電力ひっ迫の理由とは?節電要請はなぜ出される?【不足する原因】

電気代

電力需給ひっ迫注意報

最終更新日:2022年3月14日:

「電力需給ひっ迫注意報」が発令された昨年の夏。

2022年6月27日~28日、経済産業省・資源エネルギー庁は東京エリアの電力需給が厳しい見通しとなったため、初の「電力需給ひっ迫注意報」を発令しました。
また、29日には北海道・東北・東京エリアで「電力需給ひっ迫準備情報」が出されるなどして、オフィスやご自宅で可能な限りの節電を余儀なくされた方も多かったのではないでしょうか。

そんな電力ひっ迫は、今冬も発生する可能性が高い状況にあります。

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なぜ節電要請?電力供給予備率とひっ迫の関係

なぜ節電要請が出るのか?電力ひっ迫とは何か?
この2つをわかりやすく理解するために、まずは「電力供給予備率」について簡単にご説明します。

「電力供給予備率」とは

これは、ピーク時の電力の需要量に対し、供給力にどの程度余裕があるかを示す数値です。
予備率の数値が大きければ大きいほど供給できる電力には余裕があることを表し、逆に数値が小さかったりマイナスに振れると供給できる電力が不足していることになります。
電力を安定的に供給するための予備率の最低ラインは、“3%”と言われています。しかし、3%はギリギリラインなので、本来は少なくとも7~8%が望ましいとされています。

資源エネルギー庁_予備率について

(出典:経済産業省資源エネルギー庁「電力需給状況」)

「電力ひっ迫」とは

上記のような低いラインで電力の需給バランスが崩れると、大規模停電が発生する恐れがあるため、以下を目安とした段階別の「電力ひっ迫」注意報や警報が出されるというわけです。

<電力ひっ迫アナウンス※下にいくほど重大>
・予備率5%以下となる見込み:「電力ひっ迫準備情報」発信
・予備率3~5%となる見込み:「電力ひっ迫注意報」発令
・予備率3%以下となる見込み:「電力ひっ迫警報」発令

注意報あるいは警報が発令されると、ひっ迫の度合いに応じた節電依頼がアナウンスされます。つまり、この段階に至ると大規模停電の可能性が出てくるため、それを防ぐために節電への協力が要請されるということですね。

とはいえ、節電への対応は無理のない範囲でおこないましょう。
厳寒となる見込みの今冬に暖房機器の電源を消すなど、命の危険につながりかねない節電をする必要はありません。例えば下記のような、可能な限りの節電協力を実施してみましょう。

<簡単にできる節電方法例>
・こまめに照明や電灯を消す
・電気ポットは長時間使わない場合プラグを抜く
・エアコンの設定温度を1~2℃下げる

今冬も電力はひっ迫する?予測と原因

気象庁の発表によると、10月25日時点で今冬(11月~1月頃)の気温は寒気の影響を受け、東日本・西日本ともに平年並みかより低くなる見込みとなっています。

資源エネルギー庁_2022年度冬季の電力需給対策_今冬気温

(出典:資源エネルギー庁「2022年度冬季の電力需給対策」)

今夏の電力ひっ迫状況を受け、火力発電所の復旧や電源補修計画の変更など、冬に備えた準備は進められてきました。そのため、今冬の東京電力エリアの電力需給については、1月(4.1%)、2月(4.9%)の予備率を確保できる見通しとなっています。

※東京電力エリアとは
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県(富士川伊東)のこと

しかし、これらの数値は依然厳しい見通しであるため、2022年12月1日~2023年3月31日までの期間は、無理のない範囲での節電要請期間となりました。その方法の1つが、今話題の「節電ポイント/プログラム」というわけですね。

☞「節電ポイント」について詳しくはコチラ

政府発表の「節電ポイント」とは?仕組みと参加方法/おすすめ節電方法7選も

電力ひっ迫のリスクとなる2大原因

ではなぜ、こんなにも電力需給バランスが危うく、ひっ迫状況が予期されているのか?
資源エネルギー庁によると、その要因は大きくわけて次の2点とされています。

①想定以上の電力需要増加
ここ数年、気候変動による気温異常やコロナ禍による生活スタイルの変化によって、需給想定を上回るケースが増えています。特に冬の時期は2020年度、2021年度と2年連続で複数地域(エリア)での最大電力実績が想定以上を記録しました。
そして今冬は厳寒となる見込みがあり、その場合気温が著しく低下するような日には電力需要が大幅に増加する恐れもあります。

②国際的な燃料(エネルギー)の調達競争激化
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻が起こって以降、エネルギーを取り巻く世界情勢は大きく変わりました。欧州諸国を中心に、各国はロシア以外からのエネルギー確保が必要となり、結果的に非ロシア産エネルギーの価格は著しく高騰しています。
エネルギー価格の高騰は、未だ高い水準で推移しています。そんな中、資源国では国内情勢不安や設備トラブルなども起こり、燃料の安定的な確保は難しい状況が続いています。

資源エネルギー庁_過去の原油価格下落局面と現在の状況

(出典:資源エネルギー庁「過去の原油価格下落局面と現在の状況」)

こうした要因により、電力需要に対し安定的な供給ができるとは断言できない状況にあるため、電力ひっ迫は当面懸念されているのです。

ひっ迫状況をリアルタイムで知る方法

それでは、電力ひっ迫が不安視される今冬、個人でもリアルタイムに「エリア内の電力使用率」を知る方法をご紹介します。

東京電力管内にお住まいの方は、東京電力パワーグリッド株式会社が公開している「でんき予報」をご覧ください。こちらのWEBサイトでは、5分おきに本日の電力使用状況が更新されて速報値として公開されて、誰でも閲覧することができます。

東京電力「でんき予報」_12月9日の場合

(東京電力「でんき予報」画面例_12月9日の場合)

ただし、こちらは「使用率」の数値なので、パーセンテージが大きければ大きいほど厳しい状況ということになります。ぜひご覧になってみてくださいね。

太陽光発電実績もグラフ化されて更新されており、使用量に対しての割合も表示されるので、いま東京エリアでおこっていることを把握するために便利です。また、週間の見通しも毎週金曜日に更新されており、東京エリアの電力使用のピーク時間帯や使用率を確認することができます。

💡東京電力パワーグリッド株式会社「でんき予報」

ひっ迫の影響:電力不足で電気代が高く?

