電気代の値上げはいつから?どのくらい上がる?【8月以降は補助再開も!最新情報を解説】
毎月、電気料金明細を確認しては「電気代高すぎる…」とため息の出る現状が続いていますね。
そこに追い打ちをかけるように東京電力エナジーパートナー株式会社(東電EP)などの一般的に大手電力会社と呼ばれる小売電気事業者7社が、相次いで規制料金(従来の電気料金プラン)の値上げを2023年6月1日に実施しました。加えて、電気代の軽減策である「激変緩和措置」も2024年5月使用分までで終了となります。
2024年6月使用分(7月請求分)以降、電気代はどれほど高くなってしまうか?
大手電力会社の値上げ状況から「激変緩和措置」の概要、2024年8月から10月までの3か月間限定での補助復活など、今後の電気代の行方はどうなるのかをまとめてみました。ぜひご覧ください。
<目次>
1.大手電力7社の家庭向け電気料金値上げは6月1日から
2.「激変緩和措置」は2024年5月使用分で終了
3.2024年8月から10月まで限定的に電気代補助再開も New!
3.電気料金の値上げはいつまで?燃料価格の今後の見通し
4.託送料金はすでに値上げ申請認可済み
5.電気代を節約するには?方法と対策
大手電力7社の家庭向け電気料金値上げは6月1日から
※2023/5/16
値上げ幅について、関係閣僚会議にて以下の査定結果が了承されました。
※2023/5/19
変更値上げ申請が認可されました。
(6月1日より値上げが実施可能に)
上記の流れを経て、2023年6月1日に申請を上げていた大手電力会社7社で値上げが実施されました。最新情報は経済産業省のニュースリリースより確認することができます。
今回、各社の値上げ対象は基本「規制料金」部門となります。これは、電力自由化前からある従来の「従量電灯」などの電気料金プランが対象です。具体的な対象プランなどの詳細は、各社の申請概要資料をご覧ください。
2023年6月1日に値上げを実施した大手電力7社の詳細 ※託送料金の値上げ除く
申請会社 | 規制料金部門の 平均引き上げ率 (5/19最終) |
実施日 | 詳細リンク |
東北電力株式会社 | 25.47% | 2023/6/1 | 電気料金の見直しについて(低圧) |
中国電力株式会社 | 26.11% | 2023/6/1 | 05/16補正版:電気料金表 |
四国電力株式会社 | 28.74% | 2023/6/1 | 【2023年6月実施】規制料金の値上げ認可について |
沖縄電力株式会社 | 36.6% ※自由化部門も37.91% |
2023/6/1 | 電気料金の改定について |
北陸電力株式会社 | 39.70% | 2023/6/1 | 電気料金の改定について |
東京電力エナジーパートナー株式会社 | 15.90% ※自由化部門も5.28%前後 |
2023/6/1 | 低圧の料金メニューの見直しについて |
北海道電力株式会社 | 20.64% ※自由化部門も 追って値上げ |
2023/6/1 | 電気料金の見直しに関するお願いについて |
上記の通り、一部の大手電力会社は、規制料金部門だけでなく自由化部門も値上げを実施するようです。
また、大手電力会社の残り3社(関西電力株式会社/中部電力株式会社/九州電力株式会社)からは、値上げに関する申請等は提出されていません。これは、原子力発電所の再稼働などもあり、電源にまだ余裕があることが理由の1つと考えられています。
(参考:日本経済新聞「東京電力、家庭料金3割輪上げ申請 燃料高で大手6社目」)
実際にどれくらい値上げされたのか?東電EPの場合
申請当初、各社28~45%の値上げ幅で改定申請が提出されましたが、関係閣僚会議による慎重な査定の結果、各社平均は15~39%の値上げ幅となりました。
現在、経済産業省のニュースリリースには2023年5月16日付けで、各社の変更認可申請の補正資料が公開されています。それを確認すると、東京電力エナジーパートナー(東電EP)の「従量電灯B」の場合は以下の料金単価で再提出されていました。
東電EP「従量電灯B」電気料金 | |||
単位 | 申請前単価 (2022年11月) |
査定後単価 (2023年5月16日) |
|
基本料金 | 10A | 286円00銭 | 295円24銭 |
15A | 429円00銭 | 442円86銭 | |
20A | 572円00銭 | 590円48銭 | |
30A | 858円00銭 | 885円72銭 | |
40A | 1,144円00銭 | 1,180円96銭 | |
50A | 1,430円00銭 | 1,476円20銭 | |
60A | 1,716円00銭 | 1,771円44銭 | |
電力量料金 (1kWh) |
~120kWh | 19円88銭 | 30円00銭 |
120~300kWh | 26円48銭 | 36円60銭 | |
300kWh~ | 30円57銭 | 40円69銭 |
<標準的な家庭の場合の電気料金>
・従量電灯B:30Aで契約している家庭
・月の使用電力量は400kWh
※純粋な基本料金+従量料金のみ(再エネ賦課金、燃料費調整額等は含まず)
東電EP「従量電灯B」電気料金差 | |||
単位 | 申請前単価 (2022年11月) |
査定後単価 (2023年5月16日) |
|
基本料金 | 30A | 858円00銭 | 885円72銭 |
電力量料金 (1kWh) |
~120kWh | 2,385円60銭 | 3,600円00銭 |
120~300kWh | 4,739円92銭 | 6,551円40銭 | |
300kWh~ | 3,039円30銭 | 4,028円31銭 | |
合計金額 | 11,022円82銭 | 15,065円43銭 | |
差額 | +4,042円61銭 |
「激変緩和措置」は2024年5月使用分で終了
「激変緩和措置」とは?
