【脱炭素・カーボンニュートラルとは?】わかりやすく解説!なぜ世界で取り組む?

脱炭素・カーボンニュートラルを簡単解説

2021年10月31日~11月12日までの13日間、イギリスのグラスゴーではCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が開催されました。

中でも11月2日~3日の2日間では、2015年のパリ協定採択後初めてとなる首脳級会合がおこなわれました。日本からは岸田総理が参加し、改めて国際的な場で以下のことを宣言しました。

2050年カーボンニュートラル実現と、2030年度に温室効果ガスを2013年度比で46%削減することを目指し、さらに50%の高みに向け挑戦を続けていく。“

その他、途上国の首脳演説でも相次いで“カーボンニュートラル”が宣言されるなど、今回の会合では脱炭素社会への動きが世界的にますます推し進められていくことが明確化されました。

では、「脱炭素・カーボンニュートラル」とは何か?なぜ今世界的に目標となっているのか?
わかりやすく解説していきます。

<目次>

食糧不足に紛争も?「脱炭素」は世界共通のテーマ
急務の脱炭素化:気候変動対策に各国が目指す目標値とは
カーボンニュートラルに向けて世界的企業も取組み出す
日本の取組み事例:サプライチェーン全体に及ぶ脱炭素社会
脱炭素/カーボンニュートラルに取り組む具体的な方法とは?

「脱炭素」は世界共通テーマに

最近ニュースなどでよく見る「脱炭素」とは、そもそもどういう意味だろうか?

「脱炭素・カーボンニュートラル」の意味とは

これは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること。
また、“実質”ゼロとは、温室効果ガスの排出を完全になくすということではありません。

これは、排出される量と森林などに吸収される量が同じ量であり、バランスがとれている状態になることを指しています。この状態のことを「カーボンニュートラル(carbon neutral)」といい、日本語訳すると「炭素中立」です。

2050年カーボンニュートラル実現イメージの下図などわかりやすいですね。

2050年カーボンニュートラル実現図

(出典:経済産業省 資源エネルギー庁HP)

なぜ最近「脱炭素」関連の情報をよく見るの?

近年、脱炭素が叫ばれている理由は、刻一刻と進む地球温暖化を食い止めるため。

18世紀後半の産業革命以降、地球の温度は徐々に上がり、当時と比べて平均1.2度上昇しています。また、気温の上昇と大気中の二酸化炭素濃度は比例していて、相関関係があるのは明らかです。
このまま何も手を打たなければ、21世紀末の平均気温は2000年頃と比較して最大4.8度程度上昇するという試算も……。

「暖かいならいいじゃん」という単純な話ではありません。

この問題は着実に海面上昇による国土の消失、台風の大型化、山火事の増加など、私たちの生活に大きな影響を及ぼします。実際に日本でも、台風や土砂災害、突発的な豪雨による洪水といったニュースがここ数年で増えた印象がありますね。

温暖化は思っているよりも一人ひとりにとって身近な問題です。いずれ深刻化すれば、干ばつや生態系の変化により、食糧をめぐる争いが勃発する恐れすらあると言われています。

急務の脱炭素化:気候変動対策と各国の目標

もちろん、この問題に対し、世界各国はただ手をこまねいているだけではありません。

1992年には国連で「気候変動に関する国際連合枠組条約」が採択されました。
同条約に基づき、1995年から毎年、気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されています。
また、1997年の京都で行われた第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)では、1990年と比較して以下の通り排出量を削減する目標が定められました。

・先進国全体で約5%を削減
・日本は6%、米国は7%、EUは8%を削減

これは「京都議定書」と呼ばれています。中学や高校の授業で聞き覚えがありませんか?

