電力需給のひっ迫はなぜ起こる?2023年夏季の警報はある?原因と対策を徹底解説!

2023年7月1日から、政府は東京電力管内でのみ節電要請をおこなっています。
期間は8月31日までの2か月間で、無理のない範囲での節電を呼びかけています。

2022年の夏前ほどの騒ぎにはなっていませんが、2022年の影響もあり、今年も電力に関する心配は少なからず感じている方が多いのではないでしょうか?

電力ひっ迫になることを防ぐためのこの節電要請ですが、なぜ電力のひっ迫は起こってしまうのか?
この機に、改めて電力ひっ迫について考えてみましょう。

電力需給のひっ迫が起こる原因とは?わかりやすく解説

電力ひっ迫_節電

まずは電力ひっ迫がどのような状態を指しているのかを知りましょう。

電力ひっ迫とはどんな状態?

簡単に表すと、“供給電力<需要電力”の状態、もしくはその状態に近づいていることを「電力ひっ迫」と表現します。より正確には、電力予備率が3%を下回る、もしくは3%を下回ると予測される状況のことを示します。

「電力予備率」
電力需要に対して供給余力がどの程度あるかを示す値。
※予備率が3%の理由
電力需要は一定時間の平均値で3%程度の上下動があるため、最低でも3%の余力が必要。

これを聞くと、「たくさん発電設備を作って、たくさん電力供給できるようにしておけばいいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は電力には「同時同量の原則」というものがあります。

同時同量の原則とは?

電気をつくる量(供給電力)と電気を消費する量(需要電力)=電力の需給バランス

上記のように、供給電力量と需要電力量が同じ時間に同じ量となってなければいけないことを「同時同量の原則」と呼びます。

この電気の同時同量が崩れてしまうと、電気の周波数(品質)が乱れてしまい、正常に電力供給をおこなうことができなくなってしまいます。最悪の場合は、計画停電ブラックアウトに繋がる可能性もあります。

これを防ぐため、電力会社は季節や気象、時間帯などさまざまな要素をもとに発電計画を決め、刻々と変わる電力需給を同時同量となるよう調整し、合わせています。

<電力の需要と供給(電力需給バランスが均等な時)>

電力ひっ迫_需給バランス図

(出典:電力需給緊急対策本部(平成23年3月25日)の参考資料を元に資源エネルギー庁が作成)

では、同時同量の原則が乱れ、電力ひっ迫になる原因には何があるのでしょうか?

電力ひっ迫の主な原因

①異常気象による気温上昇
皆さま身に感じているように、夏場は猛暑日の連続で警報級の暑さが続いています。
この影響で電力消費の高いエアコンの利用量が上がることで、電力需要が急激に上がります。

②発電設備の停止や休止による供給電力量不足
東日本大震災以降、原子力発電所の停止や火力発電所の老朽化に伴う休止により、供給量が減ってしまいました。原子力・火力ともに環境面での問題はありますが、電力を生み出す能力は高いという特徴があります。
現在は、原子力発電所は関西エリアで5基、四国エリアで1基、九州エリアで3基のみが稼働しています。
☞参考:原子力規制委員会「原子力発電所の現在の運転状況」

③再生可能エネルギーへの転換
地球温暖化の影響により、地球にやさしく安全な太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用が世界で求められるようになりました。
しかし、日本ではまだまだ再生可能エネルギーへの転換は進んでいません。そのため、再生可能エネルギーがリスクのある原子力発電の代わりとなるには、供給量が足りていないのが現状です。

この他にも理由はありますが、大きな要因は上記のようなものになります。
このような状況下で、私たちにはどんな行動が求められているのでしょうか?

電力需給のひっ迫に家庭でできる対策とは?

さまざまな原因により起きる電力ひっ迫対し、家庭でできる対策方法を紹介します。
まずは、夏場のご家庭での電気の使用割合と電力需要を見てみましょう。

電力ひっ迫_夏季の需要量

(出典:資源エネルギー庁(https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230609003/20230609003-3.pdf))

これらを見ると、どの家電製品の節電に取り組んだ方が良いのか、また、どの時間帯で電力需要が集中しているのかがわかりますね。

これを踏まえて、ご家庭ではどのような対策ができるでしょうか?家電製品ごとに見ていきます。

①エアコン

・定期的なフィルターの清掃
・日中はカーテンなどで日差しを緩和
・適切な温度設定
→例えば、設定温度を26℃から2℃上げるだけでも、5%程度の節電効果があります。扇風機を併用して空気の循環をおこなうことで、設定温度を上げなくて済みます。

②冷蔵庫

・扉を開ける時間を減らす
・食材を詰め込みすぎないようにする
・冷蔵庫の冷やしすぎを避ける
→設定を強から中に変更するなど。※食品が腐らないようにご注意下さい。

③照明

・利用していない場所の照明をこまめに消す
・一番利用する部屋(リビング等)の明るさを下げる
・蛍光灯や白熱灯の場合はLEDに変更する

記載していない中で毎日のように利用しない家電製品の中にも、電力消費が高い製品はあります。効率的な利用を心がけることで電力ひっ迫の対策に繋がるので、ぜひ意識してみてください。

<電力消費の高い家電製品例>
ドライヤー、電子レンジ、アイロン、電気ケトル、浴室乾燥機など…

これらの対策は、前提として無理のない範囲での行動となりますので、ご自身の体調を考慮した上で実践に移しましょう!

また、視点を変えて太陽光と蓄電池を導入し、電力の自給自足をおこなうことも対策の一つです。
万が一、ブラックアウトや計画停電になったとしても、これらの設備があれば普段通りの生活ができる点も大きな付加価値となります!

2023年夏季の警報は?電力ひっ迫予測

今年は、昨年ほど電力ひっ迫を取り上げているメディアは少ないと思います。実際、電力予備率も安定供給に必要な3%を上回っている地域が多いです。

(出典:経済産業省(https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230609009/20230609009-1.pdf))

しかし、上表を見ていただくとわかるように、東京の7月予測値は予備率3.1%とギリギリの数値となっています。そのため、政府からも無理のない節電要請が出ているというわけですね。

一人一人の行動の積み重ねが、予備率を上げる一因となります。今回は夏場のお話をしましたが、冬場も同様の事が考えられます。

加えて、最近は電気代の高騰も続いていますので、電力ひっ迫の対策をすることが電気代の削減にもつながり、家庭にも地球にもやさしい生活を送ることができます!

ご自身の体調も大事にしながら、サステナブルな生活を進めて行きましょう!

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