「激変緩和措置」とは、家計を直撃する電気代高騰に対し、総合経済対策として政府が実施している緩和措置です。
本支援策による単価の値引きは、補助事業に参加している小売電気事業者に適用されます。適用小売電力会社と契約されているお客さまの明細(検針票)には、「政府の支援で使用量×〇〇円が値引きされています」といった旨の記載が義務化されています。
激変緩和措置が適用されることで、実際にいくらぐらいの電気代削減に影響するのか?
東京電力パワーグリッド株式会社が公式サイトに公表している計算例を参考に見てみましょう。
<東電EPの場合>
・従量電灯B/30Aで契約している家庭
・月の使用電力量は260kWh
従量制の場合 | 激変緩和措置適用前 | 激変緩和措置適用後 |
基本料金 | 885.72円 | 885.72円 |
電力量料金 | 8,724円 | 8,724円 |
燃料費調整額 | -1,599円 | -1,599円 |
激変緩和措置 | 0円 | -910円 |
再エネ賦課金 | 364円 | 364円 |
合計 | 8,374円 | 7,464円 |
激変緩和措置の期間は延長されるもついに終了
「激変緩和措置」は当初、上記の通り2023年1月~2023年9月使用分までを補助期間としており、10月使用分からは補助を撤廃する予定でした。
しかし、エネルギー価格高騰が続く現状を受け、措置を当面延長することが決定されました。2023年12月13日に経済産業省より公表された再延長後の補助期間は、2024年5月使用分までとなります。
<当初の補助概要>
【補助対象と補助金額】
・低圧契約の家庭等:−7円/1kWh
・高圧契約の企業等:−3.5円/1kWh
※2023年9月使用分は各単価が半額に
【補助期間】
2023年2月検針分~2023年10月検針分まで
(2023年1月使用分~2023年9月使用分まで)
<延長後の補助概要(現行)>
【補助金額】
・低圧契約の家庭等:−3.5円/1kWh
・高圧契約の企業等:−1.8円/1kWh
※2024年5月使用分は各単価が半額に
【補助期間】
2023年9月使用分~2024年5月使用分まで
(2023年10月検針分~2024年6月検針分まで)
2024年8月から10月まで限定的に電気代補助再開も New!
上述の通り「激変緩和措置」は2024年5月使用分で終了となりましたが、2024年6月21日に政府は新たな電気・ガス料金の負担軽減策を打ち出しました。
「酷暑乗り切り緊急支援」とは
産経新聞によると、政府は「酷暑乗り切り緊急支援」として、2024年8月から同年10月までの3か月間という限定的な期間設定で、電気・ガス料金の補助を実施する発表しました。仕組みは激変緩和措置と同様で、電力会社(小売事業者)に補助金を支給し、家庭などへの請求から差し引かれる形となります。
そして、6月28日には経済産業相より、「酷暑乗り切り緊急支援」の具体的な支援内容も下記のように発表されました。
・電気
低圧契約の家庭等:−4円/1kWh(10月は-2.5円/kWh)
高圧契約の企業等:−2円/1kWh(10月は-1.3円/kWh)
・ガス
都市ガス:-17.5円/1㎥(10月は-10円/1㎥)
(参考:NHK NEWS WEB「経産省 電気・ガス猟奇負担軽減措置の詳細を発表」)
この補助により標準的な世帯(4人家族)では、8~9月分の電気代が約1,600円の減額、10月分も約1,000円の減額となる見込みです。ガスも8~9月分は約525円の減額となるでしょう。より詳しい内容は、追って公表され次第追記します。
また、現在行っているガソリン価格への補助も年内まで継続する意向が発表されています。本支援策も状況によっては延長される可能性もあると考えられます。日々の生活に関わる内容なので、ぜひ最新情報を追っていきましょう!
