太陽光発電の世界導入量ランキング2022【6/21は太陽光発電の日】
今年も6月21日に「夏至」を迎えました。
北半球において、1年のうちで昼の時間が最も長くなるこの日は、「太陽光発電の日」です!
そこで今回は、最新の2021年版データを基に、世界の太陽光発電導入量や普及率などの現状をランキング形式でわかりやすくお届けします。
世界から見たら、日本は何位に位置するのか?
現在、世界中の太陽光発電で発電した電力は需要の何%をカバーできているのか?
意外と知らない、世界と太陽光発電の今をぜひご覧ください。
☞そもそも「太陽光発電の日」って?詳しくはコチラ
今回の太陽光発電ランキングのデータ元は「IEA」
最初に、今回いろいろとご紹介する世界の太陽光発電に関するデータ元をご紹介します。
今回は、「国際エネルギー機関(International Energy Agency)」、通称「IEA」という国際機関の最新データ(2021年版)を用いて解説いたします。
IEAは、第1次石油危機後の1974年11月に、石油消費国のエネルギー事情を改善することを主な目的として、経済協力開発機構(OECD)枠内における自律的な国際機関として設立されました。
IEAの参加要件は、以下の2つです。
・OECD加盟国であること
・備蓄基準(前年の当該国の1日当たり石油純輸入量の90日分)を満たすこと
OECD加盟国は、2021年時点で38ヵ国です。そのうち、OECDには加盟しているもののIEAのメンバーではない国や、アソシエーション国としてIEAと協力を進めている国などもあります。IEA非メンバー国のデータについては、関連国の専門家などにより提供されたデータを参考としています。
☞詳しくはコチラ:外務省「国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)の概要」
IEAデータで見る!太陽光発電導入量の世界ランキング
それでは早速見ていきましょう。
2021年の太陽光発電導入量が最も多かった国はどこでしょうか?
年間の太陽光発電導入量の推移[2021年]
コロナ禍から回復傾向にあったといっても、2020年と比較して30GW(ギガワット)もの太陽光発電システムが導入されたことは驚きですね。この2年間で太陽光発電の設備容量は大幅に増加しました。
では、それぞれの国や地域がどれくらい導入したのか?内訳を簡単に確認してみましょう。
主な国・地域ごとの太陽光発電導入量の増加幅[2017-2021]
多い順に赤が中国、水色が欧州連合、藍色がアメリカ、オレンジ色が日本、紫色がインド、薄水色がその他のIEAメンバー国、青色がその他の国々となっています。
上位国は、ここ数年変わらず推移していることがわかりますね。それでは、もう少し細かくTOP10の国を見てみましょう。
年間の太陽光発電導入量/累積容量のTOP10[2021]
上図の左側のランキングは、2021年の年間太陽光発電設備導入量TOP10ヵ国です。日本は4位にランクインしていることがわかります。
そして、右側のランキングはこれまでの累積容量となります。中でも注目なのは、中国の308.5GWという数字です。これは、世界全体の太陽光発電設備容量のほぼ3分の1を占めています。
いかに中国が鋭意的に太陽光発電の普及に取り組んでいるのかが明確になる図表ですね。
とはいえ、上位国の国土面積を見てみると、アメリカは世界3位、中国は世界4位と大きい国が多い中で、日本は60位と比較的小さな国土面積にも関わらずTOP5入りしています。
IEAデータで見る!再生可能エネルギー導入量の推移
次に、2021年に導入された再生可能エネルギーは何が多かったのかを見ていきましょう。
再エネ利用した発電方法は、太陽光発電だけでなく風力や水力、最近ではバイオマスや地熱などもありますね。
再生可能エネルギーの年間設備容量の推移
灰色は風力発電、黄色は太陽光発電、水色は水力発電、緑色はその他再エネ発電という区分です。
上図を見ると、2015年の年間設備容量は風力発電が多かったようですが、それ以降は太陽光発電の設備容量が毎年多いかたちとなっていますね。
太陽光発電の導入区分[2011-2021]
オレンジ色は屋根上へ設置した分なので、主に住宅用太陽光発電や工場屋根などへの自家消費型太陽光発電の導入量と考えられます。一方で、青色はメガソーラー(大規模太陽光発電所)を指します。
メガソーラーは2016年頃から増え始めていますね。また、近年は住宅用や自家消費型太陽光発電の導入量も増加傾向にあります。停電対策や脱炭素/カーボンニュートラルへの取組みとして選ばれるようになったからでしょうか。
なぜ世界的に太陽光発電の導入量が多いのか?
さて、ここまでいかがでしたでしょうか。
国別の太陽光発電導入量では、中国がダントツで1位を記録していることは予想通りでしたか?それとも、予想外だったでしょうか?
それでは最後に、再生可能エネルギーの導入方法として“太陽光発電設備”が最も多い理由について、少し見てみましょう。
上図は、2020年の電源別発電コストを試算した構成図になります。それぞれ、「資本費」「運転維持費」「燃料費」「社会的費用」「政策経費」で分けられています。
これを見ると、太陽光発電の発電コストは比較的安価であることがわかりますね。
太陽光発電のデメリットといえば、発電量が天候に左右されてしまう点ですが、同じく自然環境に影響を受けやすい風力発電と比べ、設置場所の融通が利く点がメリットと言えます。
また、水力や地熱発電などの場合は、自然環境の影響は受けにくいですが、その分設備導入には少しハードルが高いので、初期費用が下がってきている太陽光発電の方が比較的導入しやすいため、世界的にも選ばれているのかもしれません。
再エネは、あと2年で世界最大の電源に?
2022年12月6日、IEAは報告書で「再生可能エネルギーは、2025年初めには石炭を抜いて世界最大の電源になる」との見通しを発表しました。
この背景には、ロシアのウクライナ侵攻により各国がエネルギー安全保障に危機感を抱いたことが大きな要因としてあります。調達競争が起こった結果、化石燃料などのエネルギーは高騰したまま推移しているため、世界中が自国内での国産エネルギー生産に注力し始めました。
もともと脱炭素に力を入れていたヨーロッパ諸国はもちろん、アメリカや中国、インドなども再エネに対し規制改革や導入支援策を充実させ、取り組み強化を進めています。
IEAによると、再エネの発電容量は2027年までに2,400GW増加する見通しです。これは、過去20年分の発電容量に匹敵します。中でも、最も増えるとされているのは太陽光発電で、容量ベースで2026年に天然ガスを、2027年には石炭を抜くと予測されています。
現在は、屋上や工場などの建物の屋根に設置する小規模発電(自家消費型太陽光発電)も増加してきており、これらの成長は消費者の電気料金の負担軽減につながると見られています。
これらのことから、この先5年間で世界の再エネ普及率は大きく飛躍すると考えられるでしょう。
☞参考:日本経済新聞『再生エネ「25年に最大電源」IEA予測、石炭抜く』
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以上、今年は世界の太陽光発電の導入量について詳しく見てみました。
「なるほど!」と思っていただけましたら嬉しいです。ぜひ誰かにクイズで出したり、話のタネにしてみてください。
現在、世界の太陽光発電の設備容量は、世界の電力需要の約5%をカバーしています。また、CO2排出量は11億トンも削減しています。
しかし、脱炭素化するためにはまだまだ尽力が必要です。COP21の目標達成にも、世界の太陽光発電設備容量をあと1ケタは増やす必要があるとも。高い目標に向かい、積極的に取り組んでいきたいですね。
当社は、太陽光発電システムの設計から施工までをおこなう会社です。
再生可能エネルギーである太陽光発電の導入を検討されている方、ご質問がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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