政府発表の「節電ポイント」とは?仕組みと参加方法/おすすめ節電方法7選も
2023年5月16日:最新情報に更新
今年、問題になっているのが電力不足。
地球温暖化の影響もあり、猛暑日が続いた夏はエアコンを使用する機会が増えたご家庭も多かったと思います。しかし、この電力不足は今冬も大きな懸念事項となっています。この電力不足への対策として、政府は家庭で省エネを促すための「節電ポイント」という制度を設けました。
そこで今回は、「節電ポイント」とは何かを解説し、併せて今からすぐ実践できる効果の高いおすすめの節電方法もご紹介していきます。
目次
1.政府が進める「節電ポイント」とは?仕組みや参加方法
1-1.「節電ポイント」概要とスケジュール
1-2.節電プログラムの参加特典を得る方法 (終了)
1-3.節電プログラムの節電達成特典を得る方法 (終了)
1-4.「節電ポイント」参加方法や対象小売電力会社
2.新たに始まる「電気・ガス価格激変緩和対策事業費補助金」
3.そもそも節電だけでどれくらい電気代は削減できるの?
4.電気代削減効果が大きいおすすめの節電方法7選
政府が進める「節電ポイント」とは?仕組みや参加方法
申し込むだけでもらえる分も?「節電ポイント」概要とスケジュール
政府が進めている「節電ポイント」とはどのような制度なのでしょうか。
【節電プログラムの仕組み】
経済産業省の萩生田氏が2022年6月28日の閣議後記者会見で述べた内容によると、節電ポイント制度というのは「電力会社の節電プログラムに参加して節電した家庭に、幅広く使用できるようなポイントを付与する支援制度」になります。
つまり、需要家である一般家庭や企業は、政府に認定された小売電力会社の節電プログラムに参加を表明することで、今回の参加に対するポイント付与を受けられるということです。
【今後のスケジュール】
2022年10月11日、小売電力会社向け説明会にて、経済産業省資源エネルギー庁より追加で「節電達成特典」に関する詳細スケジュールが発表されました。
そこで、これまでわかっていた「節電プログラム促進事業」の概要と新しく発表されたスケジュールをまとめて、上図と下記の通りまとめ直しました。
【節電プログラムの参加特典を得る方法】1/31受付終了
需要家(一般家庭や企業)は、国の審査を通過した認定小売電力会社の「節電プログラム」へ受付期間内に参加登録し表明をおこなうことで、参加に対する一律ポイントを得ることができる
※実際には節電できなかった場合でも、参加に対するポイントは付与される
節電プログラム参加に対するポイント
・一般家庭:一律2,000円相当
・企業:1法人当たり20万円相当
(2023年1月~2月末までに付与予定)
☞付与されるポイントは、TポイントやAmazonギフト券など他社のサービスに交換し利用できるものや、電気代の支払いに使えるものなど
【節電達成特典を得る方法】終了
この冬の節電キャンペーン期間に以下2パターンどちらかの方法で指定の節電量を達成した需要家は、プラスでポイントなどがもらえる
上図の通り、「月間型」か「指定時型」かで対象期間も少し異なります。
一般家庭のような低圧の需要家の場合は、「月間型」の方が達成目標もわかりやすいのでおすすめかもしれません。「指定時型」の比較対象となる“ベースライン”については、各小売電力会社によって算出方法が異なる可能性があるので、参加先の小売電力会社をご確認ください。
※上図の付与額はあくまで国の上限額なので、小売電力会社によって特典額(ポイント)は上下する可能性があります。
いずれにしても、需要家である一般家庭や企業は、8月4日以降に国から認定された小売電力会社の節電プログラムに参加を申し込む必要があるということですね。
ただし、国から認定されている小売電力会社かは確認するようにしましょう。
Tips:なぜキャンペーンは冬?
今回の節電プログラムの目的が、冬の“電力不足(ひっ迫)”と“電気代高騰”への対策だからです。
特に、電力不足は夏よりも冬の方が深刻化すると見通されています。そのため、この事業により需要家が節電への意識を高めることを狙っています。
☞「電力ひっ迫」はなぜ起こる?