電気料金の値上げはいつまで?燃料価格の今後の見通し
電気料金の値上げがいつまで続くかについては一概には言えませんが、2050年までの燃料価格の見通しとしては、化石燃料に依存する限り、地政学的な要因、供給・需要のバランス、採掘コストの増加などにより価格が上昇傾向にあると考えられます。
特に、世界的な脱炭素社会への移行に伴うエネルギー源の変化や、再生可能エネルギーへのシフトによる中期的な変動も予想されます。これらの要因は、長期的には電気料金にも影響を及ぼす可能性があり、価格上昇の圧力となることが予測されます。
それでは、電気料金に影響を与える大きな3つの要因を簡単に説明します。
天然ガス(LNG)と石炭の価格変動
ウクライナ情勢の緊迫化による影響、世界的な天然ガス需要の増加、そして円安がこれらの燃料価格に与える影響は大きいです。ウクライナ情勢の悪化は、エネルギー資源の供給ルートに影響を及ぼし、特にヨーロッパ向けの天然ガス供給に不安定性をもたらしています。
これにより、天然ガスの国際市場価格が上昇し、日本を含む輸入国の電気料金にも上昇圧力がかかります。さらに、経済活動の再開とともに世界的に天然ガスの需要が増加しており、供給と需要のバランスが崩れることで価格が上昇しています。
日本では、特に天然ガス(LNG)が主要な電力供給源の一つであるため、このような国際的な価格変動が直接的に電気料金に反映されます。また、円安の影響も無視できません。円安が進むと、輸入に依存する日本の燃料コストが増大し、これが電気料金の上昇につながります。
電力供給量不足
国内の電力供給量不足は、電気料金に大きな影響を与える要因の一つです。特に、原子力発電所の停止や火力発電の縮小がその主な原因となっています。
原子力発電所は、一度停止すると再稼働までに長期間を要し、その間、大量の電力を供給することができません。また、火力発電の縮小は、化石燃料の使用を減らし、CO2排出量を削減するための環境対策の一環ですが、これによって電力供給能力が低下します。
これらの電力供給源の不足は、電力会社が安定した電力供給を維持するために、より高コストの発電方法や他社からの電力購入を余儀なくされることになります。その結果、発電コストの増加が電気料金の上昇に直結するのです。
再エネ賦課金の価格変動
太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーによる発電の費用を賄うために設けられた「再エネ賦課金」も、電気料金に影響を与える要因です。
2012年から2015年にかけて、FIT(固定価格買取制度)の影響で産業用太陽光発電所が増加したことにより、2016年以降の再エネ賦課金の単価は値上がりしています。
2023年度単価は昨年度単価より「-2.05円」となりましたが、2024年度単価は過去最高値の「+3.49円」となりました。市場も安定してきているので、今後は上昇傾向になると考えられます。
託送料金はすでに値上げ申請認可済み
もう一点、電気料金の値上げにつながると懸念されている要素が、一般送配電事業者からの「託送料金」の値上げ申請です。
一般送配電事業者?託送料金とは?
「一般送配電事業者」とは、上記で挙げた大手電力会社10社の送配電網を管理している部門(または分社)のことを指します。各事業者の名称は以下の通りです。
<一般送配電事業者(10社)>
・北海道電力ネットワーク株式会社
・東北電力ネットワーク株式会社
・東京電力パワーグリッド株式会社
・中部電力パワーグリッド株式会社
・北陸電力送配電株式会社
・関西電力送配電株式会社
・中国電力ネットワーク株式会社
・四国電力送配電株式会社
・九州電力送配電株式会社
・沖縄電力株式会社
「託送料金」とは、電気を送る際に小売電気事業者(例:楽天でんきや東京ガスなど)が利用する送配電網の利用料金として一般送配電事業者が設定している料金のことを指します。
これは、上記例などの新規で参入した小売電気事業者だけでなく、既存の大手電力会社の小売部門(例:東京電力エナジーパートナーなど)が送配電網を利用する際にも、各社が販売した電気の量に応じて託送料金を支払います。
(参考:経済産業省資源エネルギー庁「料金設定の仕組みとは?」)
託送料金の値上げで電気代はいくらぐらい上がる?
