エシカル商品を見て触って選ぶ、一人ひとりのストーリー 鎌倉「えしかる屋」が届け続けるエシカルの物語

インタビュー

えしかる屋_黒崎様、稲葉様②

「エシカル」といえば、最近よく耳にする“トレンド”ワードというイメージを持つ方も多いのではないでしょうか?

今回は、“トレンド”となる前からエシカルな商品に着目し紹介してきたセレクトショップ「えしかる屋」のオーナー店長黒崎りえさまと、プロデューサー稲葉哲治さまにさまざまなお話を伺いました。

2021年から鎌倉で「えしかる屋」を始めたきっかけやこれまでの活動実績、エシカルを軸にしたお店を続けることの楽しさや工夫まで。エシカルな商品を選ぶことの面白さを教えていただきました。

店内の素敵な様子もご紹介します。ぜひご覧ください。

セレクトショップ「えしかる屋」を始めたきっかけ

「エシカル」の始まりとこれまで

写真左:えしかる屋プロデューサー稲葉哲治さま、右:オーナー店長黒崎りえさま

(写真左:えしかる屋プロデューサー稲葉哲治さま、右:オーナー店長黒崎りえさま)

稲葉さん) 10年前、「フェアトレード」や「ロハス」という言葉は耳にしましたが、「エシカル」はあまり知られていませんでした。

エシカルという考えは元々、イギリスでブレア元首相がおこなったエシカル外交を訴えるスピーチから広まりました。

それ以降、2010年前後にファッション領域で取り上げられだし、「サステナブル」や「ヴィーガン」の要素を含んだ「エシカルファッション」ブランドがあらわれてきました。日本には、2011年の東日本大震災を機に、ソーシャルビジネスの一環として受け入れられたのではないでしょうか。

私自身もこの頃からエシカルに興味を持ち、さまざまな活動を続けてきましたが、気づけば今年(2022年)でエシカルにかかわるようになって10年ほどになります。

「えしかる屋」誕生まで

黒崎さん)えしかる屋の前身はNPO(非営利団体)が運営していたエシカル商品のセレクトショップ「エシカルペイフォワード」(東京・日本橋蛎殻町、2016年オープン)です。稲葉さんとも、その店の一員として知り合いました。

私は、当時大学生だった娘の紹介でアルバイトから始め、縁あって店長となりました。次第にやりがいを感じるようになっていたのですが、残念ながら2020年末で閉店することになりました。

しかし、世間でもSDGsが広く認知されるようになり、エシカル消費への関心も高まっているという手ごたえを感じていたので、「ここまま終わらせるわけにはいかない、エシカルショップをどこかで続けたい!」と思いました。

そこで、まず浮かんだのが鎌倉でした。実はエシカルペイフォワード時代に、現在の店の近くで期間限定イベントを数回開き、鎌倉とエシカル商品との相性の良さを感じていたのです。
また、私の父が鎌倉育ちで、子供の頃から鎌倉をよく訪れていて、立派な歴女に育った私が鎌倉が大好きだというのも大きな理由です(笑)

えしかる屋さま_店内の様子②

(えしかる屋さま:店内の様子)

「10年目のエシカル展」では“本物のエシカルブランド”が参加

稲葉さん)2022年は10周年を迎える日本のエシカルブランドが多いこともあり、この“10年”という単位をひとつの区切りとして、10のエシカルブランドに参加していただき、その商品の展示販売とトークイベントなどをおこなう「10年目のエシカル展」を6月に開催しました。

トークイベントでは、エシカルがいわゆる“ブーム”のようになる前からエシカル商品を提供しているブランドの方々に商品の魅力や運営におけるこれまでの試行錯誤などについて話していただきました。

エシカルブランドは、最初は意気揚々とはじめるものの、数年で行き詰って辞めてしまうところも散見します。エシカルは地球に優しいイメージがあり、みんなに受け入れられやすいコンセプトですが、そのブランドを持続させることはなかなか難しいのです。

しかし、そうした危機を何度も乗り越えて、10年間続けてきたブランドのオーナーの話はとても面白く、好評でした。

☞参加した10年以上続くエシカルブランド10社はコチラで紹介!

10年続くエシカルブランド10選[本物が物語る魅力ある商品たち]

えしかる屋を鎌倉に構えた理由:実際に見て触って選んでほしい商品たち

最近はエシカル商品のECショップもかなり増えてきました。しかし、大量生産ではないこだわりの商品の価値は、実際に商品を見て触って、本当にいいものだと知ってもらった上で購入できるような対面型のショップが必要だとひしひしと感じています。

また、きちんと商品の良さや成り立ちなどを説明できるスタッフがいるということも重要です。もちろん、「似合います!」だけで購入してくださるお客さんが一番ありがたいですが…(笑)

最終的に目指しているのは、えしかる屋がデザインや品質が良いブランドを扱っていると知っていただいて、安心して購入していただける環境となることです。

えしかる屋さま_店内の様子①

(えしかる屋さま:店内の様子)

先日、サステナブルスイッチで記事が公開された「andu amet」というブランドでは、10年以上前からエチオピアのシープスキンのバッグなどを販売されています。もちろん、「10年目のエシカル展」にもご参加いただき、大人気でした。

そんなandu ametのレザージャケット(Ebreeze)をご存じですか?デザインもクオリティも高い、こだわりの商品です。

お買い上げいただいたお客様の中には3回も店に通い、じっくりと購入を検討されていた方もいらっしゃいました。ご自分のワードローブとの相性まで考え、お気に入りのワードローブを実際に店にお持ちになり、お試しになっていました。

