蓄電池の複数台導入は可能?設置方法とメリット<テスラパワーウォールの場合>
台風など自然災害でインフラが遮断された時の対策としても、近年注目を集めている家庭用蓄電池。
より安全な環境を確保するため、蓄電池の複数台設置を検討されている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、当社でも複数台設置の実績が数あるテスラ社の家庭用蓄電池「パワーウォール」を例に、2台以上設置するメリットなどを詳しく解説します。
また、複数台設置する場合の施工方法や置き方についても、いくつか実例をご紹介します。ご検討中の方には参考になるかと思いますので、ぜひご覧ください。
テスラの家庭用蓄電池とは?【概要】
まずは、今回参考例として扱うテスラ社の「パワーウォール」について、簡単にご紹介します。
性能に関する大きな特徴は次の2点です。
<テスラパワーウォールの大きな特徴>
・電池容量:13.5kWh
・対応負荷:全負荷
それでは、各特徴についてもう少し深掘りしてみましょう。
①テスラパワーウォールの特徴「電池容量」
まずは、電池容量:13.5kWhについて紐解いてみます。
Tips:そもそも「kWh」とは?
これは「キロワットアワー」と読み、電力量を表しています。
「kW(電力)」×「h(時間)」=「kWh(電力量)」で算出することができます。
それでは、環境省の2017年度の家庭でのエネルギー消費量データを見てみましょう。
☞データの詳細はこちら
・1世帯が1年間に消費した電気の全国平均は、4,322kWh
→1日の平均にすると、4,322kWh÷365日=11.84kWh/日
この量と比較すると、テスラパワーウォールの容量13.5kWhはとても大きいことがわかります。
また、4人家族のご家庭で約1日の電気使用量はこの電力量とおおよそ同等と言われています。そのため、十分蓄電できていれば、約1日は普段に近い生活を送ることができることになります。
このように、ご自身のご家庭ではどのくらいの電気量を1日で消費しているかは、電気料金明細を確認してみてください。
オール電化のご家庭や平均より電気使用量が多いご家庭は、パワーウォール1台分の蓄電容量では1日の電気使用量を賄い切れないケースも出てくるかと思います。その場合には、複数台の設置を検討してみてもいいかもしれませんね。
②テスラパワーウォールの特徴「全負荷」
次に、対応負荷:全負荷について解説します。
Tips:そもそも負荷とは?
これは、ブレーカーのスイッチによってオン/オフを切り替えられる対象を指します。
もう少しかみ砕くと、電気回路に接続されていて、電気を消費するもの=負荷です。
つまり、家電製品一つひとつが負荷対象。
また、ここで重要になってくるのが蓄電池の負荷型の種類です。
負荷型には、「特定負荷」型と「全負荷」型の2種類があります。
・特定負荷:指定した特定の負荷対象へのみ電気を使用できるようにする(15~20Aまで)
・全負荷:全ての負荷対象へ電気を使用できるようにする(60A~10kVA程度まで)
今回参考例としているテスラパワーウォールは、2つ目の「全負荷」型に該当します。そのため、蓄電した電気は家全体に行き渡らせることができます。
一般的なご家庭では、A(アンペア)数は30~60Aで設定されています。対して、テスラパワーウォールは75A(15kVA)まで対応できるので、だいたいのご家庭で「家まるごとバックアップ」が実現可能となります。
蓄電池の複数設置:メリットがある例とは?
