マンション・アパートに太陽光発電を設置するメリット!設置の条件や注意点を解説

太陽光発電 マンション

近年、再生可能エネルギーの重要性が増す中で、太陽光発電の導入が注目されています。

そんな太陽光発電設備のメリットの1つとして挙げられるのが、さまざまな場所に設置できる点です。一般的な住宅の屋根上以外に、駐車場のカーポート上やマンション、アパートの屋根上にも太陽光発電設備を設置することが可能です。

しかし、マンションやアパートに太陽光発電を導入するには、設置条件や導入までの流れ、さらには補助金の利用など、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

今回は、マンションやアパートに太陽光発電設備を設置することのメリットや具体的な方法、注意点などについて詳しく解説します。ぜひご覧ください。

マンション・アパートに太陽光発電を設置するメリット

太陽光_マンション

マンションやアパートに太陽光発電を設置することには、多くのメリットがあります。
ここでは、そのメリットについて詳しく説明します。

屋上を有効活用できる

マンションやアパートの屋上は、多くの場合、未利用の空きスペースとして存在しています。そこに太陽光発電設備を設置することで、スペースを有効活用することができます。

屋上の広いスペースを最大限に活かすことで発電量を増やすことができ、建物全体のエネルギー効率を向上させることができます。

余剰売電または自家消費することで電気代を削減できる

マンションやアパートに太陽光発電設備を導入する場合、一般的な戸建て住宅より設置できる設備容量が多くなるため、発電量も比例して多くなります。

「FIT」という制度によって売電を希望する場合は、10kW未満か、多くても10kW以上50kW未満の区分けに該当すると想定されるため、「余剰売電」が可能となります。ただし、FITによる売電単価は下がり傾向にあり、現在は電力会社の電気料金(従量)単価の方が高くなっている状況です。つまり、売電しても大きな利益はあまり期待できません。

そのため、近年は蓄電池なども併せて導入し、発電した電気を建物内で自家消費させることで電力会社から購入する電力量を減らし、電気代の削減をおこなう運用方法が増えています。

☞FIT制度や自家消費について詳しくはコチラ

FIT制度の革命!新設された「屋根設置太陽光」区分とは?自家消費型と比較

共用部の動力設備に利用できる

太陽光発電設備によって発電した電力は、マンションやアパートの共用部の動力設備(照明や空調設備、給水ポンプなど)の電力として利用することができます。これにより、電力会社から購入する電力量を減らすことができるため、管理費の節約につながります。

特に、大規模なマンションやアパートでは、共用部の電力使用量が大きくなるため、太陽光発電の効果をより実感できるでしょう。

災害時の非常用電源として利用できる

太陽光発電設備は、災害時の非常用電源としても利用することができます。停電が起こった際には、太陽光発電設備の1つである「パワーコンディショナ」の自立運転機能が利用でき、1,500Wまでの電力供給を維持することができます。

入居者の災害対策としてもっとしっかり備えたい場合は、蓄電池も併せて導入することを検討しましょう。蓄電池を導入することで、上述した共用部の動力設備を稼働させることができます。また、日中に太陽光で発電した電気をためておくこともできるので、長期の停電にも備えることが可能となります。

☞自立運転機能と蓄電池でできることの違いは?

知っておきたい!停電時の地域別お問い合わせ連絡先/対策方法

太陽光発電に適したマンション・アパートの特徴

太陽光発電設備を導入するには、建物の構造や所有形態が重要となります。
ここでは、太陽光発電の導入に適したマンション・アパートの特徴について詳しく説明します。

建物の高さが低いこと

低層のマンション・アパートは、太陽光発電設備の導入に適していると言えます。

高層マンションは風の影響を受けやすいため、太陽光パネルの取り付け方法を強化するなど、追加の対策が必要となる場合があります。一方、低層のマンションやアパートなら戸建て住宅と同様の施工方法で対応が可能なため、導入にかかるコストを抑えることができます。

屋根に傾斜がついていること

通常、太陽光パネルを取り付けるには「アンカー工法」という屋根に穴を開ける施工方法が採用されることが多く、この場合は雨水の排水能力が重要となります。

屋根に傾斜がついている建物であれば、排水処理がしやすいので雨漏りリスクが軽減されますが、傾斜がついていない屋根の場合は雨水が溜まりやすく、雨漏りリスクも高くなります。

そのため、「陸屋根」と言われる傾斜がない屋根への設置は施工方法に工夫が必要です。例えば、縁石(コンクリートブロック)を置きパネルを設置する縁石工法や、アンカーレス架台を使用した接着工法であれば、穴を開けずに設置が可能です。こうした施工方法ならば、陸屋根でも雨漏りリスクを軽減して導入できるので、ぜひご検討くださいね。

オーナーが所有している賃貸であること

マンションやアパートをオーナーが単独で所有している場合、太陽光発電設備の導入に関する決定権が集中しているため、スムーズに導入を進めることができます。

一方、分譲マンションの場合は複数の所有者が存在するため、太陽光発電設備の導入には管理組合の集会決議などでの合意が必要となります。最終合意を得るまでには時間を要する可能性があります。

