太陽光発電のパワコンは10年で寿命?耐用年数や故障の原因・交換費用をまとめて解説
「太陽光発電設備を設置してから10年ほど経ったけど、機器の交換は必要なの?」
住宅などの建物の屋根に太陽光発電設備を導入された方なら、一度は考えたことがある疑問ではないでしょうか?
そこで今回は、太陽光発電設備の機器を点検・交換すべきタイミングや、交換が必要となった場合にかかると想定される費用感などをご紹介いたします。
「そろそろ10年経つかも…」と思い当たる方はぜひ参考にご覧ください!
太陽光発電設備で故障しやすい機器とは?耐用年数や寿命は何年?
皆さん、太陽光発電設備の寿命はご存じですか?
発電するための太陽電池モジュール(太陽光パネル)は、可動部がないので故障することが少なく、寿命は20年~30年と言われています。
実際に、1984年から稼働している京セラ佐倉事業所の太陽光パネルは、36年目となる2021年の時点でも劣化率は17%に留まり、今も現役で発電し続けています。稼働年数は、実に35年以上となります。
☞京セラサイト:https://www.kyocera.co.jp/solar/support/topics/sorelia/
しかし、太陽光発電設備は太陽光パネルだけでは、稼働させることができません。
太陽光パネルで創った直流の電気を、家庭で使用できる交流の電気に変換する必要があります。
この変換をおこなう機器が「パワーコンディショナ」という機器です。
「パワコン」や「インバーター(Inverter)」、「PCS(Power Conditioning System)」などとも呼ばれます。また、パワーコンディショナ自体の寿命は、多くが約10年~15年と言われています。
15年以上問題なく稼働する場合もありますが、上記期間が1つの目安となります。
パワーコンディショナが稼働しなくなり、交換が必要になった場合は、設置されている太陽光発電設備と同じメーカーの後継機種を再設置します。
太陽光発電の心臓「パワーコンディショナ」の故障に気づくタイミング
パワーコンディショナは基本的に、故障が発生してから交換される方が多いです。
では、設置されている方はどのように“故障している”ことに気づくのでしょうか?
当社にお問い合わせいただいた際にお客さまから伺う理由として多いのは、次の3つとなります。
・発電量が極端に減った
・エラーコードが表示されている
・パワーコンディショナの表示が消えている
また、故障の原因は、経年劣化以外にも大雨や台風といった自然災害が原因となる場合もあります。大きな自然災害が発生した後は、機器本体や配線などを一度チェックするといいかもしれません。
あるいは、故障ではなく“機器や周辺設備の不具合”の可能性もあり得ます。その場合、点検させていただいた際に復旧することができれば、交換は不要な場合もあります。
上記のようなエラーや、設置してから10年目などに該当される方は、耐用年数(寿命)の可能性が高くなりますので、設置した工事会社などに一度ご相談されることをおすすめします。
パワーコンディショナの劣化の原因
パワーコンディショナが劣化する原因として、以下のようなことが挙げられます。
経年劣化
パワーコンディショナは時間の経過と共に自然と劣化します。内部の電子部品やコンデンサ、半導体などが老朽化することで性能が低下し、最終的には故障につながることがあります。
定期的な交換やメンテナンスが必要になる理由は、この経年劣化が進行することにより性能が保てなくなるためです。
自然災害による機器の故障
台風、雷、洪水などの自然災害もパワーコンディショナの故障原因となり得ます。
特に雷は、直撃または誘導雷によって高電圧が発生し、パワーコンディショナ内の電子回路を破壊することがあります。そのほか、洪水による水没も内部の電子部品に致命的なダメージを与えることがあります。
機器や周辺設備の不具合
パワーコンディショナ自体の製造不良や設計ミス、または接続されている太陽光パネルや配線の不具合も、パワーコンディショナの劣化や故障を引き起こすことがあります。
これらの不具合は、機器の性能を低下させ、予期せぬトラブルにつながることがあります。
保守点検を怠っていた
定期的な保守点検を怠ると、小さな問題が大きな故障に発展することがあります。
特に、パワーコンディショナは複雑な電子機器であり、定期的な点検とメンテナンスが重要です。点検を怠ると、劣化や小さな異常が見逃され、長期的な性能低下や故障に繋がる可能性があります。
塩害の影響
海岸近くや塩分濃度が高い地域で使用されるパワーコンディショナは、塩害の影響を受けやすいです。塩分が機器内部に侵入し、金属部品の腐食を促進することで、故障や性能低下を引き起こす可能性があります。
そのため、塩害対策に特化した防水性や防錆性の高い製品なども販売されています。
高温多湿の環境
高温多湿の環境下での運用は、パワーコンディショナの劣化を加速させます。
高温は電子部品の寿命を縮め、湿度の高い環境では、機器内部に結露が発生しやすく、電子回路のショートや腐食を引き起こす可能性があります。
このような高温多湿の条件下では、パワーコンディショナを設置する前に、設置場所の気温や湿度などを専門業者に調べてもらうことが推奨されます。
パワーコンディショナを交換する場合の交換費用とは?
太陽光発電に必須の機器であるパワーコンディショナは、故障が発生してしまったら交換が必要となります。機器を交換する場合、かかる費用感は次の通りです。
・交換用のパワーコンディショナ代(メーカーにより異なる)+工事費(約10~15万円程度)
※選定したパワーコンディショナや現場状況、機器設置位置により機器費・工事費は異なります。
また、後継機種のパワーコンディショナに変更する場合は、発電量などを確認するためのモニターも新しくしなければならない場合もあります。そのため、ご相談いただいた際には周辺機器についても確認が必要です。
そして、実際の交換工事までの流れについては、次のように実施されます。
・現地調査(機器位置の確認)→ご契約→機器交換・設置工事(1日)
※世界的な半導体不足により、納期に時間を要する可能性があります。
パワーコンディショナを交換せずに使い続けるとどうなる?
