アースオーバーシュートデーとは【2023年は8月2日】日本は何日?
地球の資源が足りなくなっている?
ニュースや教科書などで見聞きしたことのあるフレーズかと思います。食品ロスや衣服ロス、近年話題のさまざまな資源の使い過ぎ問題は、しかし“何万トン”など数量を聞いてもいまいちピンとこないのも事実です。
では、実際にどれくらい地球の資源は過剰消費されているのか?今回は、今の地球の資源問題を可視化する指標の1つ「アースオーバーシュートデー」についてご紹介します。
「アースオーバーシュートデー」とは?
英語では 「Earth Overshoot Day」。オーバーシュートとは、“目標となる地点を行き過ぎること/適正値などを超過すること”という意味があります。(デジタル大辞泉参照)
つまりこの日付は、「地球上の自然の再生能力で生まれる1年分の資源を人間が消費し尽くす日」のことを指します。そのため、アースオーバーシュートデーとなる日付が“12月31日”に近いほど地球の持続可能性は高いと言うことができ、“1月1日”に近ければ持続可能性は低い=資源を使い過ぎているということになります。
この日付の算定は毎年、国際環境シンクタンクである「グローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)」により国連の統計資料などを参考におこなわれます。計算式は以下の通りです。
アースオーバーシュートデー
=(バイオキャパシティ/エコロジカル・フットプリント)*365
・バイオキャパシティ:1年間に地球の生態系から供給される生物資源
・エコロジカル・フットプリント:人間の使用(消費)量
2023年のアースオーバーシュートデーは8月2日
2023年のアースオーバーシュートデーは「8月2日」となりました。
2022年の日付は「7月28日」だったので、今年は5日分の消費超過を抑えられ、持続可能性が高まったということですね。しかし、それでもまだ私たちは“地球 約1.75個分”の生活をしています。
また、この日付は世界全体の平均となります。日本だけで見たとき、アースオーバーシュートデーの日付はどうなるのか?さらに詳しく見てみましょう。
国別のアースオーバーシュートデー
国名 | 2022年 | 2023年 |
カタール | 2/10 | 2/10 |
アメリカ | 3/13 | 3/13 |
日本 | 5/6 | 5/6 |
エクアドル | 12/6 | 12/6 |
ジャマイカ | 12/20 | 12/20 |
上表の通り、2022年と2023年では各国のアースオーバーシュートデーに大きな差異はありませんでした。ちなみに、最も資源を使い過ぎている国は2月10日でカタール。逆に最も資源の消費を抑えられている国はジャマイカとなりました。
そして日本は「5月6日」がアースオーバーシュートデーとなります。これはつまり、世界中の全ての国々が日本と同じ生活をしたら、1月1日からわずか126日で地球の資源全てを使い切ってしまうということです。
いかがでしょうか、想像よりも早いと感じましたか?遅いと感じましたか?そのほか、やはり先進国と呼ばれる国々は比較的日付が早く、途上国と呼ばれる国々は比較的日付が遅い傾向にありました。
まだまだある!興味深い指標データ
1.もし世界中の人々が●●と同じように暮らしたら、地球は何個必要になるでしょうか?
この指標は、左側の国と同じ暮らしを世界中の人々がした場合、その消費量をまかなうには何個の地球が必要か、というものです。日本の暮らしが世界中でおこなわれたら、地球の資源は地球2.9個分必要になるということですね。
2. 自然に対する日本人の需要に答えるために、何個の日本が必要になるでしょうか?
そのままですが、日本人が必要とする自然資源を日本だけでまかなおうとした場合、「日本」という国が7.8個必要となるということです。つまり、「日本」6.8個分は他の国々や地球の資源からカバーしてもらっています。
いかがでしょうか?
こういったさまざまな指標があると、現状や課題を身近に感じることができますね。地球の資源不足もイメージが湧きやすくなったのではないでしょうか。
それでは最後に、アースオーバーシュートデーをもっと遅らせるために、私たちにできる対策をいくつか考えてみましょう。
エコロジカル・フットプリントを減らす取り組みを
アースオーバーシュートデーを遅らせるために、具体的には何をしたらいいのか?それは、アースオーバーシュートデーの算定基準にもなっている「エコロジカル・フットプリント」を減らすことです。
先ほど簡単に触れたように、「エコロジカル・フットプリント」とは“人間の使用量”を指します。その計算式は以下の通りです。
エコロジカル・フットプリント=人口×1人当たりの消費×生産・廃棄効率
この式を見る限り、“生産・廃棄効率”を個人で改善していくことは難しそうですが、“1人当たりの消費”の削減には取り組むことができそうです。また、朝日新聞には以下のような記載がありました。
日本全体のエコロジカル・フットプリントのうち、68%が家計分野で、そのうち「食」「住居」「交通」の3カテゴリーが75%を占めています。これらの3カテゴリーの数値をどう減らすかが鍵となります。
「食」:食品ロスの削減やエシカル商品を選ぼう
まずは、消費に関するできることを考えてみましょう。例えば、ご家庭の食品はむだなく使い切れているでしょうか?次のいずれかに当てはまりませんか?
①作りすぎてしまうタイプ
②買いすぎてしまうタイプ
③ため込んでしまうタイプ
④よくばってしまうタイプ
⑤片付け下手なタイプ
自分がどれに当てはまるか、ぜひ一度タイプ別診断をおこなってみてください!タイプ別の対策方法も合わせてチェックしてみましょう。
次に、購入の仕方や商品の選び方を考えてみましょう。例えば、量り売りや手前どり(賞味期限の近いものから取る)などを実践してみましょう。また、選ぶ商品をエシカル商品やフェアトレード商品にしてみることもいいですね。
「住居」:環境にやさしい家づくりをしよう
暮らしの中で使うエネルギーを小さくすることは、節約・節電にも繋がります。まずは、毎日利用する家電製品を省エネ効率の高いものに買い替えることをおすすめします。
新しく住宅を購入する場合やリフォームを検討している場合は、太陽光発電設備や家庭用蓄電池などの導入もあわせて検討してみてください。消費を減らすだけでなく、“創り出してためる”ことができるようになります。
近年は、自然災害などによる停電時への防災対策としても注目を浴びているアイテムです。
「交通」:電車や自転車、EVを選択しよう
例えば、東急電鉄は現在、全路線が運行に使用する電力を再生可能エネルギー由来の実質CO2排出ゼロの電力に100%置き換えられています。つまり、ただ利用するだけでも再エネに参加できるということですね。
一方で、都心部でないと車を使わないという方法は現実的ではありません。そんな場合は、車を電気自動車(EV)などに変更することも1つの手です。あるいは、カーシェアリングを活用するのもいいですね。
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いかがでしたでしょうか?
まずは、「アースオーバーシュートデー」という日があることを知っていただけたなら嬉しいです。
GFNの公式サイト内の「可能性の力(Power of Possibility)」というページでは、オーバーシュート(超過)を解消するためのさまざまな解決策も紹介されています。中には、食品ロス防止法や太陽光発電とのマイクログリッド実践、低負荷牛肉生産のための土地管理なども。
こちらもぜひご覧になってみてくださいね。
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