【脱炭素×SDGs】密接に関係するカーボンニュートラルと経済を徹底解説!
2021年11月2日、岸田総理は、グラスゴーで開催されたCOP26の首脳級会合(リーダーズ・サミット)で、初めて国際的な場で次のことを宣言しました。
「2050年カーボンニュートラル」。日本は、これを、新たに策定した長期戦略の下、実現してまいります。2030年度に、温室効果ガスを、2013年度比で46パーセント削減することを目指し、さらに、50パーセントの高みに向け挑戦を続けていくことをお約束いたします。
2021年のCOP26では、日本以外にもインドなどの温室効果ガス(GHG)排出が多い国々が“ネットゼロ(実質ゼロ)”を目標とすることを宣言したり、多くの途上国でも“カーボンニュートラル”実現への目標が宣言されました。
このように、脱炭素化への宣言は今や日本だけでなく世界各国で発表されています。
ではなぜ、カーボンニュートラルは2050年までの目標とされたのか?
なぜ、脱炭素化は経済へ繋がるのか?世界の状況と流れから見ていきましょう。
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<目次>
2050年までの「カーボンニュートラル・脱炭素化」を目指すワケ
ESG投資対策の取り組みに太陽光発電が選ばれるワケ
脱炭素化に向けて:大手企業のサプライチェーン全体に求められる「RE100」
ESG投資の指標となる「SDGs」は多くの企業で目標に
脱炭素という課題に取り組むための具体的な方法とは?
2050年までの「カーボンニュートラル・脱炭素化」を目指すワケ
脱炭素化をわかりやすく、日本政府やCOP21、企業が2050年までを目標の目安にしている理由を数字から考えてみたいと思います。果たして、2050年までに地球に何がおきるのでしょうか?
人口は、2019年時点で約77億人だったものが、2050年までには約98億人まで増加すると推測されています。
この通り人口が増加した場合、今の地球のおよそ2個分の水やエネルギー、食料が必要になってきます。つまり、環境破壊や温暖化で食物などの供給率は低下が進む中、需要は倍になってしまう形になります。
この、世界規模の“人類が存続できるかどうかの危機”に警鐘を鳴らしたのが、国連のコフィー・アナン事務総長です。
アナン事務総長は、SDGsの前章であるMDGs(ミレミアム開発目標)を掲げ、この中で初めてPRI(責任投資原則)を提唱し、財務指標のみならずESGの観点から投資をすることが必要だと説きました。
脱炭素と合わせて知っておきたい「ESG投資」とは?
脱炭素化やカーボンニュートラルを目指す企業について調べると、よく目にするのが「ESG投資」ですね。
・「Environment(環境)」:地球温暖化対策、CO2排出量削減、廃棄物の管理
・「Social(社会)」:地域社会への責任、従業員の健康衛生、製品等の安全管理
・「Governance(統治)」:監査役の構成、汚職の防止、情報開示を指します。
機関投資家は、このESGを考慮することが社会的責任として必要であり、非財務情報の投資評価の基準のひとつとして取り入れられたことは、歴史的瞬間でした。
(参考:経済産業省「ESG投資」)
この転機は、やはり2008年のリーマンショックに起因していると思います。
それまでは短期的な相場変動や事業環境に目が向いていましたが、ESG投資では長期的かつ持続的な投資パフォーマンスを期待するものになりました。
このような、持続的な社会を実現できるものに投資をする必要があると本当の意味で気がついたのは、リーマンショックの反省からきたのだと思います。
投資家がこのESGを基準に投資をしていくわけですから、企業にとっては死活問題です。企業にとっては、お金が集まらなければ事業を行っていくことができないのは、周知の事実だからです。
こうした世界の流れから、企業にとって「カーボンニュートラル・脱炭素化」を目指すことは経営戦略としても必要不可欠になっていきました。
ESG投資対策の取り組みに太陽光発電が選ばれるワケ
多くの企業が「脱炭素化」を目指す方法のひとつとして選んでいるのが、「自家消費型太陽光発電設備の導入」です。その理由は、多くの企業が投資家から選ばれるためには、ESGの中でも特に環境対策が重要だと認識しているからです。
企業が脱炭素化を達成するための環境対策としてできることは、以下のどちらかです。
①環境価値を「購入する」
②自社で創る
脱炭素化とはつまり、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることなので、どうしてもCO2を極力排出しない形でエネルギーを賄う必要があります。そこで、この2択のうち②自社で創る方法として「自家消費型太陽光発電設備の導入」が選択されているというわけですね。
脱炭素と合わせて知っておきたい「RE100」とは?