つまり、この「託送料金」が値上がりすることは、基本的に全ての小売電気事業者の負担が増えることにつながります。なぜなら、電気を販売する上で送電線/配電線の利用は必須だからです。
通常、託送料金は電気料金明細に項目として記載はされていませんが、「基本料金」や「従量料金」に含まれています。今回の値上げ申請が認可されたことで価格が上がってしまう託送料金を、電力会社がどこまで自社で負担し、どこまで需要家に請求するかは各社によって異なってくるでしょう。
<参考例>
2023年1月31日:
NHK NEWS WEBが掲載した記事「沖縄電力の託送料金 値上げ認可 月額430円余り上乗せへ」では、沖縄電力が以下のようになるとまとめられていました。
2023年4月1日から一般的な家庭の電気料金に含まれる「託送料金」は、今よりも基本料金が67円、電力量料金が1キロワットアワーあたり1.4円値上げ。そのため、4月からは一般的な家庭の場合、電気料金は月額430円余り上乗せされることになる。
2023年2月14日:
関西電力では、規制料金プランなどが以下のように値上げすることが発表されました。
「託送料金」の値上げ認可により、2023年4月1日から関西エリアの規制料金部門/自由化部門の電気料金を値上げ。標準的な一般家庭向けのプラン(従量電灯A)の場合、月に93円増額し、約1.6%の値上げになる。また、一部の低圧自由料金メニューでは、2023年5月分から燃料費調整の上限撤廃も実施される。
電力会社によっては、プラスで電気料金の値上げも認可されると、さらなる負担となります。
国からの負担軽減策(電気・ガス価格激変緩和対策事業)もあるので、最終的に需要家へどの程度の負担増が起こるかはまだ明確には言えませんが、いずれにしても確実に電気料金はまた値上がりするでしょう。
電気代を節約するには?方法と対策
どうしても高くなる電気代にどう対応していくべきか。
上図のように、ご家庭で一般的に使用される家電製品の消費電力割合を参考に、簡単にできるものから他の付加価値があるものまで、いくつかご紹介します。
簡単にできる電気代節約方法
①エアコンのフィルターを月に1~2回清掃する
→2.2kWのエアコンの場合、清掃後は年間約31.95kWhの省エネ(約990円の節約)
②冷蔵庫を壁から適切な間隔で設置する
→上と左右が壁に接している場合と片側が壁に接している場合、後者なら年間約48.08kWhの省エネ(約1,400円の節約)
③加熱をガスコンロから電子レンジに変更する
→例えば、ブロッコリーやカボチャの下拵えに電子レンジを利用した場合、年間約1,000円の節約
(参考:経済産業省資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」)
②については、冷蔵庫がきちんと放熱できる離隔が必要ということですね。必要な離隔はメーカーによって異なりますが、少し余裕のある離隔が取れると小まめに掃除もしやすくていいかもしれません。
その他、冬の時期にご家庭で簡単にできる省エネ・節電方法に関しては、経済産業省よりわかりやすくまとめられたPDFデータなどもあります。こちらも参考にしてみてください。
☞経済産業省「冬季の省エネ・節電メニュー」
災害にも強いスマートハウス化
日々の節電だけでなく、長い目で見たときの電気代削減効果や、いざというときにも備えておきたいという方には「太陽光発電設備+家庭用蓄電池」の導入をおすすめします。
太陽光発電、蓄電池それぞれ単体だけでもある程度の効果や能力を発揮しますが、2つがセットになることでその安心度合いはグッと上がります。
例えば、万が一停電が長く続くような状況になった際も、太陽が出ていれば発電でき、発電した電気を蓄電池にためておけるので、半永久的に電気を利用することが可能となります。
詳しくは、各機器の魅力と相乗効果をまとめた下記記事などを参考にご覧ください。
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いかがでしたでしょうか?
なぜ電気代の値上がりが続くのか?電気料金の何が高騰しているのか?などについては、以下のような記事も参考にご覧になってみてくださいね。
目まぐるしく状況が変化し続ける電力業界ですが、私たちの日々の暮らしに密接に関係しているライフラインの1つでもあるので、今後もぜひ情報を追ってみてください。
また、当社では太陽光発電設備をはじめ、家庭用蓄電池やV2Hなどの取り扱いもございますので、何かご不明点や不安事項などございましたらぜひ一度お問い合わせください。
☞太陽光発電+蓄電池を導入!企業さまインタビュー
☞エネルギーも含む物価上昇はいつまで続く?
☞太陽光発電+蓄電池のある生活レビュー!