この京都議定書の後を継いだのが、2015年に開かれた第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で結ばれた「パリ協定」です。
「世界の平均気温上昇を、産業革命以前に比べて2度より充分低く保ち、1.5度におさえる努力をすることを目指し、21世紀後半には温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」という目標が掲げられました。

この目標を達成するには、2030年までに2010年と比べて45%も二酸化炭素の排出量を減らすペースで進めないといけません。つまり、あと7年足らずで半分近くにしなければならないのです。

この困難な目標を達成するため、各国が知恵を絞って試行錯誤しているのが、今この時です。

カーボンニュートラルへ企業も取り組む

大きな1つの目標である2050年カーボンニュートラル実現に向けて、世界各国の取組みはどうなっているのでしょうか?

世界主要国の脱炭素・カーボンニュートラルへの施策

たとえば、イギリスは二酸化炭素の排出量が多い化石電源の比率を2分の1までに削減し、2050年に排出量を実質ゼロにすることを法制化しました。

一方で、排出国トップ2の中国とアメリカは、最初は消極的な姿勢でした。
オバマ元大統領が2020年に2005年比で17%、2025年に26~28%削減、と約束したものの、2019年11月にトランプ元大統領はパリ協定からの離脱を表明しました。

しかし、バイデン現大統領がオバマ氏の路線を引き継ぎ、2035年までに電力セクターで、2050年までに社会全体で実質ゼロにすると公約に掲げて当選。その後、2021年1月にパリ協定に復帰しています。

そして、中国も2020年9月に習近平国家主席が、2060年までに実質ゼロを目指すと表明しました。
米中両国が排出量実質ゼロを発表したことは世界的にも影響が大きく、脱炭素社会への流れがますます加速していると言えます。

有名企業の脱炭素・カーボンニュートラル推進

また、排出量ゼロ実現に向けては、国だけでなく企業も動き出しています。

アップル社は、2020年7月に、2030年までに排出量実質ゼロにすると発表しました。

低炭素な再生素材の利用、エネルギー効率化による年間779,000メートルトン以上の二酸化炭素排出量削減、100%再生可能エネルギーの使用、サバンナやマングローブの保全活動などを行っています。

実は、2019年に発売されたiPhone、iPad、Mac、Apple Watchはすべて再生材料で作られたもの。脱炭素社会は、すでに意外と身近なものになっているのです。

☞“脱炭素社会”とはどんな社会のかたちのことか?詳しくはコチラ

サプライチェーン全体に及ぶ脱炭素社会

まだまだ国の動きは鈍いですが、民間企業では早くから取組みが始まっています。
今回は、日本を代表する2社の取組み内容について簡単にご紹介します。

日本の取り組み事例:丸井グループの場合

丸井グループでは、2016年からサステナビリティを経営指針に掲げ、2030年までに再生エネルギー比率を100%にすることを目指しています。

2018年から再生可能エネルギーへの切り替えをスタートしたものの、最初は1店舗のみで、割合もわずか1%程度。しかし、翌年2019年には8店舗にまで拡大し、割合も23%に。2020年には15店舗と本社にも再生可能エネルギーが使用されるようになりました。

このペースで進めば、2025年には70%、2030年までに100%が実現します。

さらに自社のクレジットカードであるエポスカードの会員向けに、再生可能エネルギーを利用した電力の供給をするサービスも始めました。
電気代の一部を森林保全に充てて二酸炭素の排出量を抑えつつ、吸収量を増やす取組みも行っているようです。

日本の取り組み事例:ソニーグループの場合

ソニーグループでは、2050年のカーボンゼロに向け、2030年に⽶国で、2040年には全世界で電⼒を再⽣可能エネルギー由来に替えると宣言しています。

欧州と中国ではすでに導⼊済みですが、温暖化に関わる温室効果ガスの8割を出す⽇本での排出削減が最難関になっています。
そこで、原材料や部品の調達先企業、また製造委託先にも排出削減を促し、グループ全体でのカーボンゼロ化を目標とする計画を発表しました。

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「RE100」に加盟するソニーグループや丸井グループのような企業は、取引先を含むサプライチェーン(供給網)全体で排出削減に動いています。
そのため、上記企業らと取引があり、部品を卸している、または商品を卸している会社などにも脱炭素化することが求められています。

☞中小企業でも脱炭素経営を進めるには?始めるためのポイントを解説!

