【法人・企業向け太陽光発電】基礎からおさらい!関連ワード解説集

自家消費_用語集②

本記事では、自家消費型太陽光発電に関係するさまざまなワードをわかりやすく簡単に解説します。

今さら聞けない基本的な用語から専門性の高い用語まで、適宜追加・更新していきますので、ぜひ参考にご覧ください。

自家消費型太陽光発電とは?【基本編】

自家消費型太陽光発電システム

建物の屋根や遊休地などの自社または自宅敷地内に太陽光パネルを設置し、発電した電気を自らの施設や住宅で使用する、電気の地産地消システムを指します。
2021年10月に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、2030年度の電源構成として再エネ導入目標が36~38%(そのうち太陽光は14~16%)と設定されました。そのため、国としても民間企業や地方自治体などの自家消費型太陽光発電の導入を推進しています。
また、FIT制度(固定価格買取制度)の売電単価の下落や出力制御の拡大もあり、現在自家消費型の太陽光発電は需要が高まっています。

自家消費型太陽光発電_仕組み

FIT制度(固定価格買取制度)

「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」のいずれかの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。
住宅の屋根に載せるような10kW未満の太陽光発電の場合は自家消費の余剰分が対象となり、小規模な事業所などに載せるような10~50kWの太陽光発電の場合は余剰分または全量分が買取対象となります。
この買取単価は年々下がっており、例えば10kW以上のシステムの場合は2012年の制度開始当初40円/kWhだったものが、2023年には10円/kWh以下まで下がっています。

FIT単価(推移)

(10kW以上の太陽光発電の単価表)

☞参考:経済産業省資源エネルギー庁『固定価格買取制度とは』

出力制御

出力制御には、需給バランスの制約によるものと、送電容量の制約によるものがあります。
需給バランス制約による出力制御とは、電気が需要以上に発電されて余ってしまった時に発生する制御です。電力系統では、電気の使う量(需要)と発電する量(供給)のバランスが崩れてしまうと大規模停電が発生する恐れがあるため、このバランスを保つことが重要となります。
火力発電の出力制御などで調整を行っても電気が余る恐れがある場合は、再生可能エネルギーの出力制御が行われます。近年は再生可能エネルギーの導入が進んだことで電気の供給量が増加しており、太陽光発電の出力が小さく制御される機会も増えています。
送電容量制約による出力制御とは、電力会社の送電線などに流す電気量の上限を超えないように行われる制御のことです。

経済産業省資源エネルギー庁『再エネの大量導入に向けて ~「系統制約」問題と対策』電力需給のイメージ図

(出典:経済産業省資源エネルギー庁『再エネの大量導入に向けて ~「系統制約」問題と対策』電力需給のイメージ図)

☞参考:経済産業省資源エネルギー庁『出力制御について』

自家消費型太陽光発電の重要事項や効果

逆潮流

電力会社の電線(系統)側から建物の設備へ電気が流れることを「順潮流」と呼びます。反対に、電気が太陽光発電設備から電線(系統)側へ逆方向に流れることを「逆潮流」と呼びます。
自家消費型太陽光発電では、発電した電気は設備を設置した建物内で使用することが前提とされています。そのため、発電した電気を系統側へ流すこと(=逆潮流)は、原則不可となります。
この逆潮流が至る所で同時に発生すると、変電所の受電能力を超えてしまい、送配電線の電圧品質の低下や電気の安定供給に問題が生じる恐れがあります。
そのため、自家消費型太陽光発電の設備では、RPR(送電力継電器)という機器や制御装置の設置による逆潮流防止対策が必要となります。

環境付加価値

太陽光発電などによる再生可能エネルギー由来の電気は、電気や熱自体の価値の他に、省エネルギーや二酸化炭素(CO2)排出抑制といった「環境付加価値」を持つ電気となります。
FIT制度を利用している太陽光発電設備の場合、環境付加価値は国民全体に帰属しますが、FIT制度を利用しない自家消費型太陽光発電の場合は発電事業者が価値を保持します。
この「環境付加価値」は、グリーン電力証書システムやJクレジット制度などを利用し売買することもできます。例えば、グリーン電力証書システムでは「環境付加価値」をグリーン電力証書という証書化した形で販売・購入することができ、購入者は再生可能エネルギー由来の電気を利用したとみなされます。
☞参考:東京都環境局『環境価値とは』