マンション・アパートで太陽光発電を設置できる場所

住宅街_太陽光パネル

マンションやアパートに太陽光発電を設置する場合、屋上に設置するのが一般的ですが、他にも設置場所には選択肢があります。簡単にご紹介します。

屋上への設置

屋上は、太陽光発電システムを設置する最も一般的で理想的な場所です。広いスペースがあり、太陽光を遮る障害物が少ないため、最大限の発電効率を実現できます。

特に、南向きで適度な傾斜がある屋上は、太陽光パネルを設置するのに最適です。また、屋上は通常立ち入りできる人が限られているため、パネルの安全性も確保されます。

駐車場やカーポートへの設置

カーポートの上も、太陽光発電システムの設置に適した場所と言えます。

カーポートの上に太陽光パネルを設置する「ソーラーカーポート」には、既存のカーポート屋根上に太陽光パネルを載せるものと、太陽光パネルをそのままカーポート屋根として利用する一体型のものの、大きく分けて2種類があります。

つまり、すでに駐車場にカーポートを設置している場合も、そうではない場合も柔軟に導入できます。建物の屋根上(屋上)に設置が困難な場合や、それだけでは発電量が少なく増やしたい場合などは、ソーラーカーポートの設置もあわせて検討してみてください。

☞ソーラーカーポートをもっと詳しく!

ソーラーカーポートとは?太陽光発電の後付けにも

外壁への設置

外壁の壁面に太陽光パネルを垂直設置する方法もあります。壁面への設置は近年開発が進んでいる分野で、壁面に適した太陽光パネルや施工方法が次々と出てきています。

外壁へ設置することのメリットは、場所を取らないという点と、積雪や落葉などが太陽光パネルに積もらない点からスペースを有効活用することができることです。一方で、発電効率が低いことやパネルへの日光反射で光害が発生するリスクもあります。

外壁と色味を合わせればスタイリッシュな見栄えとなりますが、まだまだ普及が進んでいない段階なので、ノウハウを持った施工業者を探し選定するには慎重な検討が必要となりそうです。

マンション・アパートに太陽光発電を設置する際の注意点

マンションやアパートに太陽光発電設備を設置することには多くのメリットがありますが、いくつかの注意点もあります。双方を考慮し、検討しましょう。

既存のマンション・アパートに導入する場合は入居者の同意が必要

既存のマンションやアパートに太陽光発電設備を導入する場合は、所有者や入居者の同意をちゃんと得ておくことが重要となります。

入居者が不安や疑念を抱かないよう、太陽光発電設備のメリットや導入の経緯を丁寧に説明し、納得を得る必要があります。特に分譲マンションの場合は、管理組合での決議が必要となります。

発電した電力を入居者全世帯に供給することは難しい

太陽光発電設備で発電した電力を建物内に入居している全世帯に均等に供給することは、技術的にも運用上も難しい場合があります。

屋上の面積によって設置できる太陽光パネルの枚数は限られているため、入居者全世帯が必要とする電力をすべて賄うことは現実的ではありません。また、太陽光の発電量は、天候や季節によって変動するため、常に安定した電力供給が保証されるわけでもありません。

そのため、発電した電力はあくまで共有部の電力供給に利用し、各世帯への供給は補助的にするなど、現実的な運用方法を検討することが重要です。

発電した電力の運用方法を考える必要がある

例えば、太陽光発電で発電した電力を自家消費するためには、発電量と消費量のバランスを適切に管理する必要があります。

日中の発電量がその時の消費電力量を上回ってしまう場合、余った電力が逆方向=太陽光発電設備から電線(系統)側へと流れる「逆潮流」が発生してしまいます。自家消費型の太陽光発電では「逆潮流」は原則不可とされているため、これは大きな問題となります。

そのため、日中の最大発電量予測値が実際の消費電力量を超えないよう、設置する太陽光パネル枚数を減らしたり、余った電力量をためておける蓄電池を併せて導入するなどの検討が必要となります。

☞逆潮流とは?詳しくはコチラ

自家消費型太陽光発電で耳にする【逆潮流】とは?仕組みと対策方法を解説

メンテナンス費用がかかる

太陽光発電設備は、初期費用だけでなくメンテナンス費用や維持費がかかります。
具体的には、定期的な点検や清掃、必要に応じた修理や機器交換などが必要となり、これらの費用を考慮することが重要です。

マンション・アパートへの太陽光発電設備導入に利用できる補助金

自治体によっては、マンションやアパートに太陽光発電設備を導入する際に利用できる補助金制度や助成金制度が用意されています。

本記事執筆時点(2024年5月)では、「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」による補助金制度が実施されています。以下に、簡単な概要をご紹介します。

対象 業務用施設・産業用施設・集合住宅・戸建住宅への自家消費型の太陽光発電設
備・蓄電池
実施期間 令和3年度~令和7年度
上限 補助対象経費の1/3

☞出典:環境省「民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業のうち、(1) ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(経済産業省連携事業)」

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いかがでしたでしょうか?

マンションやアパートに太陽光発電設備を導入することは、電気代の削減やエネルギーの自給自足を実現するだけでなく、災害時の非常用電源の確保や、建物の価値向上といったさまざまな利点があります。

しかし、太陽光発電設備の導入には、事前の準備や綿密な計画が重要です。設置条件や流れをしっかりと把握し、必要な手続きを確実に進めることで、スムーズな導入が可能となります。

今回の記事で紹介した内容を参考に、マンション・アパートへの太陽光発電の導入をぜひ検討してみてください。

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