【令和6年度の補助金】太陽光発電や蓄電池の予算額は?概算要求を解説
2023年8月末、令和6年度の概算要求が各省庁から提出されました。9月5日のNHK NEWS WEBによると、各省庁から提出された来年度の概算要求の一般会計総額は114兆3,852億円となり、過去最大となったと発表しました。
今回は、中でも経済産業省・環境省の概算要求内容から「再生可能エネルギー」、特に「太陽光発電」「蓄電池」に関わる内容を取り上げて深掘りいたします。ぜひご覧ください。
Tips:概算要求とは?
各省庁が財務省に対し、翌年度取り組みたい政策と必要なおおまかな予算を要求することを指します。
(出典:小学館「日本大百科全書(ニッポニカ)」)
【経済産業省】概算要求概要と太陽光発電関連補助金
令和6年度概算要求額:2兆4,615億円
(令和5年度当初予算額:1兆6,896億円)
経済産業省はデジタル化の推進や再エネの普及、労働市場の課題解決などさまざまな支援を拡充するため、要求総額は令和5年度より約8,000億円多くなっています。その中で、再エネに関わる補助事業の概算要求額は、以下の通り提出されました。
【太陽光】需要家主導太陽光発電導入促進事業
令和6年度の概算要求額:158億円
(令和5年度の当初予算額:105億円)
→前年度比+53億円増
まだまだ詳細は出ていないので、参考までに令和5年度当初予算の補助金概要を下記に掲載いたします。これらの要件から変更となる点が出てくるのかは、予算確定後に改めて情報を追っていきましょう。
<令和5年度当初予算「需要家主導太陽光発電導入促進事業」補助金概要>
補助対象事業 | 合計2MW以上の新設の太陽光発電設備の工事 |
要件 | ・再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の認定計画に含まれないこと(非 FIT・非 FIP)) ・合計2MW以上の新設設備かつ単価が23.6万円/kW未満であること ・2024年2月29日までに運転開始すること ・8年以上一定量以上の電気利用契約当を締結することなど |
補助率 | 1/3~2/3 |
対象事業者 | 特定の需要家に電気を供給するために新たに太陽光発電設備を設置・所有する者 |
(参考:経済産業省「令和6年度 経済産業省関係 概算要求等概要」)
【環境省】概算要求概要と再エネ関連補助金
令和6年度概算要求額:7,875億円
(令和5年度当初予算額:6,600億円)
環境省では、公共団体や民間企業等への支援が多くなっており、要求総額は令和5年度より1,275億円ほど増加しています。その中で、再エネに関わる補助事業の概算要求額は、以下の通り提出されました。
【自家消費型太陽光】地域脱炭素の推進のための交付金
令和6年度の概算要求額:660億円
(令和5年度の当初予算額:350億円)
→前年度比+310億円増
今回は本交付金事業の中でも、より導入しやすい「(1)地域脱炭素移行・再エネ推進交付金 (重点対策加速化事業)」の概要を以下の通り掲載いたします。
<令和6年度概算要求時「(1)地域脱炭素移行・再エネ推進交付金(重点対策加速化事業)」概要>
補助対象事業 | ①屋根置きなど自家消費型の太陽光発電 ②地域共生・地域裨益型再エネの立地 ③業務ビル等における徹底した省エネと改修時等のZEB化誘導 ④住宅・建築物の省エネ性能等の向上 ⑤ゼロカーボン・ドライブ |
要件 | ・再エネ発電設備を一定以上導入すること ・上記①~⑤のうち2つ以上を実施すること(※①又は②は必須) |
補助率 | 2/3~1/3、定額 |
対象事業者 | 地方公共団体等、民間事業者等(民間事業者等も事業を実施する場合) |
【自家消費型太陽光・蓄電池】民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
令和6年度の概算要求額:193.37億円
(令和5年度の当初予算額:42.6億円)
→前年度比+150.77億円増
このうち、特に自家消費や蓄電池に対して活用できる以下の事業をピックアップし掲載いたします。
<令和6年度概算要求時「(1)ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」概要>
補助対象事業 | 業務用施設・産業用施設・集合住宅・戸建て住宅への自家消費型太陽光発電設備・蓄電池(車載型蓄電池含む)の導入 |
要件 | ・蓄電池(V2H充放電設備含む)を導入すること ・太陽光発電の発電電力を系統に逆潮流しないこと(戸建住宅除く) |
補助率 | ・太陽光発電設備、蓄電池ともに定額 (上限:補助対象経費の1/3) |
対象事業者 | 民間事業者・団体等 |
(参考:環境省「令和6年度環境省重点施策」)
概算要求から予算成立までのスケジュール感
最後に、概算要求が提出された後、翌年4月に予算・政策が実施されるまでのスケジュール感を簡単にご紹介いたします。
<概算要求提出後の流れ>
8月末:各省庁から概算要求提出
9月~:財務省にて予算編成開始
12月中旬:原案が策定
12月下旬:閣議提出、決定
1月~:国会提出
翌4月:成立予算・政策の実施
12月中旬には原案を策定し各省庁に内示され、12月下旬には政府内で予算案の最終調整を行い、財務大臣が閣議に提出することで閣議決定される流れになります。
その後、政府が国会に予算案を提出し、衆議院・参議院で審議され、それぞれ過半数により可決となり成立に至ります。成立した予算は翌年4月に執行され、政策が施行されることとなります。
令和6年度の公募の開始時期は?
経済産業省の「需要家主導太陽光発電導入促進事業」は、例年通りの場合6月下旬頃に公募が開始されます。最新情報は、JPEA太陽光発電推進センターWEBサイトの「重要なお知らせ」をご確認ください。
また、環境省の「民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」は、前年通りの場合3月末頃に公募が開始されるでしょう。最新情報は、環境省WEBサイトの「報道発表一覧」よりご確認ください。
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今回は、経済産業省と環境省の概算要求の中でも「再生可能エネルギー」に関係するポイントをピックアップしてご紹介しました。
次回は、まだ間に合う「令和5年度の補助金」について解説いたします。こちらもぜひご覧ください。
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