さて、皆さまが最も気になるのは、私達の生活にどういった影響があるのかについてですよね。中でも電気代への影響でしょうか。これについては、主に次の2つが関係しています。

「燃料費調整額」の値上げ

電気代値上がりへの影響の1つは、電力の原料が高騰することによる「燃料費調整額」の値上げです。

燃料費調整額制度とは、過去3か月の発電に必要なLNG(液化天然ガス)などの燃料価格の平均に係数などで調整して、2か月後の電気料金にゆるやかに反映させるものです。 この価格は毎月変動し、燃料費が基準価格よりも低ければ電気料金から減算、高ければ加算されます。

先ほど述べたように、国際的な燃料(エネルギー)の調達競争が激化したことで、燃料価格は高い水準を推移しています。それはつまり、日本にとっても輸入する原油やLNGの価格が高いままの状況なので、電気代も高くなってしまうということです。

「市場連動型の電気料金プラン」で契約

電気代値上がりへのもう1つ影響は、「市場連動型の電気料金プラン」との契約です。これは、このプランで契約されている方に限った話ですが、該当する方にとっては大きな影響です。

本プランは、JEPXという電力卸売市場の電気単価に連動して電気代が決まります。イメージで言えば、小売電気事業者が電気の買い付けをおこなうための、メルカリのようなところです。
現在日本の電気は足りていないので、需給のバランスから電気の仕入価格が高騰しています。そのため、仕入価格高騰時に高騰した分だけ、契約者の電気代に反映されるという仕組みになっています。
(もちろん下がった場合は、その分お客さまの電気代が安くなります。)

「市場連動型の電気料金プラン」については、提供している各電力会社より今回の高騰について対策が出されている場合がありますので、契約されている方は契約先のホームページなどを確認してみてください。

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いかがでしたでしょうか?

今年の夏の節電要請でもご家庭にはさまざまな不安があったと思います。私自身も「もし停電したらどうしよう!」と、とりあえず水だけは確保していました。厳しい寒さが訪れるかもしれないこれからの冬の時期には、ぜひなるべく早い対策と用意をしておきたいですね。

当社では、太陽光発電設備の設計や施工、そして家庭用蓄電池の販売や施工もおこなっております。ご興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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※下記は2021年1月21日に公開された記事です。

日本の電力がひっ迫して足りない

突然ですが皆さま、ここ最近「電気代が上がる」や「節電してください」と、耳にすることはありませんか?

新型コロナウイルスによって人々の生活が乱された2020年が終わり、少しでも昨年より良くなることを祈って迎えた2021年、出だしから何やら雲行きが怪しいですよね。

そう、実はいま日本では、電気が足りていないのです。
このようなニュースが頻繁に報じられるようになったのは、1月の3連休中からでしたね。
実のところ、私は仕事柄、昨年末よりその影響を感じていました。

事実、今冬の日本の電気は足りなくなっており、関連のニュースからは目が離せない状態です。

今回は、なぜ今このような状況になっているのか、日本の電力業界で何が起きているのか、このままで大丈夫なのかなど、できるだけ簡単にわかりやすく紐解いていきます。

電力不足の2大要因とは?

いま、電力不足が叫ばれている背景には主に2つの要因があります。

1つは「寒波」の影響

2021年、10年に一度とも言われる寒波が日本を襲い、気温も昨年と比較してかなり低い状況です。

そうなると皆さま、暖房を使い設定温度が上がりますよね。それに伴い電力使用量も上昇します。
加えて「おうち時間」ですし、こうなることも頷けますね。

ですが、これだけで日本の電力が足りなくなるのでしょうか?

2つめは「電力の原料不足」の影響

そこで、もう一つの要因が「電力の原料不足」です。

電気も原料があって作られるものです。現在の日本の主力発電方式は火力発電ですが、その原料となる液化天然ガス(以下、LNG)が不足している状況にあります。

日本のエネルギーミックスの約4割弱を占めるこのLNG火力発電ですが、ではなぜ電力が足りなくなるほど原料がひっ迫しているのでしょうか?

出典:資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」

出典:資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」

主な原因は、LNG上流施設のトラブル、新型コロナウイルスによる航路制限や着桟制限です。
日本は、ほとんどのLNGを外国からの輸入に頼っているのですが、その供給が制限されたり、ストップしてしまっている状況です。ここでも新型コロナウイルスの影響が…。

加えて、寒波に襲われているのは日本だけではありません。中国や韓国といったアジア、イギリスやスペインなどのヨーロッパも同じく寒波に見舞われています。

つまり各国が寒波に見舞われている状況なので、電力使用量が増え、言ってしまえばLNGの取り合いが発生しているような状況です。

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いかがでしたか?
電力の原料不足状況は当面の間続くと予想されています。つまり、引き続き電気料金の値上がりは続く可能性があるということです。

今のうちに、電力会社の乗り換えや自宅でインフラが完結する太陽光発電設備+蓄電池などのスマートライフ化を、ぜひご検討ください。

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