注目される”脱炭素社会”、社会の流れと私たちができること
【脱炭素社会を簡単に解説】最近よく耳にする「脱炭素社会」とは何か?
2020年10月、菅首相が所信表明演説にて「温室効果ガス(※)の排出を全体としてゼロにする、『2050年カーボンニュートラル脱炭素社会の実現』を目指す」ことを宣言されました。
これは、温室効果ガスの排出を“全体としてゼロ”にするものであり、排出そのものを抑制するだけではなく、排出された温室効果ガスを回収するなどして、実質ゼロを達成するという考え方です。
実質ゼロを実現するための社会を「脱炭素社会」と呼び、日本だけでなく世界各地で、現在さまざまな政策が進められています。
これまでの温室効果ガスの排出削減を目指す“低炭素化”ではなく、排出ゼロの“脱炭素化”が主流となっていく、ということですね。
※「温室効果ガス」とは:
二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)などが含まれます。
大気中に含まれる温室効果ガスには、地表や海面から地球の外に放出される熱を大気中に抑え、地表や海面に戻す性質があります。
化石燃料の使用や森林の伐採等、人間の産業活動により温室効果ガスの濃度は上昇しており、これにより地球温暖化が進んでいると考えられています。
【脱炭素社会を簡単に解説】「パリ協定」と産業サプライチェーン全体に及ぶ社会の流れ
2015年12月に合意された、気候変動対策の国際的な枠組みである「パリ協定」。
パリ協定の効力を発揮するための条件として、《55か国以上が参加すること》《世界の総排出量のうち、55%以上を占めること》の2つがありましたが、中国や米国の早々の加盟により、2016年11月にパリ協定が正式発効されました。
パリ協定が発効されて以降、CO2排出量を減らし、脱炭素社会を目指す動きが世界中で活発化しています。
国際イニシアティブの「RE100」(事業を行う上で必要とされる電力を、100%再生可能エネルギーから調達すること)も、注目されている取組みの代表として挙げられるでしょう。
RE100には、世界で計266社が加盟しています(2020年11月現在)。
私たちが暮らす日本では、どのようなことが進められているのでしょうか?
例えば、2020年6月から経団連が脱炭素社会の実現に向けて「チャレンジ・ゼロ」という新しいプロジェクトを始めました。
「チャレンジ・ゼロ」への参加企業は技術革新を通じて脱炭素社会を目指すことを宣言し、具体的な活動や取組みを経団連に報告、経団連は政府と連携を取り、脱炭素社会の一日も早い実現を協力に目指していくという仕組みです。
他にも、国や地方自治体が太陽光発電等の再生可能エネルギー設備の導入に対して補助金を交付する助成制度があり、その種類は家庭向けから企業の施設といった大規模な産業向けまでさまざまあります。
特に、環境経営の取組みのひとつとして再生可能エネルギーの導入を検討する企業にとっては、助成制度のメリットは大きいでしょう。
再生可能エネルギーの普及拡大に繋がるため、今後もこれらの助成制度が続いていくと考えられます。
また、企業による取組みでは、特にRE100に加盟している企業による動きが速いです。
加盟企業の中には、取引先を含むサプライチェーン(供給網)全体で排出削減に動いているところもあり、関係企業も含めたサプライチェーン全体で脱炭素化が進められています。
上記はほんの一部ですが、脱炭素社会に向けた取り組みが社会全体で着実に進められています。
中でも、脱炭素化と経済は現在密接に関係しており、企業の脱炭素化は避けられなくなっていきます。詳しくは下記記事で解説していますので、合わせてご覧ください。
【脱炭素社会を簡単に解説】来たる脱炭素社会に向けて、個人でできること
世界で目指す脱炭素社会は、一人ひとりの努力が欠かせません。私たちができることを、いくつか考えてみました。
✎電気の切替え!再生可能エネルギー重視の電力会社に
2016年4月に始まった電力自由化により、自由に電力会社を選んで契約ができるようになりました。数ある電力会社にはそれぞれに特徴があり、中でも再生可能エネルギー重視の電力会社は、環境問題や脱炭素社会に関心のある方に選ばれています。
通常の電源構成比は火力が約90%を占めておりますので、電力会社によって特徴が異なることがわかりますね。
✎家電は省エネ製品を!
家電量販店に行くと、エアコンや冷蔵庫など、今では“省エネ”が謳われた製品が多くを占めていると思います。電気代削減のために注目される人もいるのではないでしょうか?家電が壊れてしまったり、買い替えるタイミングで取り組みやすいですね。
また、自治体によっては新品の購入で補助金が出ることもあるんです!お住まいの自治体ホームページを一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。
✎電気自動車(EV)を選ぶ!
ショッピングモールやサービスエリアなどで、電気自動車(EV)の充電設備を見かけることが増えてきました。
電気自動車が普及し始めた頃、充電設備が十分にないという問題がありましたが、社会の脱炭素化を目指す動きや充電設備の助成事業が増えたことにより、今後充電設備の普及は広がっていくと思われます。
そういった変化もあり、電気自動車に関心を持つ人も増えているのではないでしょうか。充電設備同様、電気自動車そのものについても助成事業がありますので、車の購入・買い替えを検討されている方は要チェックですね!
✎太陽光設備(+蓄電池)を導入!
ご自宅に太陽光設備を設置し、ご家庭の電気を地産地消!初期投資が掛かるものですが、助成制度を活用してコストを抑えたり、長期的に見ると月々の電気代を抑えることもできます。
また、太陽光パネルは屋根に設置するため遮熱効果もあるんです。冷暖房の消費を抑えることもできるので、非常に効果的な取り組みです。
また、台風や震災等の災害が多い日本では停電のリスクもあります。停電時にも必要な電気が使えるように、蓄電池をあわせて導入すると安心ですね。
まとめ
いかがでしょうか?コストが掛かる取組みもありますが、電気の切替えなどは比較的コストを掛けず、かつ簡単にできそうですね。
なお、上記に挙げた取組みには“脱炭素”ではなく“低炭素”な取組みも含まれております。ですが、大切なのは個人でできることからやってみること。
皆さんの生活の中で「脱炭素社会」の一歩となりそうなことがあれば、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
「脱炭素」について、もう少しかみ砕いてわかりやすく解説した記事はこちら!
もう一歩、詳しく知りたい方は合わせてご覧になってみてくださいね。