「節電ポイント」参加方法や対象小売電力会社
※現在、「冬の節電プログラム」への参加受付は終了しています。
詳しくは、節電プログラム専用サイトにて下図のように一覧形式で確認することができます。
本サイトでは、どの電力小売会社が「参加特典」や「節電達成特典」を実施しているか、申込みを受け付けしているかなどもわかるので、ぜひご覧になってみてください。
また、節電プログラムの参加方法は小売電力会社によって異なります。節電ポイントの付与方法についても、“ポイントを付与する”か、“電気料金から値引きする”かなどは各小売電力会社に一任されているようなので、契約先の小売電気事業者がどのような参加方法・付与内容をするのか確認が必要です。
現在、元々独自の節電ポイント制度を導入している以下のような一部の小売電力会社では、すでに需要家からの政府の節電プログラム「電気利用効率化促進対策事業」への参加申し込みを受け付けているところも出てきています。
【節電プログラム実施の電力会社一例】
電力会社名 | 節電ポイント制度名 | 節電ポイント制度の概要 |
東京電力エナジーパートナー | TEPCO 省エネプログラム2022 | ・「節電チャレンジ2022」申込み+冬季期間もチャレンジ参加で「くらしTEPCOポイント2,000ポイント」を付与 ・「節電チャレンジ2022」参加+需給契約の需要場所が都内だと500円相当の特典を付与 |
中部電力ミライズ | 冬の節電プログラム | ・「ネイチャージ」参加+「節電促進事業」の参加条件に同意して節電アクションの実施で「カテエネポイント2,000P」付与 ・2種類のメール通知に合った行動をすると節電量に応じた「カテエネポイント」を付与 |
関西電力株式会社 | 冬の節電プロジェクト2022 | ・プロジェクト参加+国の節電プログラム促進事業の参加条件を満たしたら「はぴeポイント2,000円相当」を付与 ・指定時間に節電を実施する「指定時型」と、月間の電気ご使用量を節電する「月間型」の2種類のプロジェクトを展開 |
ソフトバンクでんき | 節電チャレンジ | ・ソフトバンクでんきユーザー専用アプリ「エコ電気」ダウンロード+冬の節電チャレンジ参加表明で「PayPayポイント2,000円相当」付与 ・同アプリで月2~4回程度配信される節電チャレンジに参加し、節電に成功するとポイントを付与 |
このような節電ポイント制度は、私たちの節電への意識を高めるきっかけになりそうですね。
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新たに始まる「電気・ガス価格激変緩和対策事業費補助金」
この一年で、家庭向け電気料金は約2割上昇、企業向け電気料金は約3割上昇しています。この家計を直撃する電気代高騰に対し、政府は10月28日に総合経済対策にて「電気・ガス価格激変緩和対策事業費補助金」について閣議決定しました。
これにより、2023年2月からそれぞれの以下の通り割引するように小売電気事業者に補助金を出すことになります。
【補助対象と補助金額】
・低圧契約の家庭等:−7円/1kWh
・高圧契約の企業等:−3.5円/1kWh
※特別高圧需要家は対象外
※2023年10月検針分のみ各単価は半額
【補助期間】
2023年2月検針分~2023年10月検針分まで
(2023年1月使用分~2023年9月使用分まで)
本支援策による単価の値引きは、補助事業に参加している小売電気事業者にのみ適用されます。適用小売電力会社と契約されているお客さまの明細(検針票)には、「政府の支援で使用量×〇〇円が値引きされています」といった旨の記載が義務化されています。
また、今回の措置に関しては、経済産業省資源エネルギー庁が小売電気事業者向けに10月31日に開催した説明会「電気・ガス料金の激変緩和措置について」の資料に下記のような記載がありました。
<エネルギー・食料品等の価格高騰により厳しい状況にある生活者・事業者への支援>
来春以降の急激な電気料金の上昇によって影響を受ける家計や価格転嫁の困難な企業の負担を直接的に軽減するため、来年度前半にかけて、小売電気事業者等を通じ、毎月の請求書に直接反映するような形で、前例のない、思い切った負担緩和対策を講ずる。
家庭に対しては、来年度初頭にも想定される電気料金の上昇による平均的な料金引上げ額を実質的に肩代わりする額を支援し、企業より手厚い支援とする。
(新たな「総合経済対策」より抜粋)
円安などで物価・エネルギー高騰が止まらない今、電気代の割引も実施されるのは家計に嬉しい措置ですね。一方で、エネルギーのほとんどを化石燃料に頼っている現在の日本のエネルギー構造を見直し、改善していくことが今後の課題となるようです。
これからは個人でも、自分で使うエネルギーは自分で作り、なるべく電力会社から買う電気に左右されない生活を送ることができるよう準備を進めていきたいですね。
☞電力会社から電気を買わない日も?実際の様子をインタビュー!
