースリリースには5月16日付けで、各社の変更認可申請の補正資料が公開されています。それを確認すると、東京電力エナジーパートナー(東電EP)の「従量電灯B」の場合は以下の料金単価で再提出されていました。

東電EP「従量電灯B」電気料金
単位 申請前単価
(2022年11月)
査定後単価
(2023年5月16日)
基本料金 10A 286円00銭 295円24銭
15A 429円00銭 442円86銭
20A 572円00銭 590円48銭
30A 858円00銭 885円72銭
40A 1,144円00銭 1,180円96銭
50A 1,430円00銭 1,476円20銭
60A 1,716円00銭 1,771円44銭
電力量料金
(1kWh)
~120kWh 19円88銭 30円00銭
120~300kWh 26円48銭 36円60銭
300kWh~ 30円57銭 40円69銭

<標準的な家庭の場合の電気料金>
・従量電灯B:30Aで契約している家庭
・月の使用電力量は400kWh
※純粋な基本料金+従量料金のみ(再エネ賦課金、燃料費調整額等は含まず)

東電EP「従量電灯B」電気料金差
単位 申請前単価
(2022年11月)
査定後単価
(2023年5月16日)
基本料金 30A 858円00銭 885円72銭
電力量料金
(1kWh)
~120kWh 2,385円60銭 3,600円00銭
120~300kWh 4,739円92銭 6,551円40銭
300kWh~ 3,039円30銭 4,028円31銭
合計金額   11,022円82銭 15,065円43銭
差額 +4,042円61銭

燃料価格が電気料金に反映される仕組み「燃料費調整制度」とは

燃料費調整制度は、電力会社が電気を生成する際に使用する燃料の価格変動を電気料金に反映させる仕組みです。

この制度により、石油や天然ガス、石炭などの燃料価格が上昇した場合、そのコスト増を電気料金に上乗せして回収することが可能となります。

逆に、燃料価格が下がった場合は料金が下がることもあります。

このようにして、電力会社は燃料価格の変動リスクを消費者と分かち合うことができ、経営の安定を図ることができます。

燃料費調整制度は、燃料価格の変動が電力会社の経営に与える影響を緩和し、長期的な電力供給の安定性を確保するために重要な役割を果たします。

しかし、この制度による料金の変動は消費者の電気料金負担に直接影響を与えるため、透明性の高い情報提供と公正な運用が求められます。

電力会社は燃料価格の変動に応じた料金調整を行う際、その計算基準や方法を明確にし、消費者に対して十分な情報を提供する必要があります。

「激変緩和措置」の期間が再延長!2024年5月使用分まで New!

2023年12月13日、経済産業省より次のような発表がありました。

・2023年12月使用分までだった補助期間を2024年4月使用分まで延長
・2024年5月使用分は補助額の幅を縮小し値引き
(参考:経済産業省『2024年春までの電気・ガス価格激変緩和対策の継続に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いました』)

電気事業者・ガス事業者から経済産業大臣に対し、値引き延長の申請があり審査が行われたところ、申請内容である特例措置を講じる必要があると認められました。
そして、先だって2023年11月2日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づき、上記2点を含めた電気・ガス価格激変緩和措置策が認可・承認されるに至りました。

激変緩和措置が適用されることで、実際にいくらぐらいの電気代削減につながるのか?
東京電力パワーグリッド株式会社が公式サイトに公表している計算例を参考に見てみましょう。

<東電EPの場合>
・従量電灯B/30Aで契約している家庭
・月の使用電力量は260kWh

従量制の場合 激変緩和措置適用前 激変緩和措置適用後
基本料金 885.72円 885.72円
電力量料金 8,724円 8,724円
燃料費調整額 -1,599円 -1,599円
激変緩和措置 0円 -910円
再エネ賦課金 364円 364円
合計 8,374円 7,464円

「激変緩和措置」とは?

「激変緩和措置」とは、家計を直撃する電気代高騰に対し、総合経済対策として政府が実施している緩和措置です。

本支援策による単価の値引きは、補助事業に参加している小売電気事業者に適用されます。適用小売電力会社と契約されているお客さまの明細(検針票)には、「政府の支援で使用量×〇〇円が値引きされています」といった旨の記載が義務化されています。

<当初の補助概要>
【補助対象と補助金額】
・低圧契約の家庭等:−7円/1kWh
・高圧契約の企業等:−3.5円/1kWh
※2023年9月使用分は各単価が半額に
【補助期間】
2023年2月検針分~2023年10月検針分まで
(2023年1月使用分~2023年9月使用分まで)

激変緩和措置の終了時期が12月に再延長

「激変緩和措置」は当初、上記の通り2023年1月~2023年9月使用分までを補助期間としており、10月使用分からは補助を撤廃する予定でした。

しかし、エネルギー価格高騰が続く現状を受け、措置を当面延長することが決定されました。2023年12月13日に公表された再延長後の補助期間は、2024年5月使用分までとなります。

