FIT制度の革命!新設された「屋根設置太陽光」区分とは?自家消費型と比較

屋根設置太陽光_イメージ

FITに屋根置き区分が新設された背景とは

FIT制度とは20年の間、再エネの設備でつくられた電気を電力会社が一定の金額で買取を行うことを保証する制度です。これにより2012年以降は大幅に再エネの導入量が増加しました。

開始当初の2012年には40円/kWhという非常に高単価での買取が保証されていましたが、現在では1/4の10円/kWhを切るまで単価は下落しています。

FIT単価(推移)

太陽光発電設備の設置費用の低下や再エネ賦課金による国民負担軽減の観点から、FIT単価は年々下落傾向にあります。しかし、そんな中で2023年より特例として新設されたのが「屋根設置太陽光」区分です。

これは、地上に設置された太陽光発電設備と比べ、工場や倉庫の屋根に設置された太陽光発電設備の買取単価を引き上げるという制度です。

それでも、12円/kWhと制度開始当初と比べてしまうと低い単価で設定されていますが、設置する場所によってFIT単価を区分分けすることは非常に画期的な制度と考えられます。

経済産業省_FIT単価2024

(出典:経済産業省HP「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2023年度以降の買取価格等と2023年度の賦課金単価を設定します」)

政府は、2030年度までに電源構成における再エネ比率36~38%の達成を実現するという高い目標を掲げております。

現在の20%強という状況から考えると、まだまだ再エネ電源は不足している状況です。そういった背景もあり、より太陽光発電設備の導入を促進すべく、今回の区分が新設されました。

自家消費型太陽光発電との比較

FIT単価の下落と昨今の電気代高騰を受け、「発電した電気はFIT制度で売電するより、自分たちで使ったほうがお得」な時代を迎えています。

そのため、工場や倉庫へ太陽光発電設備の設置を検討する際には、自家消費型での導入がほとんどになってきています。

ただ、だからといって全ての建物に自家消費型がマッチングするわけではありません。

太陽光発電システムは日射によって発電する仕組みなので、発電する時間や量をこちら側で操作することはできません。自家消費型で導入する場合は、各時間帯の中で発電量が建物の電力使用量を超えないように設計する必要があります。

なぜなら、自家消費型の太陽光発電システムでは、発電した電気を系統側へ流すこと(=逆潮流)は原則不可とされているからです。

自家消費_設計の考え方

そのため、自家消費型太陽光発電設備の設置を検討する際には、建物の電力使用量を分析して使用量に合わせて太陽光パネルの枚数を制限したりします。
例えば、電力使用が空調や照明などに限られる倉庫などの建物では、大きな屋根があるにも関わらず、太陽光発電設備の設置を断念したケースもあると思います。

☞「逆潮流」とは?詳しくはコチラ

自家消費型太陽光発電で耳にする【逆潮流】とは?仕組みと対策方法を解説

しかし、今回の屋根設置FIT制度を利用することができれば、使い道に困っていた屋根上のスペースを有効活用できる可能性が出てきました。

それでは、工場や倉庫の屋根上に太陽光発電設備を導入しようと考えている場合、屋根設置FIT制度を活用した方がいいのか、自家消費型にした方がいいのか。判断方法を確認しましょう。

屋根設置FIT制度か自家消費型かの判断方法

電気代が高騰している現在では、電力使用量が多ければ自家消費型を選択するのがベストです。
区分が新設されたとはいえ、1kWhあたり12円の価値なので、現在の電気代単価が20円~25円程度だと考えると、自家消費したほうが約2倍お得と考えられます。

工場や倉庫の屋根上に設置する場合、FITを利用するか自家消費型にするかの判断は、先ほど述べた通り建物の電力使用量を分析し、発電した電気を消費し切れるかどうかが重要となります。

とはいえ、発電した電気を建物内で消費し切れるかを社内などで検討することは非常に難しいと思います。検討のためには、過去の電力使用量からの分析や太陽光発電の予測発電量をシミュレーションするなど、専門的な調査が必要になります。

自社にマッチするのはFIT制度利用か自家消費型か?またメリットはどの程度出るのか?シミュレーションだけでも検討されたい方や、ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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