【知っとこ!】東京2020オリンピックでの脱炭素とパリ2024での「クライメット・ポジティブ」
東京2020オリンピック・パラリンピックが閉会し、2024年にはパリ大会が開催されます。一体どんな大会になるのでしょうか?
わかっていることは、競技に「ブレイキン(ブレイクダンス)」が加わること。そして、気候変動問題に積極的に貢献する「クライメット・ポジティブ」に取り組むことです。
今回は、東京2020大会のおさらいとおこなわれていた脱炭素への取組み、そしてパリ2024大会ではどのような脱炭素への取組みがおこなわれるかをご紹介します。
【獲得メダル数は?】東京2020オリンピック・パラリンピック大会の結果
まずは東京大会を少し振り返ってみましょう。
結果、オリンピック・パラリンピックで日本はいくつのメダルを獲得したかご存じですか?
<東京2020大会での日本の獲得メダル数>
・オリンピック:58個-3位
(金27個、銀14個、銅17個)
・パラリンピック:51個-11位
(金13個、銀15個、銅23個)
オリンピックではメダル獲得数が第3位、パラリンピックでも第11位!
改めて数字で見るとすごいですね。ちなみに前回のリオ大会では、オリンピックで41個(6位)、パラリンピックで24個(64位)でした。
☞詳しくはNHK「東京2020オリンピック」サイトへ
オリンピックでは、横浜スタジアムでおこなわれた野球・ソフトボールのダブル金。パラリンピックでは、頭脳戦が楽しめたボッチャでの金メダルなどが印象的でした。
では、そんな白熱した戦いの裏で、どんな脱炭素への取組みがおこなわれていたのでしょうか。
東京2020大会でおこなわれた脱炭素:カーボンフットプリント、オフセットとは?
近年のオリンピック・パラリンピックで大きなテーマとなっているのが、“気候変動対策への取組み”です。気候変動対策として脱炭素社会の実現に向け、東京2020大会でおこなわれた取組みは大きく次の3点です。
①カーボンフットプリントを把握する
②再生可能エネルギー100%利用や省エネでCO2排出量削減・回避
③カーボンオフセットで相殺する
②の再生可能エネルギーの利用については、CMでご存じの方も多いと思いますが、ENEOSが聖火トーチに水素を共有したり、大会施設に再エネ由来の電力を供給していたことが該当します。
大会全体のCO2排出量や削減量について、結果はまだ関係省庁から公表されていませんが、大会前に目標として掲げていた「実質ゼロ」は達成できたのか。気になるところですね。
知っておきたい「カーボンフットプリント」
正しくは「Carbon Footprint of Products」と言い、直訳すると「モノの炭素の足跡」。頭文字を取って“CFP”と記されることもあります。
どういったものなのか、経済産業省によると次のように説明があります。
商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスにわかりやすく表示する仕組み
つまり、この商品(サービス)のCO2排出量はこのくらいですよ!と目に見えないCO2排出量を「見える化」してくれる仕組みです。
これを基に、企業は自社内のさまざまな商品やサービス、活動に対してどれくらいのCO2排出量が生まれているのかを知り、削減目標を立てていくことができます。
知っておきたい「カーボンオフセット」
「offset」は「埋め合わせる、相殺する」といった意味の単語です。なので、カーボンオフセットは、「炭素の埋め合わせ」という意味合いを持ちます。
これは例えば、A社が自社のCO2排出量を把握した上で、それを“実質ゼロ(=カーボンニュートラル)にしたい”とします。
しかし、削減努力をおこなってもどうしても減らせないCO2排出量がある場合に、他の場所(B)でのCO2削減量またはCO2吸収量を購入することで、A社は減らしきれなかったCO2排出量に購入した分を当て込めることで“実質ゼロ”にできるというわけです。
☞詳しくは【脱炭素かんたん用語集】記事も合わせてご覧ください
パリ2024オリンピック大会で取り組まれる「クライメット・ポジティブ」
脱炭素というテーマは、3年後のパリ大会でも引き継がれます。
国際オリンピック委員会の公式サイトによると、パリ大会では気候変動に関するパリ協定に沿って次の3つの柱が設けられているそうです。
①温室効果ガス排出量の削減
目標:大会に関連した排出量を過去の大会の50%に削減する
・パリ大会で使用される会場の95%は既存または仮設とする
・会場内のすべての活動における低炭素化の実施
・すべての会場における再生可能エネルギーの使用
②気候変動問題に貢献するプロジェクトの支援
目標:生み出されるCO2排出量以上のオフセットを行う
→オフセットの仕組みを活用し、CO2排出量の削減に繋がるさまざまなプロジェクトなどを積極的に支援することで、そのCO2削減量を大会のCO2排出量に当て込む
プロジェクト例)森林や海洋を保護・回復するプロジェクト/気候への悪影響を回避するためのプロジェクト/その他、地域に利益をもたらすプロジェクトなど
③有益な影響を長期的に最大化するための関係者たちへの働きかけ
目標:地域レベルでの気候変動対策を加速させるプラットフォーム(基盤)としての役割を果たす
→そのために、一人ひとりが自らのCO2排出量を削減できるようにするツールや方法を、まずは大会関係者に共有して広めていく
ツール例)カーボンフットプリントを削減するのを助けるアプリ『Climate Coach』の共有/スポーツイベント用にカスタマイズした『カーボンフットプリント計算機』の作成など
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いかがでしたでしょうか?
気候変動対策への3つの柱、日本大会でも①②のような内容は同様の取組みがおこなわれましたが、目標はさらに高い目標に設定されているように思います。③に関しては、先進的な取組みになりそうですね。
2021年11月2日~3日の2日間で開催されたCOP26の首脳会合では、各国の首脳級によるCO2削減目標や取組み、温暖化を1.5℃に抑えるための演説や議論がおこなわれました。
パリ協定に復帰したアメリカからはバイデン大統領も参加するなど、各国のカーボンニュートラルへの動きは今後ますます加速すると思われます。
2024年のパリ大会から積極的に取り組まれるようになる「クライメット・ポジティブ(気候変動対策)」。2015年に気候変動に関するパリ協定が採択されたこの都市で開催されるからこそ、一層意欲的に取り組まれることは間違いないでしょう。
競技はもちろんですが、この大会を通して開催都市“パリ”がどんな先進的な気候変動対策をおこなうのか、どんな結果を果たすのかにも、ぜひ注目したいですね。