VPP(仮想発電所)

VPPとは「Virtual Power Plant(バーチャルパワープラント)」の略です。
複数の分散型エネルギーリソース(DER)、例えば一般家庭や企業に設置された太陽光発電設備や蓄電設備などをIoTの情報技術により遠隔で統合・制御することで、あたかもひとつの発電所のように活用する仕組みのことを言います。
東日本大震災以降、大規模発電所への集中依存が問題視されたこと、また地球温暖化対策の観点から、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入やDERが広く普及しました。
このことから、従来の需要に供給を合わせる形態が見直されており、需要と供給の双方を制御・管理できるVPPが求められています。

VPPイメージ図

(出典:経済産業省資源エネルギー庁HP「VPP・DRとは」より)

自家消費型太陽光発電の導入方法

自社所有モデル

企業が自社敷地内に自社で一括購入した太陽光発電システムを導入し、発電した電気を自家消費する方法です。一般的な「自家消費型太陽光発電」はこのモデルを指します。

自家消費_自社所有モデル

【メリット】
・電力会社から購入する電気を減らすことができる
・金利等の費用が発生しないため、長期的に見ると経済効果が一番大きい
・自家消費型太陽光発電は中小企業経営強化税制の対象のため、節税効果が得られる
・設備の交換や増設、処分などが容易にできる
【デメリット】
・導入時の初期費用の負担額が大きい
・定期メンテナンスなどの維持管理費用が発生する

オンサイトPPAモデル

PPA事業者と電力契約を結ぶことで、PPA事業者が企業の代わりに設備を購入し、企業の敷地内に設置・運用する方法です。企業は発電した分の電気代をPPA事業者に支払い、自社施設内で電気を使用します。

自家消費_オンサイトPPAモデル

【メリット】
・初期費用0円で設備を導入でき、契約期間満了後には自社所有にできる
・再エネ賦課金がかからない
・資産計上無し(オフバランス)で設置が可能
・契約期間中は定期メンテナンスなどの維持管理費用が発生しない
【デメリット】
・一般的に10~20年程度の長期契約となる
・長期契約の縛りにより、設備の移転や処分が難しい
・発電量に応じて電気代をPPA事業者に支払う必要がある

オフサイトPPAモデル

PPA事業者と電力契約を結ぶことで、PPA事業者が企業の代わりに設備を購入し、企業の敷地外に設置・運用する方法です。企業は発電した分の電気代を小売電気事業者に対し支払い、自社施設で電気を使用したものとみなします。

自家消費_オフサイトPPAモデル

【メリット】
・オンサイトより大規模な発電設備を設置・運用できるため、安定した電力確保が可能
・場所の制約が少ないため、設備運用の負担が軽減される
・小売電気事業者を介すれば、複数拠点への供給も可能
【デメリット】
・一般的に10~20年程度の長期契約となる
・再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)を支払う必要がある
・発電所と需要場所は同一電力管内でなければいけないケースが多い

自己託送

企業が自社で購入した太陽光発電システムを自社敷地外の遠隔地などに設置し、送電網を利用して発電した電気を自家消費する方法です。

自家消費_自己託送③

【メリット】
・オンサイトより大規模な発電設備を設置し運用できるため、安定した電力確保が可能
・自家消費したという整理になるので、現制度上は再エネ賦課金が発生しない
・小売電気事業者を介すれば、複数拠点への供給も可能
【デメリット】
・高圧や特別高圧でないと導入ができない
・導入時の初期費用やメンテナンスなどの維持管理費用が発生する
・送電網を利用するため、託送料金などが発生する
・発電所と需要場所は同一電力管内でなければいけないケースが多い

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いかがでしたでしょうか?
解説したさまざまな自家消費型太陽光発電の関連ワードについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事などもあわせてご覧ください。

☞「FIT制度」の最新情報

FIT制度の革命!新設された「屋根設置太陽光」区分とは?自家消費型と比較

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