家庭用蓄電池の複数台設置をご提案する場合は、「太陽光発電設備の容量」と「電気使用量」の2点を基準に考え、複数台導入してメリットがあるかないかを検討します。
<例えば>
①発電量が多く、電気使用量も多い場合(6kW以上の太陽光発電設備があるなど)
テスラパワーウォールを複数台導入しても、太陽光で発電した電気を貯めて自宅で使う(自家消費する)ことができるので、複数台設置をおすすめします。
②発電量は多いが、電気使用量が少ない場合
テスラパワーウォールの導入は1台にし、太陽光で発電した電気の余剰分は売り(売電)に回すという形をご提案することが多いです。
また最近では、クリーンな太陽光発電の電気で環境に負荷をかけないように生活したいという方も多くなっています。そういった方々にも複数台設置ができるテスラパワーウォールのような蓄電池は選ばれやすいようです。
ただし、上記に当てはまらないケースもあります。
例えば、太陽光発電設備を設置していない、もしくは設置しているが発電量が少ないというご家庭でも、深夜の電力単価が安い電気料金プランに加入していれば複数台設置してもメリットを得られることがあります。
あるいは、電気使用量が少ないご家庭でも、家庭用蓄電池を「停電時の予備バッテリーとして備えておきたい」と考えている場合は、普段づかい用と停電時用に分けて複数台運用する形が理想となるケースもあるかもしれません。
実際に、ご自宅の建物・立地や生活条件から、太陽光発電設備はなしで停電時用のバッテリーとして家庭用蓄電池の複数台設置を検討されている方もいます。
このように、太陽光発電設備はなしで家庭用蓄電池を複数台導入したい場合にも、テスラパワーウォールは対応が可能なので、ぜひご家庭にあったスタイルをご検討ください。
テスラパワーウォールの複数台設置方法
次に、家庭用蓄電池を複数台設置する場合の施工方法や工事の流れを、テスラパワーウォールを例に簡単にご紹介します。
配線など重要な施工過程について
<配管部分の施工方法>
配線をたわみなく張り、配管には虫などが入らないようにパテ埋めします。また、水の勾配を考慮し、穴の位置は屋外側を高く設定した上で配管を設置します。
壁を貫通する場合は、貫通部分に断熱処理を施します。さらに、防水スリーブを使用するなど細心の注意を払い施工します。
<壁に穴を開ける際の注意事項>
貫通部分に構造体がないか確認を取り、上記同様に水が流れる勾配を考えて外側が低く内側が高くなるよう傾斜をつけて貫通させます。貫通部分の処理は、貫通口の周りにコーキングを施しプルボックスを取り付け、ボックスを固定します。
プルボックスは、下穴を開けてフィッシャープラグを挿入し、コーキングを入れてステンレンス41㎜ビスで固定します。加えて、プルボックス上と左右の3辺にコーキングをおこない、固定します。
そのほか、当社ではお客様とご相談しながら、設置後の意匠性を加味した上で、そのときどきで外壁の色に合わせた配管や機器の高さなどを調整し施工しています。
テスラパワーウォール:実際の複数設置事例
テスラパワーウォールは、最大10台まで連結して設置することが可能です。縦置きの場合は最大3台まで、横置きの場合は最大10台まで並べることができます。
<1台設置の例(基礎があるタイプ)>
下図のように、まずは基礎を設置します。その後、テスラパワーウォールから収納ボックスを通して配線を貫通させます。
<横置き2台設置の例>
下図の通り、1台目のテスラパワーウォールから渡線にて2台目のテスラパワーウォールに繋ぎます。そして、2台分の配線を収納ボックスに入れ、壁を貫通させ住宅に引き込む形となります。
<縦置き2台設置の例>
下図の通り、2台を縦に並べ、コネクタで各機器を接続します。背面(壁側)側のテスラパワーウォールから2台分の配線を収納ボックスにまとめ、配線を貫通させます。
テスラパワーウォールの奥行は147mmとかなりスリムなので、縦に2台~3台並べても圧迫感がなく、見た目もスタイリッシュに仕上がります。ご自宅の雰囲気や壁、スペースによって横置き、縦置きなどの設置スタイルについてもご提案させていただきます。
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いかがでしたか?
家庭用蓄電池の複数台設置、実際のイメージが湧きやすくなりましたら幸いです。
また、テスラパワーウォールのような単機能型の蓄電池であれば、太陽光発電設備がなくても単独で設置が可能となります。「太陽光発電設備も一緒に導入すると費用が高い…」という方は、単独設置もぜひご検討ください!
☞実際にどれくらい電気使用量は削減できる?