<延長後の補助概要(現行)>
【補助金額】
・低圧契約の家庭等:−3.5円/1kWh
・高圧契約の企業等:−1.8円/1kWh
※2024年5月使用分は各単価が半額に
【補助期間】
2023年9月使用分~2024年5月使用分まで
(2023年10月検針分~2024年6月検針分まで)

激変緩和措置_期間再延長図

再エネ賦課金単価に関しても、2023年度単価は昨年度単価より「-2.05円」となりましたが、来年度はまた上がる見込みと言われています。そのため、今回「激変緩和措置」が2024年1月以降も延長されたことは、一般消費者にとって嬉しいニュースです。

しかし、一方で電気代が特に高騰する夏の時期以降も措置が継続されるかは現在未定です。大手電力会社の電気料金値上げの影響は、夏以降顕著に感じられるようになると考えられます。

電気料金の値上げはいつまで?燃料価格の今後の見通し

電気料金の値上げがいつまで続くかについては一概には言えませんが、2050年までの燃料価格の見通しとしては、化石燃料に依存する限り、地政学的な要因、供給・需要のバランス、採掘コストの増加などにより価格が上昇傾向にあると考えられます。

特に、世界的な脱炭素社会への移行に伴うエネルギー源の変化や、再生可能エネルギーへのシフトによる中期的な変動も予想されます。

これらの要因は、長期的には電気料金にも影響を及ぼす可能性があり、価格上昇の圧力となることが予測されます。

電気料金に影響を与える要因

電気料金に直接的な影響を及ぼす3つの要因について解説します。

天然ガス(LNG)と石炭の価格変動

電気料金に影響を与える要因として、天然ガス(LNG)および石炭の価格変動が挙げられます。

特に、ウクライナ情勢の緊迫化による影響、世界的な天然ガス需要の増加、そして円安がこれらの燃料価格に与える影響は大きいです。

ウクライナ情勢の悪化は、エネルギー資源の供給ルートに影響を及ぼし、特にヨーロッパ向けの天然ガス供給に不安定性をもたらしています。

これにより、天然ガスの国際市場価格が上昇し、日本を含む輸入国の電気料金にも上昇圧力がかかります。

さらに、経済活動の再開とともに世界的に天然ガスの需要が増加しており、供給と需要のバランスが崩れることで価格が上昇しています。

日本では、特に天然ガス(LNG)が主要な電力供給源の一つであるため、このような国際的な価格変動が直接的に電気料金に反映されます。

円安の影響も無視できません。

円安が進むと、輸入に依存する日本の燃料コストが増大し、これが電気料金の上昇につながります。

石炭も同様に、国際価格の変動や円相場の動向によって、電力会社の燃料調達コストに影響を及ぼし、結果として消費者に負担が増加する形となります。

電力供給量不足

国内の電力供給量不足は、電気料金に大きな影響を与える要因の一つです。

特に、原子力発電所の停止や火力発電の縮小がその主な原因となっています。

原子力発電所は、一度停止すると再稼働までに長期間を要し、その間、大量の電力を供給することができません。

また、火力発電の縮小は、化石燃料の使用を減らし、CO2排出量を削減するための環境対策の一環ですが、これによって電力供給能力が低下します。

これらの電力供給源の不足は、電力会社が安定した電力供給を維持するために、より高コストの発電方法や他社からの電力購入を余儀なくされることになります。

その結果、発電コストの増加が電気料金の上昇に直結するのです。

再エネ賦課金の価格変動

再生可能エネルギーの導入促進のために設けられた「再エネ賦課金」も、電気料金に影響を与える要因です。

この賦課金は、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーによる発電の費用を賄うために、電気利用者に課されるものです。

2012年から2015年にかけて、FIT(固定価格買取制度)の影響で産業用太陽光発電所が増加したことにより、2016年以降の再エネ賦課金が値上がりしました。

この再エネ賦課金の値上がりも、電気料金高騰の一因となっています。

託送料金はすでに値上げ申請認可済み

電力会社値上げ_託送

もう一点、電気料金の値上げにつながると懸念されている要素が、一般送配電事業者からの「託送料金」の値上げ申請です。

一般送配電事業者?託送料金とは?

「一般送配電事業者」とは、上記で挙げた大手電力会社10社の送配電網を管理している部門(または分社)のことを指します。各事業者の名称は以下の通りです。

<一般送配電事業者(10社)>
・北海道電力ネットワーク株式会社
・東北電力ネットワーク株式会社
・東京電力パワーグリッド株式会社
・中部電力パワーグリッド株式会社
・北陸電力送配電株式会社
・関西電力送配電株式会社
・中国電力ネットワーク株式会社
・四国電力送配電株式会社
・九州電力送配電株式会社
・沖縄電力株式会社

「託送料金」とは、電気を送る際に小売電気事業者(例:楽天でんきや東京ガスなど)が利用する送配電網の利用料金として一般送配電事業者が設定している料金のことを指します。

これは、上記例などの新規で参入した小売電気事業者だけでなく、既存の大手電力会社の小売部門(例:東京電力エナジーパートナーなど)が送配電網を利用する際にも、各社が販売した電気の量に応じて託送料金を支払います。
(参考:経済産業省資源エネルギー庁「料金設定の仕組みとは?」

託送料金の値上げで電気代はいくらぐらい上がる?