こういったことから、「脱炭素」というテーマは、大手企業のみが取り組むべきものではなく、関連の中小企業にも大きく関わってきているこがわかりますね。

ではなぜ、多くの企業が率先して「脱炭素化」に取り組んでいるのか?

そのワケは、今や環境問題と経済が密接に関係しているためです。脱炭素と合わせて知っておきたい「ESG投資」「RE100」などについては、コチラの記事を参考にご覧ください。

【脱炭素化をわかりやすく】密接に関係する環境問題と経済を徹底解説!

脱炭素、排出量、実質ゼロ……。
むずかしそうな言葉が並んでいますが、実は私たちの実生活の中でもできることは多いです。

例えば、
・家庭内のエネルギーを省エネする
・CO2排出の少ない交通機関を使用する
・電気自動車などのエコカーを選ぶ
・エコバッグ、マイボトルなどを利用する

まずは身近なところから、試しにひとつ取り入れてみてはいかがでしょうか。

脱炭素/カーボンニュートラルに取り組む方法

最後に、企業または個人でもできる具体的な取組み方法を3つご紹介します。
脱炭素社会の実現に向けて、より効果的に取り組みたい方はぜひご参考ください。

創エネができる「太陽光発電設備」の導入

多くの企業が脱炭素化を目指す方法のひとつとして選んでいるのが、「太陽光発電設備の導入」です。企業が脱炭素化を達成するための環境対策としてできることは、①環境価値を「購入する」か、②自社で創るかのどちらかです。

脱炭素化とはつまり、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることなので、どうしてもCO2を極力排出しない形でエネルギーを賄う必要があります。

そのため、現在お家の屋根や工場屋根が空いている方は、創エネができる太陽光発電の設置をおすすめします。
太陽光発電は、太陽光さえあればCO2フリーの再生可能エネルギーを生み出すことができ、発電した電気を自家消費をすることで、脱炭素化を進めることができます。

太陽光発電の電気を有効利用!蓄電池の導入

太陽光発電設備は太陽光がないと発電しないため、どうしても天気が悪い日や、太陽が出ていない早朝・夜間は発電することができません。これでは、再生可能エネルギーの電気を有効活用できないため、最近では蓄電池をあわせて導入するケースが増えています。

企業はBCP対策として、住宅では災害による停電対策にと、それぞれ近年多発している自然災害などに備えることを目的に選ばれるようになってきています。

蓄電池を導入すると、太陽光で発電して余った電気を貯めておくことができます。ためた電気は太陽光が発電しない夜間に使ったり、夜間が安い時間帯別の電気料金プランで契約している場合は、昼間に使ったりすることもできます。

このように、蓄電池を導入することで、工場や自宅の負荷に応じて再生可能エネルギーの電気を好きなタイミングで使用することができます。

当社では、住宅用はテスラ社の家庭用蓄電池「パワーウォール(Powewall)」の設置をおすすめしています。
13.5kWhと大容量で性能も優れていて、価格も比較的安価なテスラパワーウォ―ルは、停電時にも80A以下のご自宅であれば、家の電気をまるごとバックアップすることができます。

テスラパワーウォール_バナー

☞テスラPowerwallについて詳しくはコチラ!

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いかがでしたでしょうか?

ご家庭・会社に太陽光を設置して自家消費させることを検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

脱炭素は、全世界で取り組まなければならないテーマです。
持続可能なエネルギー社会を目指す企業のひとつとして、これからも脱炭素社会に向けた各国、各企業の取組みについては最新情報をお届けしたいと思いますのでよろしくお願いします!

☞脱炭素関連の用語と要点をまとめておさえておきたい

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☞具体的にどうやって脱炭素に取り組めばいいのか?取組み事例を紹介!

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太陽光発電の設計・施工で20年以上の実績。最近では再エネ率の高い電気と蓄電池を併せた提案も好評です。環境にいいこと・持続可能な地球・100年後の子供たちのために様々なソリューションで再エネ普及をしています。

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