太陽光発電=再生可能エネルギーが選ばれている理由には「RE100」も関係しています。この「RE100」という国際イニシアティブが最近話題になっていることは、皆さまご存じかと思います。
RE100は、「Renewable Energy 100%」の略称で、企業で使用する電気を100%再生可能エネルギーに換え、事業運営を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目標としています。
2021年4月27日時点で、加盟企業は308社、日本企業も53社と増えつつあります。RE100に加盟し、RE100を達成することは、投資家から選ばれる企業となるひとつの手段として続々と世界の有名企業が参加しているのです。
ちなみに、最近加盟した日本企業には、日清食品ホールディングス株式会社や株式会社セブン&アイ・ホールディングス、東急建設株式会社など。
有名企業ほど、こうした取組みへの参加は必須になってくる時代となってきたことがわかりますね。
脱炭素化に向けて:大手企業のサプライチェーン全体に求められる「RE100」
RE100加盟企業のひとつの要件として、年間100 GWhより大きなエネルギーを使用していることが挙げられます。
2019年時点で日本で加盟していた企業19 社の国内電力消費量は、約13TWh で日本の総電力消費量の約1.4%を占めます。
これは、中小企業ではありえないくらい大きな電力消費量のため、中小企業にはRE100は関係ないと思う方もいるかもしれませんが、実はこの脱炭素化の動きは、今やサプライチェーン全体に及んでいます。
過去にニュースで報道もされていますが、例えば、Apple向け製品の生産を行っている国内の「イビデン」は、RE100に加盟しているApple向け製品の生産ラインを再生可能エネルギー100%に切り替えました。
RE100の要求は、大手企業だけではなく、「スコープ3」と呼ばれる仕入れ先や物流会社にも及んでいるのです。
また、自動車産業にもこの流れは影響を及ぼし、ドイツの「ダイムラー社」が全ての乗用車ポートフォリオを、2039年までにカーボンニュートラルにすることを発表したり、ボルボが中国の工場で再生可能エネルギー100%を達成しています。自動車産業は本当に裾野が広く、経済活動全体の価値が180度変わる瞬間がやってきたと思います。
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ESG投資の指標となる「SDGs」は多くの企業で目標に
「RE100」と同様に、投資家がESG投資をおこなうための指標のひとつとされるのが「SDGs」です。
SDGsは、冒頭でお話したアナン事務総長が唱えたMDGsの後継にあたり、持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成されたもので、2030年までの国際的な目標とされています。
また、17のゴールには、ESG投資の重要ポイントとなる環境対策について立てられた目標も盛り込まれています。その多くが、地球温暖化抑制や脱炭素化を進めるための内容です。
このSDGsが標準フレームワークとして、中長期企業価値の評価基準となっています。
例えば、先ほどESG投資の環境対策で出てきた「自家消費型太陽光発電設備の導入」は、SDGs目標7の「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」に該当します。
このように、SDGs目標と実践する対策を関連付けられることによって、その企業がどういった形で環境対策をしているのかがよりわかりやすくなるため、ESG投資の指標として活用されています。
カーボンニュートラルを目指す脱炭素経営は、今や投資を受けるために企業としても必須の目標となっています。そのため企業は、投資先が判断しやすいアピール方法として、RE100やSDGs目標といった国際指標をうまく取り入れ、対応することが求められているのです。
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脱炭素という課題に取り組むための具体的な方法とは?
企業が脱炭素に取り組むには、節電や高効率機器を導入することで省エネをする方法などもありますが、それだけではなかなか高い目標の達成は果たせません。
そこで、これまでご紹介してきた内容のおさらいも含め、脱炭素に取り組むためのおすすめの方法を3つ挙げます。これらの方法は、企業だけでなく一般住宅にも適用できるので、あわせてぜひご検討ください。
①創エネができる「太陽光発電設備」の導入
先ほどもお話したように多くの企業が脱炭素化を目指す方法のひとつとして選んでいるのが、「太陽光発電設備の導入」です。
CO2を極力排出しない形でエネルギーを賄う必要があるため、比較的手軽に導入できる再生可能エネルギーである太陽光発電システムは効果的と言えます。
そのため、現在、屋上や工場屋根が空いている場合は、創エネができる太陽光発電設備の設置をおすすめします。
太陽光発電は、太陽光さえあればCO2フリーの再生可能エネルギーを生み出すことができ、発電した電気を自家消費をすることで、脱炭素化を進めることができます。
②太陽光発電の電気を有効利用!蓄電池の導入
太陽光発電設備は太陽光がないと発電しないため、どうしても天気が悪い日や、太陽が出ていない早朝・夜間は発電することができません。これでは、再生可能エネルギーの電気を有効活用できないため、最近では蓄電池をあわせて導入するケースが増えています。
企業はBCP対策として、住宅では災害による停電対策にと、それぞれ近年多発している自然災害などに備えることを目的に選ばれるようになってきています。
蓄電池を導入すると、太陽光で発電して余った電気を貯めておくことができます。ためた電気は太陽光が発電しない夜間に使ったり、夜間が安い時間帯別の電気料金プランで契約している場合は、昼間に使ったりすることもできます。
このように、蓄電池を導入することで、工場や自宅の負荷に応じて再生可能エネルギーの電気を好きなタイミングで使用することができます。
当社では、住宅用はテスラ社の家庭用蓄電池「パワーウォール(Powewall)」の設置をおすすめしています。
13.5kWhと大容量で性能も優れていて、価格も比較的安価なテスラパワーウォ―ルは、停電時にも80A以下のご自宅であれば、家の電気をまるごとバックアップすることができます。
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いかがでしたでしょうか?
全世界で取り組まなければならない環境問題があり、そのために「カーボンニュートラル・脱炭素化」が求められ、企業にも促進してもらうため「ESG投資」という投資基準が設けられました。
そして、この「ESG投資」の判断基準として今「RE100」や「SDGs」に沿った目標設定が企業には求められているというわけですね。
今後はRE100やSDGsの考え方を実際のビジネス上で活かし、サービスを提供する会社が、投資市場から選ばれるということをご理解いただけたかと思います。
当社は、太陽光発電の普及を通じて、温室効果ガスを減らす(CO2削減)と同時に、再生可能エネルギーの供給量を増やすことで、この世界規模の問題解決に尽力できると考えています。
脱炭素ソリューションについてご相談などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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