つまり、この「託送料金」が値上がりすることは、基本的に全ての小売電気事業者の負担が増えることにつながります。なぜなら、電気を販売する上で送電線/配電線の利用は必須だからです。

通常、託送料金は電気料金明細に項目として記載はされていませんが、「基本料金」や「従量料金」に含まれています。今回の値上げ申請が認可されたことで価格が上がってしまう託送料金を、電力会社がどこまで自社で負担し、どこまで需要家に請求するかは各社によって異なってくるでしょう。

<参考例>
2023年1月31日:
NHK NEWS WEBが掲載した記事「沖縄電力の託送料金 値上げ認可 月額430円余り上乗せへ」では、沖縄電力が以下のようになるとまとめられていました。

2023年4月1日から一般的な家庭の電気料金に含まれる「託送料金」は、今よりも基本料金が67円、電力量料金が1キロワットアワーあたり1.4円値上げ。そのため、4月からは一般的な家庭の場合、電気料金は月額430円余り上乗せされることになる。

2023年2月14日:
関西電力では、規制料金プランなどが以下のように値上げすることが発表されました。

「託送料金」の値上げ認可により、2023年4月1日から関西エリアの規制料金部門/自由化部門の電気料金を値上げ。標準的な一般家庭向けのプラン(従量電灯A)の場合、月に93円増額し、約1.6%の値上げになる。また、一部の低圧自由料金メニューでは、2023年5月分から燃料費調整の上限撤廃も実施される。

電力会社によっては、プラスで電気料金の値上げも認可されると、さらなる負担となります。

国からの負担軽減策(電気・ガス価格激変緩和対策事業)もあるので、最終的に需要家へどの程度の負担増が起こるかはまだ明確には言えませんが、いずれにしても確実に電気料金はまた値上がりするでしょう。

電気代を節約するには?方法と対策

電力会社値上げ_対策方法

どうしても高くなる電気代にどう対応していくか。最後に、簡単にできるものから他の付加価値があるものまで、いくつかご紹介します。

簡単にできる電気代節約方法

①エアコンのフィルターを月に1~2回清掃する
→2.2kWのエアコンの場合、清掃後は年間約31.95kWhの省エネ(約990円の節約
②冷蔵庫を壁から適切な間隔で設置する
→上と左右が壁に接している場合と片側が壁に接している場合、後者なら年間約48.08kWhの省エネ(約1,400円の節約
③加熱をガスコンロから電子レンジに変更する
→例えば、ブロッコリーやカボチャの下拵えに電子レンジを利用した場合、年間約1,000円の節約
(参考:経済産業省資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」

②については、冷蔵庫がきちんと放熱できる離隔が必要ということですね。必要な離隔はメーカーによって異なりますが、少し余裕のある離隔が取れると小まめに掃除もしやすくていいかもしれません。
その他、冬の時期にご家庭で簡単にできる省エネ・節電方法に関しては、経済産業省よりわかりやすくまとめられたPDFデータなどもあります。こちらも参考にしてみてください。

☞経済産業省「冬季の省エネ・節電メニュー」

☞こちらでも効果の大きい節電方法をご紹介!

政府発表の「節電ポイント」とは?仕組みと参加方法/おすすめ節電方法7選も

災害にも強いスマートハウス化

日々の節電だけでなく、長い目で見たときの電気代削減効果や、いざというときにも備えておきたいという方には「太陽光発電設備+家庭用蓄電池」の導入をおすすめします。

太陽光発電、蓄電池それぞれ単体だけでもある程度の効果や能力を発揮しますが、2つがセットになることでその安心度合いはグッと上がります。

例えば、万が一停電が長く続くような状況になった際も、太陽が出ていれば発電でき、発電した電気を蓄電池にためておけるので、半永久的に電気を利用することが可能となります。

詳しくは、各機器の魅力と相乗効果をまとめた下記記事などを参考にご覧ください。

太陽光発電に蓄電池は必要か?各メリットと生まれる相乗効果

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いかがでしたでしょうか?

なぜ電気代の値上がりが続くのか?電気料金の何が高騰しているのか?などについては、以下のような記事も参考にご覧になってみてくださいね。

目まぐるしく状況が変化し続ける電力業界ですが、私たちの日々の暮らしに密接に関係しているライフラインの1つでもあるので、今後もぜひ情報を追ってみてください。

また、当社では太陽光発電設備をはじめ、家庭用蓄電池やV2Hなどの取り扱いもございますので、何かご不明点や不安事項などございましたらぜひ一度お問い合わせください。

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