アパレル業界は特に、ファストファッションの風潮で大量生産・大量消費が当たり前になっていますが、品質がいいものはちょっと高くても長く着続けることができるので、サステナブルですよね。

品質とブランドの熱い思いが伝わる商品を提供したい

当店へは、毎日のようにさまざまな商品のご紹介をメールやお電話でお問い合わせいただきます。しかし、お店を始めた当初から、商品を仕入れる際には選別の軸として意識していることがあります。

それは、「環境」や「SDGs」が流行りだからと始めたような完成度が高くない商品やストーリーがあまりない商品は扱わないということです。

環境にいいからという理由だけで、お客さまに値段やデザインを妥協して購入いただくことは、長く使い愛用してもらうという目的に対し、本末転倒となってしまいます。フラっと訪れたお客さまが「いいものだ」と思って買ってくれるものかどうかということを見極めた上で、仕入れるようにしています。

例えば、インドのファッションブランド「ek kadam(エークカダム)」は、インド・ジャイプールの伝統的な技法であるブロックプリントで布が染められています。

実際の商品を手に取って見てみると、縫製もしっかりしており、縫子のスキルも高いことが伺えます。コットン100%の裏地やポケットもついていて、機能面でも細かなところまでこだわったステキなブランドだなと思い、取り扱いを始めました。

(「ek kadam」のワンピースはワタナベも購入しました!)

「ek kadam」とは、ヒンディー語で「一歩」というポジティブな意味を持つブランド名です。

途上国といわれる地で暮らしていても、先進国とよばれる日本で暮らしても、女性が一歩前にでるのは勇気がいります。作り手である職人さんたちの「一歩」の自立を助けるだけでなく、さまざまな女性たちや使い手の自分たち自身も励まされるような思いの込められたブランドです。

☞「ek kadam」公式HPはコチラ

私たちは「着る人が元気になってほしい」「着る人が一歩踏み出せるように後押ししたい」などの作り手のメッセージも届けながら、ライフスタイルも演出できるような商品を販売していきたいと考えています。

今までの大量生産・大量消費というファストファッションに疑問を持ち始めた方々も多くなっていると思いますが、えしかる屋では、自分だけの服やファッション、自分らしいストーリーを選んでいただきたいです。特に鎌倉エリアには、そういったお客さまが多いと、接客を通して確信しています。

「えしかる屋」の由来とこれから

(「お店にある本も自由に読んでください!」と黒崎さん)

店舗は大変伝統ある「大蔵頼朝商店会」のエリアにあり、このエリアには大きなショッピングモールはなく、八百屋や肉屋、酒屋、花屋、パン屋など昔ながらの個人商店が軒を連ねています。

その中に店を構えるということで、エシカル商品を売る店として、ご近所の方に日常の買い物ついでに気楽に立ち寄ってもらえるようなショップなるよう、「えしかる屋」という名前にしました。

先日も、とあるお客さまがお買い物の帰りに寄ってくださり、「これはネギが入って便利!」とバッグを買っていってくださいました(笑)

オープン2年目の今年は、今後もさまざまなイベントを開催していきたいと考えています。例えば、蜜蝋ラップのワークショップやファッションショー、ブランド代表のトークイベントなど、いろいろ企画していく予定です。

現在は、夏にぴったりな「シェリーココ」のアフリカ・べナンの職人さんが作る浴衣なども置いていますので、ぜひショップにお越しください。

(シェリーココの浴衣は、日本のものとは柄のセンスが異なり人気も高いそう)

また、“made in Japan”の商品にも力を入れていきたいと思っており、「JAMMIN(ジャミン)」のTシャツも販売を開始しました。

「JAMMIN」は、週替わりでさまざまなNPOやNGOとコラボをしたTシャツを販売しています。
Tシャツはオーガニックコットンを使用し(現在完全移行中)、布地から縫製まで“made in Japan”にこだわり、オーダーが入ってからスタッフが1枚1枚手作業でプリントする受注生産体制にすることで、無駄な在庫を持たない工夫をしています。

この会社のキャラクターであるハチドリは、「ハチドリのひとしずく」のお話から取っています。森で火事が起き、他の動物たちはみんな逃げ出す中、ハチドリだけが一滴ずつ水を運んで火を消そうとしたという、南米のアンデス地方に伝わるお話です。

自分たちの活動は“ハチドリの一滴”かもしれないが、この一滴一滴が世界を変える循環型社会への一歩になるという思いを持って活動されています。

(JAMMINのTシャツは、週替わりでNPOやNGOとのコラボデザインが楽しめます)

☞「JAMMIN」公式HPはコチラ

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いかがでしたでしょうか?

このように、えしかる屋では多種多様な熱い思いが込められた商品をいろいろと取り扱っています。少しでもご興味のある方は、えしかる屋に来て、ぜひ商品を手に取ってみてください。

一つひとつの商品にストーリーがあります。自分が共感できるストーリーとつながり、本当に自分に似合う服やアクセサリー、日用品などを見つけてみてください。

えしかる屋:アクセス

HP:https://www.ethical-ya.com/
住所:〒248-0005 鎌倉市雪ノ下3丁目9-5-1  1階
電話番号:0467-33-4135
営業日時:水曜日~日曜日 11:00~17:00
定休日:月曜日・火曜日

☞「エシカル」の言葉の意味をもっと詳しく掘り下げてみよう

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