企業の災害備蓄品を必要な団体・施設にマッチング! フードロスをなくすシステムで持続可能な社会づくりを

インタビュー

Stock Base

「誰かに不要とされるものは、他の誰かにとって欲しいものかもしれない」

企業内で廃棄される余剰カレンダーを高齢者施設へ運ぶボランティアに携わったことがきっかけで「株式会社StockBase」を立ち上げた、株式会社StockBase 代表取締役 関 芳実さん、取締役 菊原美里さん。

学業と事業の両立をしながら持続可能な社会の実現に向けて奔走する、横浜市立大学の現役大学生のお2人にお話をお伺いしました。

企業の災害備蓄品を必要なところに必要な分だけ届ける「StockBase」

いままで災害備蓄品は、期限がきたらそのまま廃棄されることが多く、「フードロス」という考えからかけ離れたものでした。またその一方で、食糧などの支援を受ける団体では必要以上の量を受け取らざるを得ないという状況があることを知りました。

例えば、企業からある団体にレトルト食品の寄付と一緒に飲料水の寄付もあったそうです。その時団体には、飲料水は十分な量があったのですが、せっかくのご厚意でいただいているものなので飲料水も一緒に受け取り、結果として今度はその団体の倉庫で備蓄することになったとのことでした。

災害備蓄品

そこで私たちは、企業が持つ多量の災害備蓄品を提供してもらい、それを必要としている子ども食堂や子ども会、介護施設などに必要な分だけ配ることができるプラットフォームを構築しました。

【マッチングの流れ】
①マッチングシステム上で企業の方から災害備蓄品を登録していただく
②登録いただいたものは一度当社の方で確認し、問題なければサイトに公開!
③サイトに公開された品物の中から団体の方々が欲しいと思ったものを必要な分だけオーダー

特にこの“必要なモノを必要な分だけ”という点は、多くの団体の方に喜ばれています。

このように、当社のプラットフォームを通じて企業と団体間の仲介をおこなった結果、昨年時点で約93万トンの廃棄されるはずだった備蓄品をうまく活用することができました。

これまで、こういった備蓄品をECサイトでやり取りするというようなシステムはなかったので、当社のシステムを活用することにより、企業や団体の方々が困っていた課題を解決するための新しい手段を提供することができたと思っています。

また、当社ではなるべく近い地域同士でのマッチングをおこなっているので、地域でのモノの循環にも貢献しています。

もともとはビジネスコンテストで優勝したのがきっかけ

私たちは横浜市立大学の学生で、大学3年の時にビジネスコンテストに出場し「StockBase」事業案で優勝することができました。

その後、「コンテストで優勝して終わらせるのではなく、実際に事業化してやってみよう!」という気持ちが湧きました。私(関)と菊原は負けん気が強いので(笑)、たまたま本気度が強くて、2人でこの事業を開始することにしました。

ビジネスコンテントで優勝したことで、賞金や副賞として関内のオフィスを借りることができたので、事業もスムーズに立ち上げることができました。

1年経過してみて:事業化の課題について

今の課題としては、やはり収益確保が難しい点です。

マッチング先の団体へは、企業側から直接品物を送ってもらっているので、保管のための費用などはかからないようにしています。当社としては、マッチング元の企業からいただく手数料が収入となるのですが、やはりこの手数料だけでは事業運営は難しいと感じています。

これまでは、ビジネスコンテストで優勝した際の賞金を使ったり、オフィスが用意されている中で事業をおこなっていたので、運営できていました。しかし、今後のことを考えると、今年は収益を上げるための新たなビジネスの構築が必要だと考えています。

そのひとつとして、事業範囲の拡大も検討しています。現在は東京都と神奈川県に拠点がありますが、福岡と大阪でもこのマッチングシステムを活用できる企業さんを探しています。

また、人員確保の問題もあります。昨年はインターン生を取り、発送の手配や企業とのやり取りなどさまざまな部分で手伝ってもらっていましたが、現在はインターン生もいないので、2人で広報活動から事業の運営までをおこなっています。

現状でもかなり手一杯ですが、サービスとしては皆さんに喜んでいただいているので、事業が軌道に乗るようにがんばっています。

横浜市立大学の勉強と事業の両立―今後のStock Baseの事業展開

今年(2022年)の4月からは昨年から1年間休学していた大学にも復学して戻りましたので、学業と事業の両立でますます忙しくなります。

ですが、このマッチングシステムがさまざまな地域で運用できれば、持続可能な社会実現の一助となると考えています。

そのため、今後もよりよいシステムになるよう、企業の方や団体の方の声をヒアリングしながら、改善していければと思っています。

Stock Base

企業の寄付プラットフォーム「StockBase」の公式ホームページはこちら☞

あとがき

「StockBase」ホームページには、このプラットフォームを利用した企業の物品有効活用量が公開されており、ある企業では、74,716食もの災害備蓄品が有効活用されました。

現在、StockBaseさまの事業は各メディアにも取り上げられています。そして、今後も広がっていくことで循環型社会の実現に貢献していくでしょう。

どの企業でも、少なからず備蓄品は保管しているかと思います。ただ廃棄してしまっているという企業は、ぜひ「StockBase」をご覧になってみてください。“もったいない”を少しずつなくしていきましょう。

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株式会社StockBase
HP:https://www.stockbase.co.jp/
​所在地:神奈川県横浜市中区相生町3丁目60番地 泰生ビル311号室

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