パワーコンディショナは、長く使い続けると変換効率が落ちていきます。変換効率の低下は、直流から交流への電力変換過程で、エネルギーの損失が増えることを意味します。
そのため、結果として太陽光発電システムによって生成される電力量に対して、実際に利用可能な電力量が減少し、全体の発電量が低下します。
特にエネルギー需要が高い時期においては、供給能力の不足を引き起こす可能性があります。また、発電量が減少するということは売電収入が減るため、投資の回収期間が延長される原因ともなり得ます。
パワーコンディショナを交換するメリット
パワーコンディショナを適切な時期に交換せずに使い続けることのリスクがわかったところで、具体的なパワーコンディショナを交換するメリットを見てみましょう。
故障した箇所の部品交換や修理を繰り返すより安く済む
パワーコンディショナの故障が頻発するようになると、部品交換や修理にかかる費用が積み重なり、結局は新しい機器を購入するコストと同等かそれ以上になる場合があります。
部品の老朽化や故障が繰り返されると、それらを修理し続けることは経済的に非効率です。
一方で、新しいパワーコンディショナに交換することで、継続的な修理費用や稼働停止による損失を抑えることが可能になり、長期的なコストパフォーマンスを向上させることができます。
最新モデルのパワコンにすることで性能が良くなる
技術の進歩により、新しいパワーコンディショナは旧モデルに比べて変換効率が高く、さらに高機能になっています。
最新モデルに交換することで、発電システム全体の効率が向上し、エネルギーの損失が減少します。
メーカー保証を新たに受けられる
新品のパワーコンディショナを購入すると、通常、メーカー保証が提供されます。これにより、購入後一定期間内に故障や不具合が発生した場合、無償修理や交換のサポートを受けることができます。
旧モデルのパワーコンディショナを使い続けると、保証期間が終了していることが多く、修理や交換に必要な費用は全て自己負担となります。
しかし、新しいモデルに交換することで、新たな保証期間が設定され、リスクを最小限に抑えることができます。
パワーコンディショナを交換する際の注意とポイント
パワーコンディショナの交換が必要となった場合には、次の2点についてチェックしておきましょう。
①既存機器が古い場合
太陽光発電設備を設置してから長い年数が経過していると、同型のものがもう廃番となっている可能性があります。その場合は、設置している太陽電池パネルと接続することが可能な後継機種のパワーコンディショナを選定する必要があります。
②機器の保証年数をチェック
保証内容はメーカーによって異なります。基本的には「10年保証」または「15年保証」となっています。故障した場合には、一度保証書をご確認ください。
パワコンを交換する機会に!検討したい「家庭用蓄電池」
近年は特に、地震や台風などの自然災害による突然の停電が起こる可能性が高まっています。春や秋ならいいですが、夏や冬の時期に数日間停電してしまったら。エアコンが使えない状況を想像すると、対策しておきたい方も多いと思います。
そこで、滅多にない太陽光発電設備全体の見直しをするこのタイミングに、今後のことも考えて検討したいのが「家庭用蓄電池」です。今回は簡単に、蓄電池の大まかな種別をご紹介します。
①太陽光発電設備がある場合は「単機能型」
既存の太陽光発電設備がまだ問題なく稼働する場合は、「単機能型」がおすすめです。
家庭用蓄電池本体と蓄電池用のパワーコンディショナを、太陽光発電用のパワーコンディショナとは別に設置する形になります。この場合、機器同士の互換性をあまり考える必要がありません。
また、機器費用も抑えやすくなります。ちなみに当社では、太陽光発電用のパワーコンディショナが故障してしまった場合は、交換用として比較的安価なオムロン製をおすすめすることが多いです。
②変換効率重視の場合は「ハイブリッド型」
太陽光パネルで発電された直流の電気を交流の電気に変換をすることで、電気はいくらかロスしてしまうのですが、「ハイブリッド型」だと太陽光発電用と蓄電池用のパワーコンディショナが1台にまとまっているため、変換ロスが小さく済みます。
そのため、電気をなるべくムダなく有効活用したい場合は、ハイブリッド型がおすすめです。
ただし、「ハイブリッド型」はパワーコンディショナの機能と蓄電池の機能を併せ持つタイプなので、既存の太陽光発電設備との互換性はよく検討しましょう。
☞家庭用蓄電池の選定方法については、下記記事もご参考ください!
実際に設置されている件数が多い家庭用蓄電池はどのメーカー?
現在、当社の家庭用蓄電池の設置工事は、9割以上をテスラパワーウォールが占めております。
テスラ社の家庭用蓄電池「パワーウォール(Powerwall)」は、単機能型の蓄電池です。そのため、太陽光発電設備をすでに設置されているお客さまでも、簡単に後付け設置することができます。
また、ハイブリッド型の蓄電池と比べて、テスラパワーウォール+太陽光発電用パワーコンディショナセットの費用の方が安くご提案できることが多いので、パワーコンディショナも併せて交換したい方にもおすすめです。
“13.5kwh”という大容量の家庭用蓄電池であるテスラパワーウォールは、他社の同等容量の家庭用蓄電池と比較しても圧倒的な低価格です。パワーコンディショナ単体での交換+テスラパワーウォール導入でのご契約でも、同容量の他の家庭用蓄電池よりお安くご提案ができるかと思います。
気になった方は、ぜひ一度ご相談ください。
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いかがでしたでしょうか?
設備機器の点検や交換は、長く使っていくためにもぜひ一度ご検討くださいね。
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