そもそも節電だけでどれくらい電気代は削減できるの?
そもそも、節電するだけでどのくらいの電気代を削減できるのでしょうか?
夏冬は特に使う機会の多いエアコンを例に見てみましょう。
経済産業省資源エネルギー庁が運営している「省エネポータルサイト」では、夏と冬に実践できるエアコンの節電方法2つと、その電気代削減の効果例を以下のように示しています。
夏の節電方法 | 年間の省エネ量 | 削減できる電気代 |
冷やしすぎに注意し、無理のない範囲で室内温度を上げる | 30.24kWh(※1) | 約820円/年間(※1) |
冷房は必要なときだけつける | 18.78kWh(※2) | 約510円/年間(※2) |
冬の節電方法 | 年間の省エネ量 | 削減できる電気代 |
冬の暖房時の室温は20℃を目安に | 53.08kWh(※3) | 約1,650円/年間(※3) |
暖房は必要なときだけつける | 40.73kWh(※4) | 約1,260円/年間(※4) |
(「空調 | 無理のない省エネ節約 | 家庭向け省エネ関連情報 | 省エネポータルサイト」を元に作表)
※1. 外の気温が31度のとき、エアコン(2.2kW)の設定温度を27度から28度に上げた場合(使用時間:9時間/日)
※2. エアコンの設定温度を28度にし、使用時間を1日1時間短縮した場合
※3. 外気温度6℃の時、エアコン(2.2kW)の暖房設定温度を21℃から20℃にした場合(使用時間:9時間/日)
※4. 暖房を1日1時間短縮した場合(設定温度:20℃)
エアコンの設定温度をたった1度変えたり、使用時間を1時間短くしたりしただけでも、夏なら年間で500円~800円の節約に。そして、冬なら1,000円以上の節約になることがわかりますね。毎日意識して続ければ、電気代も大きく削減できそうです。
とはいえ、近年の猛暑や厳冬を前にエアコンの使用を控えることは現実的ではありません。そうなると、私たちがこれからの時期に実践する節電方法は、エアコン以外の家電で実現するのが望ましいですね。
次の章では、エアコン以外で実践できる夏・冬におすすめの節電方法をご紹介しましょう。
電気代削減効果が大きいおすすめの節電方法7選
エアコン以外でなるべく高い電気代削減効果を狙える家電と、その節電方法を7つご紹介します。
「省エネポータルサイト」で数多く紹介されている節電方法の中から簡単に実践できるもので、次の2点にも当てはまる方法をピックアップしました。
①日常生活で無理なく実践できる
②電気代削減効果が高い
また、それぞれの節電効果の根拠は、省エネポータルサイトの「省エネ効果の算出根拠」で説明されているので、併せてご覧になってみてください。
1. 電気ポットを長時間使わないときはプラグを抜く:約2,900円の節約/年間
1つ目の節電方法は、電気ポットを長時間使わないときはプラグを抜くことです。
「省エネポータルサイト」では、沸騰させた2.2リットルの水を1.2リットル使った後、電気ポットを6時間保温にした場合と、プラグを抜いて再沸騰させた場合の節電効果が比較されています。
プラグを抜いた場合、年間で約107.45kWhの省エネとなり、約2,900円の電気代を削減できることが示されています。
「それだけ?」と思うかもしれませんが、実際のところ電気ポットのプラグは差しっぱなしになりがちですよね。これを抜いておくだけでも大きな節電効果になるとは驚きです。
2. 照明を電球形LEDランプに取り替える:約2,430円の節約/年間
2つ目の節電方法は、照明を電球形LEDランプに取り替えることです。
