データを読み解く!家庭部門のCO2排出量【目標と最新実績】
日本の現行の地球温暖化対策計画では、以下の目標が掲げられています。
“2030年度の温室効果ガス排出量について、2013年度比26.0%減(2005年度比25.4%減)する”
そのうち、家庭部門「住宅」では39%(約4割)削減することが求められています。
では、この目標に対して、最新のCO2排出量はどのくらい削減できているのか?
また、「住宅」の中でも特にCO2排出量が多いものは何か?
環境省より公表された最新データ「平成31年度/令和元年(2019年)確報値」などを基に、実績を確認してみましょう。
【家庭部門のCO2排出量】最新データ(2019年)の総合実績
まずは、大目標である“2013年度比で役4割の削減すること”に対する、2019年までの状況を見てみましょう。
経済産業省の「ライフスタイル分野の取組」資料では、2019年度時点で約23.3%削減したことがわかります。
排出係数の改善や、家庭での省エネへの取組みなどにより、排出量は年々減少傾向にあります。
ただし、2030年までに目標の4割削減に到達させるには、排出係数の改善以外で約14%相当の削減が必要です。これはつまり、各家庭や個人の方の省エネへの取組み参加がより重要になってくるということです。
次に、世帯当たりの調査データを見てみましょう。
家庭部門のCO2排出実態統計調査は、平成 31 年度(2019年)4月から令和2度(2020年)年3月までの12カ月間で、 13,000世帯(うち集計9,660 世帯)を対象に全国で実施されました。
このデータから、全国の総合実績を確認してみましょう。
平成31年度(2019年)の世帯当たりの年間CO2排出量は2.72トンでした。
そのうち、電気の使用に伴う排出が66.2%、都市ガスが14.7%、灯油が13.2%、LPガスが5.9%を占める結果となりました。
平成29年度(2017年)の年間CO2排出量と比較すると、0.48 t-CO2/世帯・年(15%)減少したことがわかります。また、データを詳しく見てみると、この変化の要因は、以下の3点にあると推測することができます。
①電気のCO2排出係数の改善による減少(-0.22 t-CO2/世帯・年)
②平成31年度(2019年)冬季の気温が高かったことによる減少(-0.13 t-CO2/世帯・年)
③省エネの進展や世帯構成などの属性変化による減少(-0.13 t-CO2/世帯・年)
いかがですか?
普段、少し意識して節電や節水に気をつけていると、こうした実績数値を見たときに「削減量の一部は自分の努力かもしれない」と思えて嬉しいですよね。
【家庭部門のCO2排出量】最新データ(2019年)詳細
同調査資料では、ほかにもさまざまなデータが集計されています。
それでは、次は世帯当たりの月ごとのエネルギー種別CO2排出量を見てみましょう。
上図を見てわかるように、どのエネルギーも冬季の排出量が多いです。
特に本データでは1 月が最も多く、12~2月の3カ月間の合計排出量は、年間排出量の約 34%を占めることになります。
では、どういったものにエネルギーを使用しているのかを地方別データで確認してみましょう。
寒い地方は、やはり「暖房」の使用が多いことがわかりますね。
関東甲信地方では、「照明・家電製品等」の割合が50%と半数を占めています。
実際に一般的なご家庭では、エアコン以外は照明やテレビ、冷蔵庫、電子レンジなどの家電製品によるエネルギー消費が多いと思われます。
皆さまのご家庭では、どんなエネルギーの使い方をしているでしょうか?
“何にどのくらいのエネルギーを使っているか”、家のエネルギーを見える化ができるHEMSを取り入れると便利です。詳しくは、下記記事をご覧くださいね。
【家庭レベルで実践できる省エネ】実施チェックしてみよう!
同調査では、面白い調査項目もありました。それが「省エネルギー行動の実施状況」のチェックです。
こちらに関する質問は下図のとおり全部で18問!ご自身はいくつ“実施している”項目があるか、ぜひチェックしてみてください。
いくつ実施されていましたか?
この質問にある内容は、ご家庭でも無理のない範囲で取り組める省エネ例でもあります。ぜひ参考に、実践してみてくださいね。
さて、日本のCO2削減目標をめぐっては、2021年4月に菅総理が気候変動サミットで次のように世界に発信しました。
「我が国は2030年度において温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに50%の高みに向け挑戦を続けていく」
冒頭でも記載したように、現在環境省のHPに「地球温暖化対策計画」として掲載されている資料では、2030年までの削減目標は“2013年度から26%削減”となっています。
しかし、今後より高い目標に変更されることはあるかもしれません。事実、世界の温暖化状況の歩みを緩めるためには、目標以上のCO2排出量削減が望ましいでしょう。
年々減少していることがわかった家庭のCO2排出量は、皆さま一人ひとりが意識して、少しずつ取り組んでいる確かな結果だと思います。
引き続き、環境に寄り添いながら、地球にやさしい生活を取り入れていきましょう!
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