「省エネポータルサイト」によると、54Wの白熱電球から9Wの電球形LEDランプに取り換え、年間2,000時間使うことを想定すると90.00kWhの省エネとなり、約2,430円の電気代を削減できると示されています。
3. 照明を電球形蛍光ランプに取り換える:約2,270円の節約/年間
3つ目の節電方法は、先ほどの2のLEDランプに取り換えると似ていますが、照明を電球形蛍光ランプに交換することです。
「省エネポータルサイト」によると、54Wの白熱電球から12Wの電球形蛍光ランプに取り換え、年間2,000時間使うことを想定すると84.00kWhの省エネとなり、約2,270円の電気代を減らせるようです。
LEDは高温に弱い、価格が高いというデメリットもあります。そのため、場所によっては蛍光ランプの方が適しているでしょう。前述した電球型LEDランプとうまく使い分けると、より高い電気代削減効果を得られそうですね。
4. 冷蔵庫の設定温度を「中」にする:約1,670円の節約/年間
4つ目の節電方法は、冷蔵庫の設定温度を「中」にすることです。
「省エネポータルサイト」によると、周囲温度を22度と想定した場合、設定温度を「強」から「中」にすると年間で61.72kWhの省エネとなり、約1,670円の電気代を減らせるようです。
ただし、夏は特に食品の痛みには注意しましょう。次の5つ目と併せて実践できるとより効果的ですね。
5. 冷蔵庫にものを詰め込みすぎない:約1,180円の節約/年間
5つ目の節電方法は、冷蔵庫にものを詰め込みすぎないことです。
「省エネポータルサイト」では、冷蔵庫のものを詰め込んだ場合と、ものを半分にした場合との比較の節電効果が比較されています。ものを半分にすると、年間で43.84kWhの省エネとなり、約1,180円の電気代を減らせるようです。
6. 温水洗浄便座を使わないときはフタを閉める:約940円の節約/年間
6つ目の節電方法は、温水洗浄便座を使わないときはフタを閉めることです。
「省エネポータルサイト」では、フタを開けっ放しの場合と、閉めた場合との比較の節電効果が比較されています。フタを閉めると、年間で34.90kWhの省エネとなり、約940円の電気代を減らせるようです。
また、一年を通して機能を稼働させっぱなしにしていませんか?夏の時期はオフにすることもおすすめです。あるいは、タイマー機能や節電モードが搭載されているものなら、それらの機能をうまく利用しましょう。
7. パソコン(デスクトップ型)を使わないときは電源を切る:約850円の節約/年間
7つ目の節電方法は、デスクトップ型パソコンを使わないときは電源を切ることです。
「省エネポータルサイト」によると、デスクトップ型パソコンの使用時間を1日1時間短縮すると年間で31.57kWhの省エネとなり、約850円の電気代を減らせると示されています。
在宅勤務や仕事柄テレワークだったりして、ご自宅にデスクトップ型のパソコンがある場合は、1時間以上席を離れるときは電源を切ると良さそうですね。
無理のない範囲で効果的な節電方法を実践してみよう
今回は節電ポイントの概要と、実践しやすいおすすめの節電方法を7つご紹介しました。
電気代は年々値上がりし、夏や冬は電力ひっ迫で停電なども予想されています。今年は、この記事で紹介した節電方法を参考に実践できそうなことから始め、電力不足対策に少しでも貢献したいですね。
「もっと節電ができれば…」
「長い目で見て高い節電効果を出したい」
「今後実施されるかもしれない計画停電に備えて対策を考えたい」
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